整形式のXML文書

Well-Formed XML Document

 表面的な形式だけが整えられたXML文書を「整形式のXML文書」と呼ぶ。整形式とは、「形式が整えられている」という意味であって、「整形された式」ではないことに注意。より具体的に言うと、XML文書を記述するときに、DTDに関する情報を記述しないものが、整形式のXML文書である。また、XMLアプリケーションプログラムを記述する際に、DTDの情報を参照しないという選択も可能である。

 整形式のXML文書に対して、DTDを明示して構文の検証を行うXML文書を、「妥当なXML文書」と呼ぶ。

 ただし、DTDに記述された内部実体の定義などは、整形式のXML文書であっても参照される。つまり、DTDのスキーマ言語的な側面は無視されるが、それ以外の要素は意味を持つ場合があることに注意が必要である。

 整形式のXML文書が許されることは、XMLの大きな特徴の1つと言える。SGMLにおいては、基本的に、DTDを明示することが原則であった。しかし、必ず明確なDTDを示さねば処理できないというのは煩雑であり、また、いちいちDTDに適合するかどうかチェックするのは処理が重くなり、ソフトウェアも複雑になった。これらの問題を解決するために、XMLでは、DTDを必須としない整形式のXML文書という考え方を導入したのである。この点で、SGMLよりも、XMLの方が、思想的に新しい段階にあると言える。実際にSGMLでは、多くの事例において、互いに矛盾する経験的な規範が存在するなどの理由で厳密な規定を作成できない問題が起きており、厳密な文書の規定を求めることに対する弊害があった。

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