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これだけ知っていればワンセグ博士!5分でネットがわかるシリーズ(4)(5/5 ページ)

2006年4月1日から東京・名古屋・大阪を中心に開始された、携帯通信機器向けデジタルテレビ放送「ワンセグ」。ワンセグ対応の携帯電話も発売され、トレンドとなっていますが、いままでのテレビ放送と何が違うか? ワンセグの仕組みやその利点を解説します

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5. 「手軽に見られる」に隠された課題

「手軽に見られる」に隠された課題

 まずは視聴者から見たワンセグの問題点について見てみましょう。

・そもそもあの画面で見たい?

 根本的な問題になってしまいますが、携帯の画面で2時間近く映画やドラマ、スポーツ観戦するのか、といった指摘はされています(しかし暇つぶしに見る場面が多いため、いままで全く興味がないドラマや映画を気軽に見て楽しめる……といった意見もあります)。またバラエティ番組の演出としてよく使われるテロップ表示も、画面が小さいとはっきりと見えずらい……という意見もあります。

・携帯の電池が持たない

 携帯のバッテリーは年々進化をしているとはいえ、液晶で2時間近くワンセグを見ると、機種によってはあっというまに電池の残量が減ってしまいます。楽しく番組を見たのはいいけど、その後電池切れを起こして電話として使えなるのは問題です。

● 夢膨らむが、財布が空っぽ?放送制作者編

 では、番組制作や広告関係など、制作者側の問題点について考えてみましょう。実は視聴者側よりも数も深刻度も大きいようです。

・独自の番組を作るにもお金がない

 ワンセグは2008年までサイマル放送を続けるように義務付けられています。それ以降は独自の番組を作成し放映することが可能です。しかし、その番組を作成する予算はいったいどこから持ってくればいいのでしょうか?後述しますが、視聴率が分からないワンセグ放送は、オリジナル番組による広告収入のアップはあまり見込めません。かといって現在のようにサイマル放送を続けても収益拡大にはつながりません。

・視聴率が分からない!

 現段階では、ワンセグの視聴率はまったく分からない状態です。一般のテレビ放送では、視聴率を調べる機械を選ばれたモニター宅に置いて調査していますが、そのような調査がワンセグでは全く行われていません。機動性が特徴のワンセグ端末に、視聴率を測る機械を付けるわけにもいきません。そして視聴率が判明しないということは、スポンサーもお金を出してくれないでしょう。

・NHKも問題が……

 広告収入に関係ないNHKも問題を抱えています。NHKは「据え置き型のテレビで見る地上デジタル放送の方で、視聴料を払ってもらっている」という理由で、ワンセグに関して無料となっています。しかし、近年テレビ受信機を持たない人も増え、ワンセグの端末しか持っていない視聴者への料金徴収はいったいどうすればよいのでしょうか。

 サイマル放送をやめて、オリジナルの番組を放映したとき、NHKは別途受信料を要求するのでしょうか。この問題について、NHKは現在はっきりとしたコメントをだしていません。

・思ったスタイルで視聴者が見てくれない

 ワンセグは画面上部にテレビ映像、画面下部に文字情報を映し出すスペースがあります。機種によって微妙に違うのですが、画面を縦位置で視聴すれば、標準で文字データを20文字×3行ほど表示可能です。

 しかしこれを横位置画面で表示をすると、テレビ映像部分が大きくなるのですが、文字データスペースがなくなったり表示できる文字数も極端に減ってしまいます。視聴者はできるだけ大きな画面で見たいので、横位置表示で見る傾向が強く、放送者が作成しビジネスチャンスにもつながる文字データ部分はまったく視聴者が見てくれていないという事態が発生しています。

図5 縦位置、横位置の画面でまったくスタイルが変わってくる
図5 縦位置、横位置の画面でまったくスタイルが変わってくる

 気が付けばほとんどの携帯電話にカメラ機能が付いたように、ワンセグ機能も普通に搭載される日が間違いなくやって来ます。先ほど挙げた、バッテリー持ちや液晶のクオリティなど携帯電話の問題は、日々の進歩で解消するでしょう。

 しかし、番組を作る側の問題は根が深く、なかなか簡単には解決できないものばかりです。サイマル放送の義務化がなくなり、モバイルコンテツの作成が自由になる2008年から2009年にかけて、日本ではワンセグにとって勝負の年になりそうです。


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