電子メールアドレス収集に悪用か
トレンドマイクロの対策ソフト装うトロイの木馬
2008/01/15
トレンドマイクロのセキュリティ対策ソフト「Rootkit Buster」を装い、ユーザーの電子メールアドレスを収集しようと試みる悪質ソフトが発見された。トレンドマイクロが1月12日、自身のブログで報告し、注意を呼び掛けている。
この偽ソフトウェアの実体は、トロイの木馬「TROJ_FAKEBUSTR.A」だ。実際のRootkit BusterとそっくりなGUIを備えており、さらにアクティベートやアップデートのため登録を促すウィンドウを表示させる。しかしこれは、ユーザーの電子メールアドレスを収集するための「わな」だ。もしこのフォームにアドレスを記してボタンを押してしまうと、悪意あるユーザーの手にそれらの情報が渡り、さらなるスパム配信などに悪用される恐れがある。
トレンドマイクロによると、この偽ソフトウェアへのリンクは、「www.bestfreewaredownload.com」や「betterwindowssoftware.com」といったフリーウェアダウンロードサイトの登録ユーザー向けにばらまかれたスパムに記されていた。
トレンドマイクロによると、今のところ、偽Rootkit Busterについての国内からの報告は寄せられていない。
しかし同社では「トレンドマイクロのツールに限らず、どのようなソフトウェアであっても出元を確認してほしい」(広報部)とし、改めて注意を呼び掛けている。基本的には、電子メール中に記されたURLをそのままクリックすることは避け、ベンダのサイトに直接アクセスするほうが望ましい。また、リンク先は必ずしも期待したとおりのものであるとは限らないことを踏まえ、URL情報を確認し、ジャンプ後もデザインなどに不審な点がないかに注意を払うといったポイントに留意すべきという。
Rootkit Busterは、トレンドマイクロが2007年1月に公開したセキュリティ対策ソフトだ。通常のウイルス対策ソフトでは検出が困難な、rootkit技術を用いたマルウェアを検出、削除することができる。
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