ケータイとリーダをドッキング! 日立がミューチップリーダ開発

2006/9/28

 日立製作所とKDDIは9月27日、非接触ICチップ「ミューチップ」の読み取りができる携帯電話用ミューチップリーダを開発した。リーダで読み取ったデータをサーバなどに送る際には携帯電話の通信機能を使うので、「屋外など、ネットワークインフラが整っていない環境でもRFIDタグのデータを送信できるようになる」(日立製作所 情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部 事業部長 井村亮氏)とメリットを説明した。

左)日立製作所 情報・通信グループ トレーサビリティ・RFID事業部 事業部長 井村亮氏
右)KDDI 技術統括本部 技術開発本部 本部長 渡辺文夫氏
  リーダはauの携帯電話に装着してミューチップにかざすことで、読み取ったミューチップの情報をBluetooth通信を使って携帯電話へ伝送する。リーダと携帯電話は一体型ではなく切り離すことが可能で、対応する携帯電話は「BluetoothとBREWに対応しているauの携帯電話であれば、基本的にどれでも対応できる。一体型だと、開発規模が膨らむことや一定期間ごとに再度開発を行わなければならないため、独立型にした」(KDDI 技術統括本部 技術開発本部 本部長 渡辺文夫氏)と説明した。

 このリーダは、ミューチップ専用のリーダで2.45GHz帯に対応。響プロジェクトやそのほかのICタグは読めない。リーダの読み取り可能範囲は「5センチ程度。携帯電話と組み合わせて利用するため、基本的にタグにかざす感じで使うことを想定している。従って、5センチでも問題ないだろう」(井村氏)とコメントした。リーダの電源は単4電池2本を利用する。10月2日から販売を開始し、納期は5カ月程度だという。

 両社はすでにテスト運用が始まっているケースとして、レール敷設/保線管理システムを紹介した。このケースでは、電車の線路脇にある杭にミューチップを埋め込み、さらに携帯電話のGPS機能を組み合わせて、位置情報もサーバ上で管理する。線路管理は屋外でネットワークインフラが整っていないので、携帯電話との連携が有効だった。ミューチップIDと位置情報をサーバ上に保管しておくことで、メンテナンス個所の特定が正確に行えるようになり、運用コストが削減し、作業ミスも低減したという。

 ほかに想定している利用形態には、荷物にミューチップを貼り付け、このリーダで随時読み取ることで、ほぼリアルタイムなトレーサビリティを可能とするシステムや、入退室システム、エレベータの保守点検システムなどを挙げた。井村氏は、「現在はビジネスユース中心の利用形態を想定しているが、将来的には食品トレーサビリティやリサイクルなどのコンシューマユースでも使えるようにしたい。コンシューマに広がればRFIDタグの普及率も劇的に伸びるだろう」と語った。

 今後の展開について井村氏は「海外を含めた対応機種の拡大や、将来的にはリーダを内蔵したい。販売目標は今後3年間で100億円とし、携帯電話用ミューチップリーダを3年間で1万台出荷したい。SI事業も含めたソリューション事業では、5年間累計1800億円を目指す」と語った。

携帯電話用ミューチップリーダと携帯電話をくっつけたところ。リーダの大きさは携帯電話と同じくらい。Bluetoothで通信するのでくっついていなくても問題ない 携帯電話用ミューチップリーダと携帯電話を離したところ。左が携帯電話用ミューチップリーダだ。大きさがほぼ同じくらいであることが分かる。将来的には内蔵型にしたいという

(@IT 大津心)

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日立の発表資料
KDDI

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