データウェアハウスはトップダウンでなければ導入できない!?
2006/9/21
米国フロリダ州オーランドで開催されている米NCRのユーザーイベント「PARTNERS 2006」で、NCRのテラデータ事業部トップである米NCR テラデータ・ディビジョンのシニア・バイスプレジデント マイク・コーラー(Mike Koehler)氏に、テラデータ事業の今後について聞いた。
■ノウハウの集積と分散がインテリジェンスの向上につながる
――PARTNERSのテーマ「エンタープライズインテリジェンス(EI)を解き放て」はどのような意味を持っているのでしょうか。
米NCR テラデータ・ディビジョンのシニア・バイスプレジデント マイク・コーラー氏 |
コーラー氏 まず、最初にいいたいのは、PARTNERSはユーザーが運営するイベントなので、このテーマもユーザー自身が考えたものです。ただ、私なりに解釈すると、「現在、さまざまな部署に分散しているノウハウを一カ所に収集し、その後、DWHとして解き放つことですべての部署で使えるようにする」ことだと思います。
つまり、従来の会社では営業部門、マーケティング部門、人事部門などが、それぞれ個別に営業情報、マーケティング情報、人事情報といった情報やノウハウを蓄積していて、統合していませんでした。この場合、同じデータが複数の部署で重複しているなど、検索性の面でも、データベースの容量面(コスト面)でも効率が悪かったのです。統合すれば、重複分のコスト削減が可能です。また、「どのユーザーが何の製品を買ったのか?」といったことも分かってくるので、インテリジェンス性も上がってきます。
――テラデータ事業部の現状と戦略を教えてください。
コーラー氏 テラデータのコア事業は「CRM分析」「SCM分析」「ファイナンシャルマネジメント(財務管理)分析」の3分野における分析です。この分野を拡充させるために、SCM分野では「cCommerce」を、財務管理分野では「DecisionPoint Software」を小規模ながら買収しました。
この主要3分野においては、自社と他社を問わず、ソリューションを合わせて提供していきます。そして、3つの目標を達成したいと思っています。1つ目は「テラデータのマーケットの守備範囲を広げること」、つまり、現在の3分野以外にも進出していきます。2つ目が「マーケットシェアの拡大」。3つ目が「パートナーシップの拡大」です。3つ目のパートナーシップの拡大をさせることは、マーケットの守備範囲とマーケットシェアの両方の拡張につながるので、特に力を入れたいと思っています。
――Web 2.0やSOAが注目を集めていますが、テラデータへの影響はあるのでしょうか?
コーラー氏 昔、インターネットが普及し始めたころにも同じような質問を受けましたが、テラデータにとってインターネットやWeb 2.0は、データソースの1つにすぎません。インターネットにしても、Web 2.0にしても、RFIDにしても、データソースであり、テラデータはそのデータを収集・分析するのが役目です。ただし、SOAに関しては、各社のSOA戦略にフィットして、その一部となることが重要だと考えています。
■日本でDWHを広めるためにはトップダウン方式経営の導入が必須
――日本ではDWHの浸透度が弱いと感じられますが、どうすればよいのでしょうか?
コーラー氏 日本の場合は特に縦割り社会なので、横串的なソリューションの導入には抵抗があるでしょう。やはり、縦割りを変えるリスクを考えると“現状維持”という経営判断が多くなっていると思います。
米国でも、業界によっては縦割り文化がとても強く、日本と同じように縦割りから横串への組織変更には抵抗がある企業も多いのです。一方で、導入に成功している企業のほとんどは、トップダウン形式で導入しています。CEOやCIO、CTOといった「CxOレベル」の意思決定によるトップダウン導入が必要です。
口コミも有効です。口コミで導入したユーザーも多いです。また、このようなユーザー会で事例を聞くことも重要でしょう。事例をきっかけにして、導入を決意するケースもあるようです。
――競合他社もDWH市場への参入を本格化してきていますが。
コーラー氏 最近、ほかのDBメーカーがDWHへの参入を始めてきています。しかし、まだ彼らのDWHは、ステージ1〜2の間くらいでしょう。ステージ1〜2とは、レポートや分析ができるようになったくらいのレベルです。
テラデータのDWHは、いまのところレポートや分析機能だけを見ても、他社の機能性能を上回っていますが、当社はさらに上のステージ3〜5に達している点が大きいのです。ステージ3〜5の機能は当社で「アクティブデータウェアハウジング」と呼んでいるものです。
アクティブデータウェアハウジングでは、意思決定システムやリアルタイムDBが必要で、これらのデータを利用して、将来的なユーザーの要求にも応えられるというものになっています。
――新CEOのビル・ヌーティ氏が就任して1年経ちますが、何か変化はありましたか。
コーラー氏 ヌーティ氏はハイテク産業出身者なので、テラデータ部門は投資がしやすくなりました。われわれの要求を理解してくれるからです。まだ1年間なのでそれ以上の判断は難しいですが、この1年間も決算は順調なので今後も期待しています。
(@IT 大津心)
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