テラデータのDWHに移行したことで、攻めのシステムに〜UFJニコス

2006/9/30

 米国フロリダ州オーランドで開かれたイベント「PARTNERS 2006」にて、UFJニコス システム部池袋システムセンター システム開発第2グループ 上席調査役 原誠氏が、同社におけるテラデータの導入事例を紹介した。

UFJニコス システム部池袋システムセンター システム開発第2グループ 上席調査役 原誠氏
 UFJニコスは、2005年10月に日本信販(ニコス)とUFJカードが合併してできた会社で、2007年4月にはさらにDCカードと合併する予定。資本金は1017億1200万円、従業員数5595人。クレジットカード会員数は2002万人で、提携店舗は279万店、取引金額は4兆8914億円に上る。

 事業内容は「クレジットカード」「ショッピングクレジット」「信用保証業務」「ローン」「消費者金融業」「リース業」となっており、事業別の2005年における取扱額は、クレジットカードが2兆8418億円で全体の58.1%、ショッピングクレジットが2813億円で同5.8%、信用保証業務が6163億円で同12.6%、ローンが1兆1356億円で同23.2%、そのほかが161億円で同0.3%だった。同社はこの売上状況を受けて、リテールファイナンス業界で1位を狙うために、「顧客の忠誠度(ロイヤリティ)」「収益性」「カードショッピング取扱高」「経済力」の4つの分野で優位を保つことを目標にした。

 原氏によると、この目標を達成するには1999年に構築した旧システムでは問題があったという。旧システムはオラクルをベースとしたDB管理システムで、64テーブル、4000項目で構成されており、最大で2年間分のデータを保持できる容量だった。問題はパフォーマンスで、検索に非常に時間がかかっていたほか、月次パッチを実施するために2日間システムを止めなければならなかった。また、「システム拡張をするために3カ月間の期間と新規構築並みのコストが必要になるなど、拡張性にも問題があった」(原氏)という。

 この状況を受けて同社ではさまざまなテストを行い、その結果としてテラデータへの移行を決めた。その理由には、当時の5年分のデータ量を使った事前テストで非常に高速な検索結果が得られたほか、簡単にディスクやノードを追加できる点、チューニングなしで自動的にパフォーマンス改善が図れる点などを挙げた。原氏は、「従来のシステムは営業やマーケティング部門でしか利用できなかったが、新しいシステムへ移行することで、それ以外の部門でも利用できるようになり、利用の幅が格段に広がった」と語った。

 原氏によると、システム移行時にテーブルなども変更し、最大で5年間分のデータを保存できるようにしたほか、新たな属性などを持たせるために400テーブル、2万項目まで増やしたという。その結果、月間3000万件のデータ処理を行うために、生データで5テラバイトまでデータの取り扱い量が拡大した。「このように取り扱いテーブルやデータ量は増えたのにもかかわらず、以前のシステムよりもはるかに詳細なレベルで顧客情報の統一管理ができるようになった」と原氏。

 そのほか、日次バッチが6時間から2時間に、月次バッチで2日間システムを止めていたものが数時間でできるようになり、システムを止める必要がなくなるなど、「パフォーマンスの改善効果は大きかった」(原氏)と語り、パフォーマンスの改善が数字にしっかりと表れた点を強調した。

 新システムへ移行したことによって、同社は新しい戦略を立案し、与信システムを見直したという。従来の与信はリスクを軸とした判断基準だったが、一定のリスクがあっても利益を重視した軸へ変更した。ただし、カード会員の保存できる属性情報が増えたことによって与信の判断材料が増え、「従来のリスク重視の判断基準は、リスクは低減できるものの、収益性を維持しにくかった。一方、新システムではある一定範囲のリスクの中で、非常に利益率の高い顧客を取得できる」(原氏)と説明した。

 実際には、利益率の高い顧客の中から、カード利用期間が長い顧客や、一般的にカード利用の多い顧客などを「忠誠心の高い顧客」として選別した。この忠誠心の高い顧客に対して、さまざまな特典を与えることで、それらの優良顧客に「いかにメインカードとして使ってもらうか」ということを訴求し、結果的に収益の増加につながらせたいというものだ。

(@IT 大津心)

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日本NCR

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