IDSシェアーがパートナー組織、BPMの大ブレークに備える

2005/7/12

 IDSシェアー・ジャパンは7月11日、業務プロセスの実績測定、評価ツール「ARIS Process Performance Manager」(ARIS PPM)のエンドユーザーへの導入を行うパートナー企業の支援を目的にした「2005年度 ARIS PPM パートナー会」を発足したと発表した。パートナー同士の情報共有とスキルアップが目標。IDSシェアー・ジャパンの代表取締役社長 力正俊氏は「KPIの設定などARIS PPMの導入は量よりも質が重要。今後、大ブレークが予想されるARIS PPMの需要にはIDSシェアーだけでこたえることはできない」と述べ、パートナー企業の協力を得て、ARIS PPMの浸透を目指す考えを示した。

IDSシェアー・ジャパンの代表取締役社長 力正俊氏

 ARIS PPMは、ビジネスプロセスの設計、実行、パフォーマンス評価、最適化というビジネス・プロセス・マネジメント(BPM)のサイクルのうちで、パフォーマンス評価を担当するツール。プロセスごとの時間やコストを測定し、当初の予測との違いを見つけ出す。プロセスに問題がある場合は、IDSシェアーの別のツールに渡して、プロセスを再設計する。

 パートナー会に参加したのは、アビーム コンサルティング、NECトータルインテグレーションサービス、キーウェアソリューションズ、キヤノンシステムソリューションズ、日本ユニシス、三井情報開発、三菱電機インフォメーションシステムズの7社。力氏は「サービスの質をキープするために今年度はこの7社だけでやっていく。来年度は増やすことも考えていく」と述べた。パートナー間での情報共有のほか、日本固有の機能をまとめて、IDSシェアーのドイツ本社に開発依頼を行うことも考えている。

 パートナー会は一般のエンドユーザーからなる研究会も設置する。ARIS PPMに興味があるエンドユーザーを募集。参加は無償。研究会は、業務プロセスの課題や問題点をパートナー会に上げて、パートナー会がARIS PPMでどう解決できるかを回答する。1パートナー当たり5社、計35社のエンドユーザーを集める。

 パートナーの1社、アビームのマネージャー 青戸たける氏は、「R/3を導入している顧客に対して、ERPを入れて本当に業務が改善しましたかと問うことでBPMを提案する」と述べた。「単にBPMを入れてどうでしょうではなく、プロセス可視化の観点から導入するのが重要」と指摘した。

 また、NECトータルインテグレーションサービスのシニアソリューションアドバイザ 保坂定雄氏は「PPMのポイントはプロセス評価と、いまのシステムがどう動いているかを顕在化し、AS-ISをつくること」と説明したうえで、「BPMの最終目標は業務と同期が取れたシステムを作ること。そのためには現存システムのAS-ISを明確化する必要がある」と述べた。

 さらに「今後の情報システムは企業統制(内部統制)が重要になる。プロセスとデータを重点化した仕掛け作りが進み、今後大きなシステム改善が必要になる。企業統制のPDCAをどのようにするかを具体的に設定する必要がある。国内の法規制に合わせて対応していきたい」と述べ、策定が予定されているとみられる“日本版サーベンス・オックスリー法”の動向もにらんでBPMを対応させる必要があるとの考えを示した。

(@IT 垣内郁栄)

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IDSシェアー・ジャパンの発表資料

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