復活したJD Edwardsブランド、中堅向けに1億円を切るERP

2005/8/26

 日本ピープルソフトは8月25日、標準的なビジネスプロセスに合わせて事前定義したパラメータを用意することで短期導入、低コストを実現する中堅企業向けのERPパッケージ「JD Edwards EnterpriseOne Rapid Start」を今秋に出荷すると発表した。導入コストは通常製品の約半分。日本ピープルソフトの親会社、米オラクルのアジアパシフィック アプリケーション担当バイスプレジデント デニス・スティーブン・ジョラック(Dennis Steven Jolluck)氏は中堅企業のERP導入について「専従のスタッフがいないことが多く、小規模な企業でもビジネスプロセスは複雑、ハイブリッド型になる」と説明。「統一され、管理がシンプルなERPが求められる」と述べた。

米オラクルのアジアパシフィック アプリケーション担当バイスプレジデント デニス・スティーブン・ジョラック氏

 Rapid Startがターゲットにするのは年商100億円から500億円までの中堅企業や大企業の支社。業種は電機、電子、自動車部品、産業機器、製造業、卸業など。ピープルソフトが事前にパラメータを設定、よく利用する機能を実装して提供する。「早く、小さくスタート」(日本ピープルソフト 執行役員 プロダクト・テクノロジー統括本部長 荻矢隆雄氏)して企業の成長に合わせて拡張するのが基本の考えだ。

 早期導入、低い導入コストの鍵になるのが「事前定義したビジネスプロセス」。JD Edwardsの世界の1000社以上の導入実績から、国内企業で多く使われるビジネスプロセスを抽出。業務の役割や役割ごとに必要なメニュー設定、セキュリティ設定などを事前に定義して、提供する。標準的なビジネスプロセスを適用することで、通常の導入過程で行うビジネスプロセス分析やプロセス設計などの作業を少なくする。

 ピープルソフトは、事前定義したビジネスプロセスについて「ほぼ80%の企業が満足できる」としている。帳票などで例外的なカスタマイズをする場合は、別途見積もりになる。すでにRapid Startを提供開始している米国の事例では最短12週間で導入したケースがあるという。

 ソフトウェアのインストールや導入作業、トレーニング、ドキュメンテーションなどの導入費用は3段階の定額制。企業の規模やシステムの複雑性によってロー、ミドル、ハイがある。最も低価格のローの場合の導入価格は5900万円。ピープルソフトの試算によると、ローの導入価格で、年商100億円の製造業が、会計、在庫、販売、購買、生産の各モジュールを使う場合の総額は9300万円。ハイの導入価格でもライセンス料を含めた総額は1億円強だという。

 JD Edwards製品はピープルソフトが買収後、PeopleSoftブランドに統一されていた。しかし、オラクルのPeopleSoft買収で、JD Edwardsブランドが復活した。JD Edwards製品は国内では「ここ数年30%の成長をしてきた」(荻矢氏)といい、ピープルソフトは「中堅企業のエンタープライズ・アプリケーションへのニーズと意欲を感じる」と、Rapid Startに期待を寄せている。

(@IT 垣内郁栄)

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