携帯電話アップデート技術の雄が日本上陸

2005/10/28

 米レッドベンド・ソフトウェアは10月27日、日本における事業強化のために日本法人レッドベンド・ソフトウェア・ジャパンを設立したと発表した。同社は携帯電話のアップデートを無線経由で迅速で行うFirmware over-the-air(FOTA)アップデートソリューションを中心に、携帯電話メーカーや携帯電話キャリアに提供していく予定だ。

米レッドベンド・ソフトウェア CEO ヨラム・サリンジャー氏
 レッドベンド・ソフトウェアは1999年に設立された会社で、携帯端末向けにソフトウェアのアップデート用差分ファイルを小さく生成する特許技術を開発し、FOTAソリューション「vCurrent Mobile」を販売している。本社は米国ボストン郊外にあり、開発拠点はイスラエル。シーメンスやソニー・エリクソン、LG電子などと契約しており、シーメンスからはvCurrent Mobileを搭載した携帯電話が出荷済みだ。米レッドベンド・ソフトウェア CEO ヨラム・サリンジャー(Yoram Salinger)氏は、「当社は携帯電話のFOTAソリューション市場の50%以上のマーケットシェアを誇っている。今後は、日本のメーカーやキャリアにも食い込んでいきたい」と語り、日本市場での目標を示した。

 vCurrent Mobileは、サーバ側の「vCurrent Mobile Update Generator」とデバイス側の「vCurrent Mobile Update Installer」で構成されている。vCurrent Mobile Update Generatorでは、アップデート後のプログラムとアップデート前のプログラムを比較・抽出し、差分ファイルを作成。デバイスにあらかじめインストールされているvCurrent Mobile Update Installer向けに差分ファイルを配信し、アップデートを実施する。その際、万が一の事故に備えて、独自のフェイルセーフ機能を搭載しており、「アップデート中に携帯電話の電池がなくなる」ような場合でも、アップデート前のオリジナルイメージに戻すことができるという。今後は、バグ修正などだけではなく、アプリケーションの機能拡張や、ファームウェアのバージョン管理機能などを付加し、携帯電話メーカーだけではなく、携帯電話キャリアにもソリューションを提供していきたいとした。

レッドベンド・ソフトウェア・ジャパン 代表取締役社長 阿部一博氏
  日本法人は10月27日付けの設立だが、法人設立1年前より準備活動を行っており、同日付でシャープがvCurrent Mobileを採用したと発表した。レッドベンド・ソフトウェア・ジャパン 代表取締役社長 阿部一博氏によると、「シャープは1年前より、世界各地のラボで評価を開始し、差分ファイルの小ささなどを評価して他社製品からの乗り換えを決めた。まもなくボーダフォンからvCurrent Mobileを搭載したシャープ端末が出荷される予定だ」と語り、シャープとの契約の背景を説明した。

 レッドベンド・ソフトウェアはシャープとの契約を足掛かりに、ほかの携帯電話メーカーや携帯電話キャリアへの契約の拡大を狙う。阿部氏は「2006年にはシャープ以外に、3社と契約すべく話を進めている。キャリアと共同でアプリケーションをアップデートする機能も開発していきたい」と語り、今後の日本における展開を明らかにした。

(@IT 大津心)

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レッドベンド・ソフトウェア

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