NTTドコモの6600万顧客のリアルタイムビリング基盤「MoBills」を支えるデータベース基盤とは”ノンチューニングで高速”をどう実現したか(2/3 ページ)

» 2016年01月20日 07時00分 公開
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3つのビジョンを掲げてMoBillsの基盤刷新を決断

 こうした背景の下、NTTドコモは10年後のビジネスも見据えたシステム基盤の実現を目指し、MoBillsのリアルタイムビリング基盤高度化に向けた検討を進める。そして、次の3つを刷新のビジョンとして掲げた。

経営ニーズに耐えられる拡張性/柔軟性の確保 新サービスの追加や業務トラフィック量の増大に対し、システムへのインパクトを抑えつつ、サービス提供までの期間を短縮する。また、将来にわたって高い拡張性/柔軟性を確保していくために、ベンダーロックイン環境から脱却する

コスト構造改革 ベストオブブリードで将来性のある最新のIT製品を導入し、高い性能/可用性を備え、安価で汎用性の高いプラットフォームを構築する。また、アプリケーションとデータベースを分離した設計を採用し、必要に応じて個別に拡張可能にするとともに、プラットフォーム変更にも柔軟に対応できるようにすることでコストを抑える

運用性の向上 システムの監視/運用管理の業務をシンプル化し、運用負担を軽減する。また、システムメンテナンスや障害発生時にも業務を継続できる仕組みを作るとともに、アプリケーション構造のシンプル化、性能チューニングなどの負担軽減を図る

 同社はこれらのビジョンに基づき、まず次期データベースサーバのロールモデルを確立すべく、決済用データベース基盤を対象にしたパイロットプロジェクトを2012年2月に実施する。同基盤は、Oracle Databaseによる高可用性システムの実現を目的に、Oracle Database 11gとオラクルが提唱する高可用性アーキテクチャ「Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)」を用いて構築され、2013年2月にサービスインしている。

データベース基盤の刷新に向けて3つのプラットフォームを検証。Oracle Exadataの"ノンチューニングで速い"を実感

 決済用データベース基盤の構築を通じてOracle DatabaseとOracle MAAによる高可用性システムの実現に確証を得たNTTドコモは、続いてリアルタイムビリングを支える通話/通信明細データベース(DSR)、請求額/請求明細データベース(DSB)の新データベース基盤の検討に着手。次期プラットフォームの候補として「ハイエンドUNIXサーバ製品+フラッシュストレージ」「ハイエンドIAサーバ製品+フラッシュストレージ」「Oracle Exadata」の3つを候補に据え、2013年5月より「PoC(Proof of Concept:導入前実機検証)」を実施した。

 このPoCで活躍したのが、オラクルのデータベーステストツール「Oracle Real Application Testing」だ。同ツールのDatabase Replay機能によって本番環境のワークロードをキャプチャーし、それを各検証環境で再現。約40万SQL/秒の負荷を掛けたテストを100回以上行い、3プラットフォームの性能を徹底的に検証したのである。

 「通常、このような検証作業には多くの工数が掛かりますが、Oracle Real Application Testingを使うことで、本番環境のワークロードを正確に再現しながら効率的に検証作業を行うことができました」(井上氏)

ドコモ・システムズ ドコモITシステム事業部 料金システム部 担当課長の小金沢寛之氏

 ただし、Oracle Real Application Testingによる効率化を図ったものの、PoCの完了は当初スケジュールから大きくずれ込む。その理由を、PoCの作業を主導したドコモ・システムズの小金沢寛之氏(ドコモITシステム事業部 料金システム部 担当課長)は次のように説明する。

 「当初、PoCは1カ月程度で完了させ、最終候補を選定する予定でした。ところが、実際に始めてみると、ほぼノンチューニングで要求性能を出せたのはOracle Exadataだけであり、他のプラットフォームは同じ性能を出すために何度も徹底したチューニングを施す必要が生じました。それによって作業工数が膨らみ、予定スケジュールを大幅に超過してしまったのです」

速い、万能、手間要らず、コスト──NTTドコモがOracle Exadataを選んだ4つの理由

 予定を超過して2013年9月にPoCを終えたNTTドコモは、最終的にOracle Exadataの導入を決定する。小金沢氏によれば、採用の理由は大きく4つあった。

 1つ目の理由は、Oracle Exadataならではの高速なデータベース処理性能だ。

 「MoBillsのデータベース基盤では、お客さまの通話/通信や請求に関するデータを処理して一定期間、格納します。その膨大なデータの処理/格納において、Oracle Exadata独自の検索高速化機能『Smart Scan』やデータ圧縮機能『Hybrid Columnar Compression(HCC)』が有効だと考えました」(小金沢氏)

 2つ目の理由は、Oracle Exadataが多様なワークロードを同時に高速実行できることである。「以前から、Oracle Exadataがバッチ処理などデータウェアハウス(DWH)処理に強いことは知っていましたが、今回の検証により、最近の世代ではオンライントランザクション処理(OLTP)でも同時に高い性能が得られることが分かりました」と小金沢氏は話す。

 3つ目の理由は、Oracle Exadataが垂直統合型のエンジニアドシステムとして、ハードウェアとソフトウェアが事前に最適化された上で納入されることだ。納入後に特別なチューニングを行わなくても、多様なワークロードに対して安定的に高い性能を発揮するということだ。小金沢氏らはPoCを通して、実際にこのことを確認した。

 そして4つ目の理由は、上記の特性により、Oracle Exadataが他のプラットフォームに対して高いコスト優位性を備えていたことであった。

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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年2月19日

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