「BPMが流行語になる背景は?」、シェアー博士が解説

2006/1/21

 「ビジネスプロセスマネジメント(BPM)が流行語になるのはなぜか。今回はその背景を探ってみたい」IDSシェアー・ジャパンが1月20日に開催したセミナーで、IDSシェアー AGの会長 アウグスト・ヴィルヘルム シェアー博士はこう述べた。

IDSシェアー AGの会長 アウグスト・ヴィルヘルム シェアー博士

 シェアー博士によるとBPMが求められる背景にはITシステムの投資回収の困難さがある。多くの企業ではITシステムを入れただけではコスト削減や収益の増大には結びつかない。ポイントはビジネスプロセスの最適化。そのためにBPMツールが求められているとシェアー博士は説明する。「ITはプロセス改善と一緒に使うことで初めてそのメリットを発揮できる。ITと経営は常に密接に結びつけることが重要だ」

 ただ、ITと経営を密接にリンクさせることは、ビジネスプロセスやITシステムの複雑化という別の問題を生む。顧客の要望に合わせてボディの色やシートの種類などを選択できる自動車の販売ではその背後に多種多様なビジネスプロセスが実行されている。そのような複雑化するBPMの状況下に対して「グッドニュースがある」とシェアー博士はいう。それは「サービス指向アーキテクチャ」(SOA)の登場だ。

 ERPはベストプラクティスのビジネスプロセスを適用することで業務の効率化を達成した。しかし、「モノリシックで柔軟性に欠けている」(シェアー博士)。SOA環境ではさまざまなアプリケーションがモジュール化され、機能はオブジェクトやコンポーネントとして自由に組み合わせられるようになる。標準技術を採用していないレガシーシステムなどとの連携も容易になり、ビジネスプロセスの複雑性の解決に役立つとシェアー博士は解説した。

 SOA環境におけるBPMでは、ビジネスプロセスを柔軟に構築するための「プロセスエンジン」が必要になる。プロセスエンジンはEAIやEIPなど複数の技術で構成。IBM WebSphereやMicrosoft .NET、SAP NetWeaver、Oracle Fusion Middlewareなどが代表的なプレイヤーになるとシェアー博士は述べた。

 シェアー博士は自社のBPMツール「ARIS」とSAP製品の連携を強調した。「ARISとSAP製品はリポジトリを共通化している。そのためARISが提供する、エンドユーザーからみたビジネスプロセスの定義と、SAP製品が提供するビジネスプロセスの定義を容易にマッチングできる」。SAP以外の製品ともBPELを使うことで連携できるようにしているという。シェアー博士は「多種多様なプロセスをコントロールするにはルールという考えが重要になる」として「次世代のソフトウェアはルール指向型になる。IDSシェアーでもルールエンジンの開発を行っている」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
IDSシェアー・ジャパン

[関連記事]
ARIS PPM新版は「ERPに命を与える」、IDSシェアー (@ITNews)
IDSシェアーがパートナー組織、BPMの大ブレークに備える (@ITNews)
SAP NetWeaverの次期リリースでBPM機能が完全統合 (@ITNews)
将来はカスタマイズなしのSAPワールドを、IDSシェアー (@ITNews)
上流と下流をスムーズにつなぐ業界初のEA構築体系 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)