実業に根ざして使う人の視点を重視する
日立製作所
柏木 恵子
2006年7月19日
トレーサビリティが築く新しいマネジメント技術へ
――RFIDの未来像についてのお考えを聞かせてください
中島 RFIDの進化の先は、大きく分類すれば2つでしょう。1つは、いろいろなものにRFIDタグがついて、どこでも使われ、コストがほとんど気にならないほど普及していく。日立としては響プロジェクトで5円タグというものを作っています。シンプルで安く、すべての商品にタグが付いている世界です。
【響プロジェクト】 経済産業省の研究開発委託事業として2004年8月に開始され、2006年7月に終了する。電子タグ普及・発展のために低価格で高品質な電子タグを開発し、市場に安定供給するのが目的である。 |
もう1つは高機能化、高付加価値化です。例えば、RFID自身がセンサ機能や通信機能を持つことです。バッテリだとメンテナンスコストが掛かるので、それ以外の給電システムを搭載するとか、RFID同士がアドホックネットワークをつくって全体で1つの系をなしていくといったことも考えられます。
そのような高機能チップを安くして、それをSCMに利用する。日本人はきめ細かなサービスの提供というメンタリティがあります。物流の場面での、温度や直射日光に当たっていないか、衝撃が加わってないかといったあらゆる環境を管理するといった進化の形もあるでしょう。
また、いまはビジネスユースばかりですが、もっとコンシューマ向けのところにRFIDが使われるようになってくると思います。例えば、QRコード(2次元バーコード)で展開されているようなエンターテインメント性のあるサービスがありますが、RFIDを使うとQRコードではできないようなことまでできるようになるかもしれない。そうなると、デジタルカメラや携帯電話にもRFID機能が入ってくるでしょう。
――日立としての今後の展開は
中島 日本企業の国際競争力はかなり高いと思っています。それはSCMの力です。日本人のマネジメントは精度が高く、他国より圧倒的に優位なポジションにある。ウォルマートは、RFIDというツールを使って日本と同じレベルにまでマネジメントの精度を高めようとしているものです。
だから、日本はさらにその先を行かなければいけない。米国でやっているのをまねするのではなく、日本企業が知恵と知識と情熱を傾けて、世界に負けない次の管理の在り方をつくり上げていかなければいけないのです。
日立は、トレーサビリティに力を入れ、それが築く次のマネジメント技術といったものを生み出していきたいと思っています。だからこそ、日立自身が実業を持っているということがとても重要で、自社の事業をどうよくしていくかという知恵をソリューションの中にどんどん入れ込んで、ブラッシュアップしていきたいと考えています。
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Index | |
実業に根ざして使う人の視点を重視する日立製作所 | |
Page1 チップからSIまでワンストップで提供する日立 |
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Page2 ユーザー企業の価値向上のためシステム全体として考える |
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Page3 RFIDによって情報の精度・密度・鮮度が上がる |
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Page4 セル型生産方式にRFIDが有効な手段になり得る |
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Page5 トレーサビリティが築く新しいマネジメント技術へ |
RFID+ICフォーラム トップページ |
RFID+ICフォーラム 日本のRFID業界をけん引する人々 |
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