バックアップ/リカバリ操作の自動管理:間違いやすいポイントを追え! Bronze DBA講座(10)(2/2 ページ)
Oracleデータベースエンジニアとしての基礎力を証明するORACLE MASTER Bronze。その取得を目指すITエンジニアのための講座が本連載だ。間違いやすいポイントを確認し、合格に近づこう!
バックアップの種類
■例題2
バックアップの説明として正しいものをすべて選択してください。
a.稼働中に取得したバックアップは非一貫性バックアップである
b.ARCHIVELOGモードの場合、稼働中のバックアップが可能
c.稼働中に取得したバックアップは一貫性バックアップである
d.NOARCHIVELOGモードの場合、稼働中のバックアップが可能
e.一貫性バックアップではリストア後にREDOログを適用する必要がある
f.稼働中に取得したバックアップはリカバリ時に使用できない
■例題の範囲をおさらい
参考:「Oracleのデータを復元する」
バックアップには、以下の2種類があります。
・一貫性バックアップ(完全バックアップ)
一貫性バックアップとは、同じタイミングで取得したデータベース全体のバックアップです。NOARCHIVELOGモードで運用している場合は、一貫性バックアップのみ取得可能となります。特徴として以下が挙げられます。
- インスタンスの停止中に取得が可能
- REDOログ内のすべての変更がデータファイルに適用されている必要がある
- リストア直後にデータベースをオープンできる
・非一貫性バックアップ(部分バックアップ)
非一貫性バックアップとは、個々のデータファイル、表領域単位で取得したバックアップです。ARCHIVELOGモードで運用している場合は、非一貫性バックアップ、一貫性バックアップの両方を使用することができます。特徴として以下が挙げられます。
- データベースの稼働中に取得が可能
- データファイルに適用されていない変更がREDOログファイル、アーカイブREDOログファイルに含まれる
- リストア後、メディアリカバリを実行してからデータベースをオープンする必要がある
■正解
a、b
■解説
選択肢a:非一貫性バックアップは、データベースの稼働中に取得することができます。非一貫性バックアップは部分バックアップとも呼ばれ、個々のデータファイル、表領域単位で取得したバックアップを取得するものです。ARCHIVELOGモードで運用している場合に取得が可能です。
選択肢b:ARCHIVELOGモードの場合、データベース稼働中のバックアップが可能です。稼働中に取得したバックアップでは、データファイルに適用されていない変更を、オンラインREDOログファイル、アーカイブREDOログファイルを使用してリカバリします。
選択肢c:一貫性バックアップは、インスタンス停止中に取得する必要があります。一貫性バックアップは完全バックアップとも呼ばれ、同じタイミングで取得したデータベース全体のバックアップです。このため、インスタンスを停止して取得する必要があります。
データファイルに障害が発生した場合は、取得したバックアップ全体をリストアする必要があります。リカバリは不要なため、リストア直後にデータベースをオープンできます。
選択肢d:NOARCHIVELOGモードの場合、インスタンス停止中にバックアップを取得する必要があります。NOARCHIVELOGモードの場合、一貫性バックアップのみ取得することができます。一貫性バックアップは、インスタンス停止中に取得する必要があります。
選択肢e:一貫性バックアップでは、リストア直後にデータベースをオープンすることが可能です。REDOログを適用したリカバリ操作は必要ありません。
選択肢f:稼働中に取得したバックアップは、リカバリ時に使用できます。稼働中に取得したバックアップとは、非一貫性バックアップのことです。非一貫性バックアップでは、オンラインREDOログファイル、アーカイブREDOログファイルを使用したリカバリを行う必要があります。
よって、正しい説明はa、bです。
リカバリの種類
■例題3
メディアリカバリの説明として正しいものをすべて選択してください。
a.完全リカバリでは、データベースは障害発生時の状態に戻る
b.完全リカバリでは、リストアしたバックアップ以降、最新のREDOログが適用される
c.Point-in-Timeリカバリでは、任意の時点までのリカバリが可能
d.非一貫性バックアップをリストア、リカバリすることを不完全リカバリという
e.完全リカバリでは、障害が発生したデータファイル以外をすべてリストアする必要がある
■例題の範囲をおさらい
参考:「Oracleのデータを復元する」
リカバリには、以下の2種類があります。
・完全リカバリ
完全リカバリでは、バックアップからリストアしたファイルに対し、アーカイブログファイルとREDOログファイルに含まれるすべてのREDOログが適用され、データベースは障害発生直前の状態に戻ります。これにより、データ損失のない状態でデータベースをオープンすることができます。
・Point-in-Time(不完全)リカバリ
Point-in-Timeリカバリでは、障害が発生する前の任意の時点までリカバリを行います。指定した時点までのREDOログが適用されます。また、すべてのデータファイルをリストアする必要があります。
■正解
a、c
■解説
選択肢a:完全リカバリでは、データファイルとアーカイブREDOログをバックアップからリストア後、データベースオープン時にメディアリカバリが実行されます。このとき、すべての変更がログから適用され、データベースは障害発生時の状態に戻ります。
選択肢b:完全リカバリでは、リストアしたバックアップ以降、最新のREDOログではなく、すべてのREDOログが適用されます。
選択肢c:Point-in-Timeリカバリでは、データファイルをバックアップしてから最後にREDOログを変更するまでの間の任意の時点を指定してリカバリすることが可能です。
選択肢d:不完全リカバリ(Point-In-Timeリカバリ)は、非一貫性バックアップをリストア、リカバリすることではありません。
選択肢e:すべてのデータファイルをリストアする必要があるのは、完全リカバリではなくPoint-in-Timeリカバリです。Point-In-Timeリカバリでは完全リカバリと異なり、リカバリする一部のデータファイルのみではなくすべてのデータファイルをリストアする必要があります。
よって、正しい説明はa、cです。
■まとめ
次の内容をチェックしましょう。
- バックアップ/リカバリ操作の自動管理
- バックアップの種類
- リカバリの種類
ARCHIVELOGモード/NOARCHIVELOGモードの状態やバックアップ、リカバリの種類により、どのようなバックアップ、リカバリが可能であるかをしっかり押さえておきましょう。混乱しやすい部分なので、注意が必要です。
次回は、引き続きバックアップおよびリカバリの管理について、間違いやすい点にポイントを絞って説明します。
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