「すでにRunできる状態」、SAPの次期構想「BPP」が明らかに
2005/7/8
SAP AGの会長兼CEOのへニング・カガーマン(Henning Kagermann)氏は7月7日、「SAP NetWeaver」の後継のプラットフォームとして今年始めに発表した「ビジネス・プロセス・プラットフォーム」(BPP)について、「SAPのソリューションの中からリユーズできるコンポーネント、プロセスを取り出す。これでビジネスに必要なソリューションのおよそ90%をカバーできる」と説明した。カガーマン氏は「BPPとSAP NetWeaverのコンポジションプラットフォームを組み合わせることで企業が迅速に革新できる」とも述べ、SAPが構想しているSOA戦略を加速させると強調した。
「SAPPHIRE '05 TOKYO」で講演したSAP AGの会長兼CEOのへニング・カガーマン氏 |
BPPはSAP NetWeaverをベースにしたプラットフォーム。SAP NetWeaverがSAPアプリケーションや他社のアプリケーション、レガシーアプリケーションの統合プラットフォームの位置付けだったのに対して、BPPはmySAP Business Suiteや他社のアプリケーションをモジュール単位に細分化して、コンポジット・アプリケーションとして柔軟に組み合わせられるようにする。インフラ面の統合に続き、ビジネスプロセスにおいても柔軟な基盤が確立されることになり、SAPのSOA構想「エンタープライズ・サービス・アーキテクチャ」(ESA)が完成に近づく。
BPPを利用することで、日本に多い手作りのアプリケーションでもESAの基盤に接続することができ、ビジネスの柔軟性を高めることができるとSAPは考えている。カガーマン氏はBPPについて「カスタムアプリケーションなどどんなアプリケーションでも稼働させられる」と説明。NetWeaver対応アプリケーションの開発をパートナーのISVとも協力しながら進めるとした。
また、SAP主催のイベント「SAPPHIRE '05 TOKYO」で講演したSAP AG エグゼクティブ・ボードメンバー シャイ・アガシ(Shai Agassi)氏は、SAPの今後の戦略について「ベストプラクティス+コンポジットアプリケーションの環境に移行する」と説明した。SOA環境の整備はオラクルなど競合ベンダも続けているが、SAPが業務アプリケーションの膨大な資産を持つことなどから「これだけ証明されているアプリケーションを持つベンダはSAP以外にはない」として、優位を強調した。アガシ氏はまた、ESAで定義し、ITとビジネスの橋渡しの機能を持つ「エンタープライズサービス」を、予定している1万のうち、「すでに500を用意した」と述べた。「エンタープライズサービスはすでにRunできる状態になっている」(カガーマン氏)。
カガーマン氏はSAPPHIREの基調講演の中でBPP実現までのロードマップを明らかにした。2005年は全業種向けのスイート製品をSAP NetWeaverに対応させる。また、一部のISVがBPPに対応したアプリケーションを開発する。2006年はBPPの利用が本格化。SAP NetWeaverがBPPに拡張され、BPPを使った統合スイートも出す。BPPのロードマップが完結するのは2007年で、BPP上での“完全なスイート”や業種別のBPPの整備を完了させる。SAPは2007年に「ESAのロードマップが完了する」としている。カガーマン氏は「2003年から旅を続けてきて、ちょうど半ばまできた」と語った。
(@IT 垣内郁栄)
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