こうして、NECの検証によりOracle Database In-Memoryによる高速化の効果が実証されたわけだが、導入に際しては、前述のポピュレーションの他にも注意すべきことがある。廣田氏がまず指摘するのは、OLTP系処理との共存だ。
「インメモリ化した表に対してOLTP処理を実行した場合、その処理のTAT(Turn Around Time)に影響が出る可能性があります。したがって、厳密にTAT遅延が許されないSQLや高負荷環境での利用には考慮が必要です。なお、この動作は最新のパッチでは緩和されているとの情報もあり、影響度を確認しています」(廣田氏)
また、ポピュレーション時にはCPUの負荷が高まる点も考慮すべきポイントだ。
「データベース起動時など大量のデータをポピュレーションする際には、多くのCPUリソースが消費されて高負荷な状態となります。ここで注意する必要があるのがワーカープロセスです。同プロセスは割り当てられたCPUコアをほぼ100%使用するので、ワーカープロセスに割り当てるコア数やポピュレートを実行するタイミングなどについて事前に十分検討する必要があります。このようなリソース設計や運用の検討には、検証で得た基礎データが有用だと考えています」(廣田氏)
なお、前述したようにポピュレーションには相応の時間がかかるため、起動直後は全ての表に対してインメモリのクエリを実行するのは難しい。そのことを踏まえ、「インメモリ化する表の優先度を考慮してポピュレーションするなど、運用を十分に検討することが重要」だと廣田氏はアドバイスする。
NECでは、これらの綿密な検証によってOracle Database In-Memoryの設計/運用ノウハウや動作に関する詳細な情報を蓄積したことで、顧客システムに展開する準備が整ったという。さらに今後も、「見つかった課題の回避策や運用のベストプラクティスなどをさらに把握するために、オラクルとも密接に連携を取りながら、引き続き検証を行っていきます」と廣田氏は語る。
今回の検証を通じてOracle Database In-Memoryの特性をつかんだ廣田氏は、同製品が特に効果を発揮するシステムとしてデータウエアハウス(DWH)やデータマート系のシステムを挙げる。
「まずはDWHやデータマート系のシステムを中心にお客さまへの提案を積極的に行っていきます。これらのシステムでは特に効果が大きいので、すぐにでも導入をお勧めしたいですね。従来、DWHでは専用のハードウエアを使うのが前提という風潮がありましたが、Oracle Database In-Memoryの登場により、そうしたイメージが変わると思います」(廣田氏)
一方、OLTP系システムにOracle Database In-Memoryを適用する場合には事前の検証が必要だというが、NECでは既に多くの情報を蓄積している他、PoC(Proof of Concept:導入前実機検証)を行うための環境も整えている。
「当社の強みは、多様な角度から技術検証を行うことにより、Oracle Database In-Memoryを使ったシステムの構築/運用におけるポイントを十分に把握していることです。そうした知見やノウハウも含めてご提案することで、より安全なシステムの構築をご支援できます。また、Oracle ExadataとNEC Oracle Database 高速化ソリューションのそれぞれでPoCを適切に行える環境/体制を整えています。これらの仕組みをご活用いただくことで、より確実に、しかも短期間で導入を進めていただけます」(廣田氏)
各種システムにおけるデータ処理を従来とは桁違いに高速化するOracle Database In-Memoryだが、的確かつ安全に導入して使いこなすためには相応の知見が必要となる。入念な検証で早期にノウハウの蓄積を進め、事前に導入効果を確認できるPoC環境も構えるNECは、データ処理の高速化を求める企業のさまざまな要求に応える準備をすでに整えている。
おことわり:本記事における検証結果や数値に関しては、NECによる検証を基に記載しており、全ての環境で同様の性能が出ることを保証するものではありません。
2015年4月9日〜10日の2日間にわたり、オラクルのクラウド・ソリューションを一挙に紹介するイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」が下記要領で開催されます。本記事で紹介したOracle Database In-Memoryに関連するセッションも予定されておりますので、ぜひ奮ってご参加ください。
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年4月30日
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