インテルのITシステムは10億ドルを生み出す
2005/8/31
インテルは8月30日、同社の全世界のIT部門に関する報告書「インテルIT2004年パフォーマンス・レポート」を発表した。このレポートは、インテルの情報システムに関する取り組みを公開することによって、一般企業のIT部門の参考になることを目指したもの。2001年から毎年発表しており、今回で4回目となる。
インテル 情報システム部部長(IT@intel担当) 海老澤正男氏 |
インテルでは無線LANへの取り組みも強化しており、積極的に取り入れている。現在では、全世界で4360カ所のワイヤレスアクセスポイントを設置し、4万人のユーザーが利用。これに伴い、PCもデスクトップからノートブックへの移行が進み、日本では99%以上がノートPCを利用しているという。海老澤氏によると「インテル社員であれば、全世界のほとんどの主要拠点でワイヤレスアクセスができるようになっている」という。
2004年には、同社の情報システムのItanium 2サーバへの移行も推進。中国での新工場立ち上げ支援や、ロシアなどにおける新しい技術チームの編成などで、2004年における同社の情報システムは10億ドルのビジネス価値を生み出したと試算している。
また、同社は2004年の情報システムの戦略目標に「オペレーショナル・エクセレンス」の標準設定、収益性/競争力の増大に貢献、職場環境の改善の3点を挙げた。その結果、顧客満足度が91%へ向上したほか、サプライチェーンの効率性を50%向上させるなど、さまざまな利益を享受したとしている。一方で、「システムを効率化しただけでは、働きにくい職場となりかねない」(海老澤氏)と指摘。働きやすい職場を実現するために、キャリアナビゲーションの枠組みを改善したり、対人関係を考慮した職場環境の改善なども実施。システムによる効率化だけにならないような工夫も行っているとした。
◇
米インテル 情報セキュリティ担当ディレクタ マルコム・ホーキンス氏 |
2004年における、インテルの情報セキュリティへの取り組みでは、9万回以上の監査を実施したほか、世界20カ所のエンジニア2000人を対象に、緊急対応に対する社員教育を実施。緊急対応には、ワームなどの攻撃以外に、地震や雪崩、洪水といった天災への対応も含まれているという。さらに、セキュリティインシデンスに対する回答時間を短縮し、従来の数時間〜数日だったものをほぼ数時間で回答するまでに至ったとしている。
ホーキンス氏は、「情報セキュリティでは、まず理解しやすい方針を立てることが重要だ」と指摘。その後、方針をしっかり理解させるために教育/トレーニングを実施し、最後に確実に実施させるための強制/パッケージ化などのステップへと移行する。同社では、Webベースで「情報セキュリティの知識を自覚するためのトレーニングサイト」を構築し、社員教育の一環として取り入れた。さらに、情報セキュリティの方針を網羅したニュースレターを発行し、啓蒙活動に役立てているという。
より安全なコンピューティングを実現するために同社では、ウイルス対策ソフトやSSLといったソフトウェアや、スマートカードといったハードウェアをそれぞれ導入することが重要であると説明。一層セキュアにするために、ハードウェアとソフトウェアで両面から防御する「ラグランデテクノロジ」を導入していく方針だとした。最後にホーキンス氏は、「当社は常に最高のセキュリティ環境へ挑戦している。最も重要な目標は、攻撃に対して先手を打つことだ」と述べた。
(@IT 大津心)
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IT@intel
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