仮想化+ミッドレンジでハイエンドと同等、日立が新ストレージ

2005/7/13

 日立製作所は7月12日、ミッドレンジストレージ向けの仮想化コントローラ「SANRISE Network Storage Controller NSC55」を発売した。日立のハイエンドストレージ「SANRISE Universal Storage Platform」(USP)の仮想化機能を移植し、ミッドレンジのストレージでも高度な仮想化機能を利用できるようにするコントローラ。日立では「ミッドレンジのストレージを仮想化することで、ハイエンドの機能、性能を実現できる」としている。

日立製作所の情報・通信グループ COO高橋直也氏

 日立は2004年9月に投入したUSP以降、ストレージの仮想機能の実装と多層化ソリューションの拡充を進めている。データの価値によって格納するストレージを移動させる「データ・ライフサイクル・マネジメント」(DLCM)を実現するのが目的だ。日立の情報・通信グループ COO 高橋直也氏よると、USPは出荷が1000台を突破し、当初の販売目標を達成した。

 NSC55は、日立製だけでなく、主要ストレージベンダのストレージを接続して、ボリュームを1つに統合できる。統合したボリュームは業務に合わせて、柔軟にリソースを切り分けることが可能で、ストレージ全体の容量使用率が向上する。また、ストレージの違いを意識せずに一元的にストレージを管理できるようになる。日立では通常のミッドレンジストレージでは実現不可能な高度なディザスタリカバリシステムがNSC55で構築できるとしている。

 NSC55に接続して仮想化できるのは、日立が同日発表したミッドレンジアレイ「SANRISE Adaptable Modular Storage」と、シリアルATAハードディスクを搭載したエントリレベルのアレイ「SANRISE Workgroup Modular Storage」、既存モデルの「SANRISE 9500Vシリーズ」「SANRISE 9900Vシリーズ」「SANRISE 2000シリーズ」。他社ではIBM(DS4000、ESS)、EMC(CX、Symmetrix、DMX)、HP(MSA、EVA)、サン・マイクロシステムズ(StoreEdge T3/6120)の各ストレージを仮想化できる。最大16PBまで外部ストレージを仮想化可能だ。

日立が発表した仮想化コントローラ「SANRISE Network Storage Controller NSC55」

 NSC55はファイバチャネル・ポート、イーサネット・ポートを備え、SANとNASに対応。2005年第4四半期にはメインフレームとの接続やiSCSIの接続もサポートする計画だ。内部に69TB分のディスクアレイを格納することもできる。価格は4312万円からで、日立では「USPとほぼ同じ構成で価格は半分」としている。USPとNSC55の仮想化機能は基本的に同じだが、接続できるストレージの種類など、スケーラビリティではUSPが上回るという。

 日立はストレージのハードウェア、ソフトウェア、サービスで2005年度に2800億円の売り上げを目標としている。高橋氏は、NSC55など今回発表したミッドレンジ、エントリレベルのストレージで「2800億円の3割くらいを取りたい」と述べた。

 また、日立は中小規模市場へのストレージの拡販を目的に、パートナー企業向けの「SANRISE技術者資格認定制度」を10月に開始する。営業から上級SE、コンサルタントまで4つの資格認定コースがあり、専門スキルの習得による顧客満足度の向上を狙う。研修プログラムなども積極的に展開する。

(@IT 垣内郁栄)

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日立製作所の発表資料

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