Exchange Server 2007は64bit対応でパフォーマンスを改善
2006/7/29
マイクロソフトは7月28日、次期Office製品群「the 2007 Microsoft Office system」のうち、メッセージングサーバ「Microsoft Exchange Server 2007」とメールクライアント「Microsoft Outlook 2007」の説明会を開催した。説明を行ったのは、マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWインフラストラクチャ製品グループ シニアプロダクトマネージャ 三野達也氏。
Exchange Server 2007の開発コンセプトは、「セキュリティ/コンプライアンス」「エンドユーザーの特性」「管理性の向上」の3点。例えば、セキュリティ面では迷惑メール対策やスパイウェア/ウイルス対策、電子メールの保存機能などの問題を抱えている。管理面ではサーバダウンタイムや運用管理工数の削減が、生産性の向上ではモバイルアクセス環境やカレンダー機能の整備などが課題に挙げられた。
マイクロソフトでは、これらの課題を解決すべく、セキュリティ面ではウイルスやスパム対策機能の強化を図り、生産性の向上ではユニファイドメッセージングやモバイル対応機能強化が、運用管理の効率化ではバックアップなどで管理性の向上を図ったという。
マイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 IWインフラストラクチャ製品グループ シニアプロダクトマネージャ 三野達也氏 |
これらの機能向上のため、アーキテクチャも大きく変更した。従来のバージョンでは「フロントエンドサーバ」と「バックエンドサーバ」の2種類だけだったが、今バージョンでは「エッジサーバ」「ハブトランスポートサーバ」「ユニファイドメッセージサーバ」「メールボックスサーバ」「クライアントアクセスサーバ」の5種類に増加した。また、「従来のメールサーバではメモリ量が少ないために、電子メールのやりとりのたびにハードディスクに読み書きしており、ボトルネックになっていた。この点を解消するために、今バージョンではネイティブ64bitに対応。大幅にメモリ空間を増やすことにより、ハードディスクへの書き込みをExchange Server 2003と比較して約70%削減した。これにより、パフォーマンスの向上とOSへの負荷を軽減できた」(三野氏)という。
コンプライアンス対応では、ポリシーに基づいた保管や送受信制御・監査が可能になった。例えば、必要な電子メールには免責事項を自動的に添付することができるほか、「企業秘密」や「A(Attorney)/C(Client)特権」などといったラベルを付けることもできる。また、電子メールの保存や削除をユーザー任せにさせないために、契約情報や取引先情報などの重要文書を、管理フォルダに移すことによって管理者しか追加/変更できない機能などを用意した。例えば、契約書などの重要書類を受信した場合、この管理フォルダへ移動させれば、管理者しか削除などができないため、うっかり削除してしまうミスなどを減らすことができるという。
情報漏えい対策面では、Exchange Server 2007は既定でメッセージを暗号化する。そのほか、電子メールにポリシーを設定し、印刷や転送をできなくする「Information Rights Management Services SP2」(IRM)との連携を実現。設定されたポリシーによって、自動的にIRM付きメールを送受信できるようになった。
スパム対策も強化し、複数のフィルタリング技術を用いた多層化スパム対策を実現した。具体的に受信メールは、受信許可/禁止リストなどを参照する「接続フィルタリング」を最初に通過し、次にSenderIDや送信者/受信者フィルタリングを参照する「SMTPフィルタリング層」を、最後にコンテンツの中身を評価する「コンテンツフィルタリング」を通過しなくてはならない。それでも疑わしい場合には、ユーザーの迷惑メールボックスに送り、ユーザー自身の判断に委ねるという。
ウイルス対策は、Enterprise CALに含まれる「ForeFront Security for Exchange Server」(旧Antigen)で対応する。ForeFront SecurityはCAやソフォスなど複数ベンダのウイルス対策エンジンに対応し、複数のエンジンを同時に動かすことができる。また、これらの機能をASP形式で提供する「Exchange Hosted Services」4種類も用意した。
Outlook 2007では、利便性向上のために「ビジネスユーザーが日常業務で必要な情報を一元管理できるようにした」(三野氏)という。具体的には、画面上にインスタントサーチ機能やToDoバー、添付ファイルをワンクリックで表示できるワンクリックビューなどを用意。Outlookの立ち上げ画面だけで必要な情報をほぼ確認できるようにした。
CAL(クライアントアクセスライセンス)の体系も一新した。従来は「Exchange CAL」のみだったが、新たに「Exchange Enterprise CAL」を新設。Enterprise CALでは、ユニファイドメッセージングやコンプライアンス機能、スパム/ウイルス対策機能なども利用できる。今後のスケジュールは、秋ごろまでに早期導入企業でのテストを10社程度で始めるほか、ハードウェアベンダや対応ISVパートナーとの共同検証を行う。そして、年内には開発を完了させたいとした。
(@IT 大津心)
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