リコールによるブランド被害はない、国内シェア1位は間近〜デル社長
2006/8/30
デルは8月29日、報道関係者向けの説明会を実施。デル 代表取締役社長 ジム・メリット(Jim Merritt)氏が同社の第2四半期の状況や、8月中旬に発覚したノートPCのバッテリ自主回収の件などについて説明した。
デル 代表取締役社長 ジム・メリット氏 |
同氏はこの件について、「実際に事故が起きる確率は極めて低いものだ。しかし、ユーザーに万が一のことがあってはならないので、ユーザーのことを第一を考えて即座に自主回収を決めた」とコメント。原因は、ソニーのバッテリの製造過程の問題であるとしたものの、両社で協力して回収を順調に行っており、ユーザーの評価も高いと強調した。デルへの影響については、「発表後数日間は、すごい電話の数だったが現在は落ち着いている。デルのブランドイメージについても、迅速に自主回収を発表したことでユーザーの高い評価を受けており、被害は受けていない」と説明。今後のソニーとの関係については、「ソニーとの間で費用分担の話も行っており、当社が財務的な影響を受けることはない。個人的にはソニーは今後も重要なパートナーだと考えており、今後も他社に乗り換えることはないだろうと考えている」と強調した。
デルの第2四半期決算は、全社が前年同期比5%増の141億ドル、日本を含むアジア太平洋地域が同17%増の19億800万ドルだった。出荷台数は全社が前年同期比6%増だったのに対して、アジア太平洋地域は27%増で大幅に増えた。シェアは、全社が19.3%で1位、アジア太平洋地域が前年同期比1%増の11.1%で3位から2位に上昇した。
事業分野別では、ストレージなどを含む「エンタープライズ」が前年同期比11%増、サービスが同21%増、ソフトウェアと周辺機器(S&P)が同10%増、モバイル製品が同8%だった。メリット氏は「エンタープライズ分野はストレージの伸びが、S&Pはレーザープリンタの34%増がけん引した。モバイル製品は出荷台数ベースでは22%増と大幅に伸びた」とコメントした。
一方、日本市場における第2四半期は、出荷台数が前年同期比で14%伸びてシェア16.1%を獲得し、3位から2位に浮上した。分野別では、デル・プロフェッショナル・サービス(DPS)が過去数四半期で70〜100%成長した点や、S&Pの30%増がけん引材料となった。顧客満足度では、宮崎のカスタマーセンターを増強し、400名体制になった。第2四半期についてメリット氏は、「非常に順調な四半期だった。エンタープライズ/サービス事業では、第9世代サーバの発売に伴いサービスが好調で、大手通信事業者のメールサーバ統合や大手銀行のディザスタリカバリーシステム、大手製造業のSAPのオープンシステムへの移行など、大型案件を獲得できた。また、コンシューマ対応では遠隔操作でサポートを行う『DellConnect』が好評だった」とコメントした。
日本におけるシェアは、現在の同社は法人向けが1位、コンシューマ向けが5位であると説明。コンシューマ向けはデスクトップが1位ながら、ノートPCが4位だという。この点についてメリット氏は、「コンシューマ市場をもっと強化したい。具体的にはリアル店舗の改良や、より軽量化したノートPCモデルやオールインワンモデルの投入なども検討している。ただし、シェア獲得だけを目指して値下げ攻勢するのではなく、売り上げと利益のバランスを取っていきたい。第3四半期はこれまでと同様に売り上げと利益を保つつもりだ」と語った。
(@IT 大津心)
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