周波数を上げずに性能を10倍に、インテルが考えたこととは

2005/7/21

 インテルはフロントサイドバス(FSB)の周波数を400MHzから667MHzに拡張したItanium 2プロセッサの新製品を7月19日に発表した。システムの帯域幅は6.4GB/秒から10.6GB/秒に高速化し、全体的なパフォーマンスは最大34%アップするという。

インテル マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング 統括部長 平野浩介氏

 インテルはこれまで主にプロセッサの周波数を上げることで、パフォーマンスを向上させてきた。しかし、周波数のアップには熱や消費電力の問題があり、以前と同じペースで周波数を上げていくのは難しいとみられる。そのためインテルはプロセッサ・コアのデュアル/マルチ化やFSBの高速化で、システム全体のパフォーマンスを向上させる方法を周波数アップと合わせて試みている。今回の発表もFSBの性能を向上させることで、「システムメモリやI/Oへのデータ転送の高速化を実現」(インテル マーケティング本部 エンタープライズ プラットフォーム マーケティング 統括部長 平野浩介氏)することを狙っている。

 発表したのは、FSBを667MHzに拡張したItanium 2プロセッサ。プロセッサの周波数は従来製品の1.60GHzから1.66GHzにした。キャッシュを9MB搭載する製品と、6MB搭載する製品の2種があり、メインフレームやUNIXサーバからIAサーバにマイグレーションする際の用途に最適としている。日立製作所は同日、IAサーバ「BladeSymphony」用のサーバモジュールで新しいItanium 2プロセッサを搭載した新製品を発表した。チップセットは日立が自社で開発。新サーバモジュールを搭載したBladeSymphonyは、コンピュータの浮動小数点演算の性能を測定する「SPEC CFP2000ベンチマーク」で世界最高性能を記録したという。サーバ開発についてインテルの平野氏は「FSBだけでなく、サーバベンダの力の見せ所となるチップセットでメモリやI/Oをいかに効率的に動かすかがポイントになる」と述べた。

 インテルがパフォーマンス強化の本命として期待しているのが年内にも発表される見通しのデュアルコアのItaniumプロセッサ「Montecito」(開発コード名)だ。パフォーマンスは、従来のItanium 2プロセッサの1.5〜2倍になる予定。マルチスレッディング技術により、1ソケット当たり、最大で4スレッドを同時に実行できる。キャッシュ容量は最大24MBとなる。平野氏は、「企業の高いニーズに応えるためにはデュアルコア/マルチコアは避けられない」として、「マルチコア化によって次の4年で10倍以上の性能向上が見込める」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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インテルの発表資料

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