OSSの評価・検証の選別基準、野村総研が作成

2006/8/9

 野村総合研究所(NRI)は8月8日、オープンソースソフトウェア(OSS)をレーティングした「NRIオープンソースマップ」を作成したと発表した。オープンソースソフトウェアの評価・検証の選別基準として提供する。

野村総合研究所 情報技術本部 技術調査室 主任研究員 城田真琴氏

 24のOSSを、2006年6月に公開されている情報を基に、関連ドキュメントの量・種類、リリース回数、品質などの「達成度」と、Webサイトでの関連用語の登場回数、検索サイトでのヒット数といった「プレゼンス」という2つの軸でマッピングした。

 2006年6月の時点では、「MySQL」「PostgreSQL」「JBoss Application Server」「Apache Tomcat」が、成熟度、プレゼンスともに高いレーティングを得た。同社は今後、開発フレームワークも評価対象に加えていくとする。

 OSSの評価・検証フレームワークとしては、米国でも標準のフレームワーク(Business Readiness Rating for Open Source:BRR)が開発中である。カーネギーメロン大学とSpikeSource、インテル、オライリーがスポンサーとなって開発が進められている。企業ユーザーに対して、対象とするオープンソースが採用に値するかどうかの判断材料を提供する。レーティングの結果は5段階(「素晴らしい」から「受け入れがたい」)。

 レーティングの仕組みは、「NRIオープンソースマップ」と比較すればやや複雑である。標準化された評価指標(「過去1年のマイナーリリースの回数」や「過去1年のパッチリリースの回数」など)を重要性に応じて加重割り当てを行い、「機能」「ユーザービリティ」「品質」「セキュリティ」など12項目について評価を実施する。そのうえで、各カテゴリ内の項目に対してさらに加重割り当てを行い、5段階評価をするのである。

 野村総合研究所 情報技術本部 技術調査室 主任研究員 城田真琴氏によると、昨今のソフトウェア業界のキーワードはオープンソースに関係したものが多く、同時にSOA、SaaS、Web2.0の融合が今後の技術トレンドとして現在以上に顕在化するという。「SaaSとWeb2.0サービス、SOAとの境界は今後ますます曖昧(あいまい)になり」(城田氏)、ソフトウェア業界においては、オープンソースによる開発案件が常態化することは必至となる。OSSの評価・検証フレームワークは、このような状況から必然的に生まれてきたものである。

(@IT 谷古宇浩司)

[関連リンク]
野村総合研究所

[関連記事]
診断した5割のWebサイトで不正アクセス可能、NRIセキュア (@ITNews)
NRI、ITILに“What”は載ってるけど“How”はない (@ITNews)
シングル・サインオンでは不足、サンとNRIのID管理とは (@ITNews)
電波が足りない! NRIが無線ブロードバンドで警告 (@ITNews)
テキストマイニング技術で特許分析、NRIなど (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)