こうして、異種クラウド環境においてOracle RATによるワークロード検証やOracle Enterprise Manager 13cによるデータベースバックアップ、PDB移動が問題なく行えることを確認したライトウェルだが、Oracle Database Cloud Serviceに対してはどのような感触を得たのだろうか。須田氏は次のように話す。
「今回、Oracle Database Cloud Serviceを使って強く実感したのは、オンプレミスやIaaSに環境を構築する場合と比べて、システムのインプリメンテーションに要する時間を大幅に短縮できることです。例えば、IaaSの場合はISOイメージの転送から始めるため、データベース環境の構築には多くの時間がかかります。これに対して、Oracle Database Cloud ServiceではすぐにOracle Databaseを使うことができます。この違いは非常に大きいと感じました」
大西氏は、Oracle Database Cloud Serviceの使い勝手の良さを高く評価している。
「ドキュメントに軽く目を通すだけでOracle Database 12cが使える状態を作ることができ、非常に手軽で便利だと感じました。また、ネットワークの設定も簡単ですね。ポートの開閉もGUIで行えるため、コマンドラインなどで設定する必要はありません。こうした使い勝手の良さにも魅力を感じました」(大西氏)
星野氏は、今回の検証作業を通じて得たノウハウを生かし、今後は顧客企業に対してOracle Database Cloud Serviceの活用を提案していきたいと話す。
「初めてOracle Database Cloud Serviceを利用する場合は、すぐに効果を得ながら徐々に慣れていくために、検証環境として使うのがよいと考えています。そのうえで、近年多くの企業でニーズが高まっている災害対策サイトなどの用途で使うのです。この場合、オンプレミスのデータベースサーバのデータをOracle Database Cloud Serviceに常時転送しておき、災害や障害が起きた際にはクラウド側に切り替えてシステム利用を継続します。また、今回私たちが検証したように、他社クラウドサービスとの間でディザスタリカバリー構成を組むといったことも考えられます」(星野氏)
以上、ここではライトウェルが実施したOracle Database Cloud Serviceの検証作業の内容と結果を紹介した。
同社が確認したように、Oracle Database 12cのマルチテナント機能やOracle Enterprise Manager 13c、そしてOracle RATを使うことで、Oracle Database Cloud Serviceへの移行に伴うアップグレード作業やデータベースの移動、テスト作業などを効率的に行うことができる。これはオンプレミスと同じアーキテクチャで提供されるOracle Database Cloud Serviceならではのメリットだと言えよう。これらの利点を生かし、まず開発環境や検証環境、データベースバックアップなどの用途で使うだけでも大きな投資対効果が得られるはずだ。Oracle Database Cloud Serviceは現在、30日間の無償トライアルを実施している。Oracle Databaseをクラウドで利用したいと考える読者は、ぜひこの無償トライアルを活用して実際にお試しいただきたい。
オラクル データベース インサイダー記事一覧
- 「過去に経験のない」規模の基幹業務DBアップグレード、住友重機械工業の選択
住友重機械工業は先ごろ、生産管理システムなどで利用する約30のOracle Databaseを11g R2にアップグレード。オラクルの支援ツール群を活用した標準化アプローチにより、検証コストの大幅削減と作業効率化を実現した。[運用管理効率化][Oracle Enterprise Manager][Data Integration]
- Oracle Database Cloud Serviceはどこまで「使える」か
“ミッションクリティカルクラウド”を標ぼうする「Oracle Cloud Platform」。その実力を測るための検証作業に、ミッションクリティカルシステムの構築/運用で豊富な実績を誇るPSソリューションズが名乗りを上げた。同社が「Oracle Database Cloud Service」などについて実施した検証の内容と、その評価を紹介しよう。[パブリッククラウド][Oracle Cloud][Oracle Database 12c]
- Oracle Database Cloud Serviceは本当に使えるか? 新日鉄住金ソリューションズの検証は
「Oracle Database Cloud Service」は、Oracle Databaseを使う企業が既存資産を最大限に生かすことのできるパブリッククラウドだ。その開発/検証環境およびバックアップ環境としての有効性について、新日鉄住金ソリューションズのエキスパートらが検証を進めている。[パブリッククラウド][高可用性/災害対策][Oracle Cloud]
- Oracle Cloud Platformを使うべき理由──他と何がどう違うのか
システム構築プロジェクトで使う開発/検証環境を、パブリッククラウドで調達する企業が増えている。オンプレミス製品と同じアーキテクチャで提供されるOracle Cloud Platformは、開発/検証環境として利用した場合も、オラクルユーザーに極めて多くのメリットをもたらす。[パブリッククラウド][Oracle Cloud]
- オンプレミスと同じアーキテクチャだからこそ実現できる! 既存IT資産を無駄なく生かすクラウド「Oracle Cloud Platform」のユーザーメリットとは
今日、「初期投資が不要ですぐに導入できて、従量課金で使える」というパブリック・クラウド・サービスの利点が、多くの企業を魅了しています。しかし、これまでのクラウド・サービスには、重要なものが欠けていました。それは「既存資産との連続性」です。お客さまがこれまでに築いたIT資産を生かせず、独自の作法を強いるサービスは、新たな囲い込みに過ぎません。これに対して、オラクルは「既存資産を生かしながら、オンプレミスとの間を自在に行き来することのできるパブリッククラウド」を提唱しています。本稿では、2015年より国内でも本格提供を開始したPaaS「Oracle Cloud Platform」の特徴とお客さまが得るメリットについて説明します。[パブリッククラウド][Oracle Cloud]
- DBのバックアップはクラウドで! 月3000円台から手軽に始めるOracle Cloud Platform活用
多くの企業がパブリッククラウドのメリットをすぐに得られる活用法の1つが「データベースバックアップ」だ。Oracle Cloud Platformには、テープバックアップの代替から災害復旧サイトの構築、リアルタイム同期による高可用性システムまで、さまざまな用途に対応可能なサービスが用意されている。[パブリッククラウド][Oracle Cloud][Data Integration]
- ハイブリッドクラウド環境の運用管理をさらに効率化する「Oracle Enterprise Manager 13c」の“3つの柱”
オンプレミスとパブリッククラウドをまたいだ“ハイブリッドクラウド”環境では、その運用管理をいかに効率化するかが大きな課題となる。オラクルは「Oracle Enterprise Manager」の機能強化により、この課題のスマートな解決に取り組んでいる。[パブリッククラウド][プライベートクラウド/データベース統合][Oracle Cloud][Oracle Enterprise Manager]
- Oracle Database 12cを核としたオラクルのクラウド戦略はなぜOPEX削減にも効果があるのか
製品名にクラウドの名を冠した「Oracle Database 12c」が、さらなる進化を続けている。オラクルのハイブリッドクラウド戦略で核となる同製品が指向する次世代のデータ管理アーキテクチャとは、どのようなものなのだろうか?[パブリッククラウド][プライベートクラウド/データベース統合][Oracle Database 12c][Oracle Cloud][Oracle Mutitenant][Oracle Enterprise Manager]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.