[Analysis]

C#設計者が語る5年後のプログラミング

2006/02/14

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 「プログラミングは命令型から宣言型に変っていく。この変化に対応するのがLINQ(Language Integrated Query)プロジェクトだ」。米マイクロソフトのDeveloper Division テクニカル フェローのアンダース ヘルスバーグ(Anders Hejlsberg)氏はプログラミング言語の将来をこう予測し、彼が主導するプロジェクトの重要性を説く。「データベースとプログラムのミスマッチを解消する」というのがLINQプロジェクトに与えられた使命だ。

 ヘルスバーグ氏はC#プログラミング言語のチームデザイナー。.NET Framework開発の主要メンバーも務める。ヘルスバーグ氏は現在のプログラミング言語の課題をこう説明する。「プログラムを書いている開発者の80%はデータベースにアクセスしている。しかし、データベースのコンセプトとプログラム言語のデータセットは構造がまったく異なり、作業効率が向上しない」。この問題を解決するのがLINQプロジェクト。具体的にはプログラム言語にクエリの機能を統合することで、データベースへのクエリの手間を減らすことができるという。

 ヘルスバーグ氏はLINQプロジェクトの狙いを「プログラム言語のレベルを上げて、現在の命令型プログラミングを宣言型プログラミングに移行させていくことだ」と説明した。命令型プログラミングでは開発者は「プログラムの実行の仕方を具体的に指定する必要がある」。

 しかし、LINQプロジェクトで考えられている、SQLを統合する宣言型プログラムでは、「開発者は、パラメータを指定するなどシステムがやるべきことを決定する。実現の方法ではなく、開発者はプログラムで何をやりたいかをより指向する」という。LINQプロジェクトは、将来的にはC# 3.0に盛り込まれると見られる。

 また、ヘルスバーグ氏は「プロセッサはマルチスレッドの方向に進んでいる。しかし、アプリケーションがどう対応すればいいのかは分かっていない」と述べ、今後5〜10年の情報システム環境の変化を考えると、宣言型プログラミングに加えて、より容易なプログラミングを実現する「同時処理プログラミング」が求められると指摘した。

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