モデリングで中堅向けERP開拓なるか、オラクルが挑戦

2005/5/31

 日本オラクルは5月30日、ERPの構築を企画・検討中の顧客に対して現行システムのAs Isモデルを作成し、正確な要件定義につなげる中堅企業向けのモデリングサービスを6月1日に提供開始すると発表した。プロセス指向ではなく、データ指向の現状分析を行うことでオラクルのERPパッケージ「Oracle E-Business Suite」(EBS)と連携しやすくするのが特徴。

日本オラクルのアプリケーションプロダクト統括本部 ソリューションラボ担当シニアマネジャー 菊地悟氏

 ターゲットはこれまでERPを使っていなかったり、レガシーな会計・人事システムを使っている中堅企業。日本オラクルのアプリケーションプロダクト統括本部 ソリューションラボ担当シニアマネジャー 菊地悟氏は、「現状を把握できず、なかなかプロジェクトを開始できない」「システムの機能要件が不明確」などの問題を抱える顧客に提供したいとした。モデリングサービスを利用することで、現行の業務やシステムを踏まえた要件の明確化や正確なFit&Gap分析などが可能になるという。

 モデリングサービスでは、現行システムの画面・帳票と現行業務の伝票一式、組織図、現行システムのマスタファイル、インターフェイス定義書、システム構成図を用意。システム画面、帳票、伝票一式はデータが記入された資料を使うのがポイントだ。実際の作業ではオラクルのセールスコンサルタントが顧客企業にヒアリングを行って、システム関連図と画面・帳票の一覧を作成。この2つをベースに業務と組織の対応表や業務フロー、機能のマトリックスを作成する。これらの作業はひな形を使うため、通常の作業と比べて短期間で終了するという。

 データモデルの作成では、顧客企業から提出を受けたデータを基にデータ分析表、データディクショナリ、ドメイン定義書などを作成する。期間は一般的な会計業務の場合で2カ月。価格は未定だが、オラクルは「これでもうけるつもりはない。なければないでいい」(同社 アプリケーションプロダクト統括本部 ソリューションラボ兼アプリケーションプロダクトSC部 シニアディレクター 石川正明氏)としていて、EBS採用へのきっかけにしたいという考えだ。

 モデリングサービスの特徴はデータ指向。石川氏は「EBSのパラメータ設定はデータで判断する。モデリングサービスでデータを分析した結果はEBSのパラメータ設定に直結しやすい」としていて、EBSとの親和性の高さを強調した。モデリングサービスの成果物は、オラクルの中堅企業向けERPテンプレート「Oracle NeO」の要件定義の一部としても利用できるといい、相乗効果を期待できるという。

 サービスの提供はオラクルのセールスコンサルタントが行う。2004年末から提供してきたパイロット版では1社当たり1〜2人が担当。6月1日の本サービス提供時は全体で7〜8人の人員を用意する。早期に大阪、名古屋など支社のコンサルタントも追加して、15〜16人まで増やす。また、7月からはパートナー企業と協力してサービスを提供できるようにし、サービスに厚みを持たせる。2006年5月までに50社に提供することを目指す。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料

[関連記事]
グリッド構築の共通モデリング言語、EGAが発表 (@ITNews)
モデリングも、性能解析もできるJavaの開発環境、サン (@ITNews)
マイクロソフトによるMDAを実現させるためのアプローチ (@ITNews)
「ワークフローの可視化ならUMLよりもBPMN」、日揮情報ソフト (@ITNews)
日本オラクル、設計情報を一元管理するDB開発支援ツール (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)