「ホリエモン効果は抜群」、業務ソフトベンダ弥生の野望
2005/7/9
2004年12月にライブドアグループの企業となった業務ソフトベンダ弥生の当面の事業課題は2つ。1つは、売り上げの約60%を占める量販店での販売体質からの脱却、もう1つは、LAN対応製品(「弥生会計NE」)の販売増である。この2つの事業課題は、実はライブドアグループにおける弥生の位置付けをより明確にする目的も持つ。そもそもライブドアが弥生を230億円で買収した背景には、「(グループ全体に対する)利益貢献のほかに、B2Bファイナンスサービスの立ち上げがある」(弥生 代表取締役社長 平松庚三氏)という。このB2Bファイナンスサービスを立ち上げるためのマイルストーンとして、上記2つの事業課題がマッピングされているようだ。
弥生 代表取締役社長 平松庚三氏 |
販売体制における量販店への依存を脱却し、同社はネット販売への移行を徐々に加速していきたい考えだ。量販店売り上げのうち、その過半数がビッグカメラ、ヨドバシカメラ、ヤマダ電機の3社で占められているのが現状だ。今後も同市場が弥生にとっての主力チャネルであることに変わりはないが、「今後はそれほど大きな成長が見込めない」(平松氏)こともあり、ネット販売へのチャネル拡大に舵(かじ)を切った。7月末には専用のWebサイトを立ち上げ、年内をめどにライブドアデパート内に“出店”する準備も行っている。
LAN対応製品の拡販については、ヤマダ電機の全国160店舗にある法人営業部門とシステム販売という形で展開するほか、弥生が持つ500社のビジネスパートナーを通じた販売を行う。なお、ビジネスパートナーについてはパートナー資格を設定、高いレベルのサポート体制を整備し、弥生ブランドを守りながら規模の拡大を狙う。
これらの施策はもちろん、売り切り型のビジネスモデルからストック型のビジネスモデルへの移行によって利益率向上を狙う同社独自の事業戦略でもあるが、一方で、Webビジネスの移行によるライブドアとのビジネス上のシナジー効果向上を狙う働きもある。「弥生が持つ約50万社のサポートサービス登録企業をターゲットに企業向けファイナンスサービスを展開する準備をライブドアと協議している最中」(平松氏)である弥生にとって、一石二鳥のビジネス戦略である。実際、弥生の売り上げにおける利益率は、2001年度の7%強から40%弱(2005年度)にまで向上する見通し。
(@IT 谷古宇浩司)
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