検索
連載

AzureのストレージをJavaで扱えるWindowsAzure4jユカイ、ツーカイ、カイハツ環境!(14)(2/2 ページ)

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

JavaプログラムからAzureのデータを扱ってみよう

 ここでは、サンプルプログラムを通してWindows Azure4jの使い方を見ていきます。

AzureStorageへの接続とテーブルの作成

 アカウントの設定とテーブル作成は、次のように記述します。

// アカウント設定
StorageAccountInfo account = new StorageAccountInfo(
        URI.create("table.core.windows.net"),
        false,
        "test234", // account name
        "h7CH1BiwQuwGejOK7EbxFhheSRLF6CXdUekazgiE23MAwb3B/4QfxPe77DhpuFUL7IAubtN+oFsc6f2G/bo1vg==" // primary access key
);
        
TableStorage ts = TableStorage.create(account);// TableStorageへ接続
CloudTable table = ts.getWindowsAzureTable("testtable");// AzureTableへ接続
 
//テーブルが存在しない場合、作成
if(!table.doesTableExist()){
    table.createTable();
}

 ここでは、Azure Storage作成時のアカウント名をtest234に、アクセスキーが「h7CH1...1vg==」の例です。ストレージ上に'testtable'という名前のテーブルを作成します。

 アカウント名とアクセスキーは、Windows Azureポータルの各リソースの詳細画面から確認できます。図8の例で示すと、エンドポイントのURLのホスト名とPrimary Access Keyを指定します。

図8 リソースの詳細画面
図8 リソースの詳細画面

エンティティクラスの定義

 Azure Tableは、Entity Attribute Value形式でデータを格納しますが、WindowsAzure4jを利用すると、格納するエンティティの型を定義できます。

 エンティティの型定義を行うことにより、テーブル内のデータモデルの一貫性を保てます。ユーザー情報として名前、年齢、住所、電話番号を持つエンティティの例をリスト1に示します。

 リスト1 エンティティの定義(UserEntity.java

 エンティティは、TableStorageEntityクラスを継承して作成します。コンストラクタでは、下記のようにパーティションキーとRowキーを指定します。

    public UserEntity(String partitionKey, String rowKey){
        super(partitionKey, rowKey);
    }

 Azure Tableでは、各データは「パーティション」と呼ばれる領域に分割して保存されます。1パーティションのデータは1サーバ内に格納されるので、頻繁にアクセスされるデータ同士は1パーティション内に格納しておくといいでしょう。

 Rowキーは、パーティション内で一意に識別されるIDを指定します。パーティションキーとRowキーは、2つの組み合わせで一意のデータとして識別されます。異なるパーティションでは、Rowキーが同じでも別のデータとして扱われます。

 後は、settter/getterを付与したプロパティ定義すれば、データモデルになります。

 定義したエンティティは、下記のように記述してテーブルにモデルとして設定します。

        // エンティティクラスをセット
        table.setModelClass(UserEntity.class);

エンティティのインサート

 エンティティのインサート例を示すと、次のようになります。

                //バッチ処理の開始
                table.startBatch();
 
        for(int i=0;i<10;i++){
            UserEntity e = new UserEntity("パーティション1","hoge"+i);
                         e.setName("ユーザ"+i);
            e.setEmail("hoge"+i+"@example.com");
            e.setAge(i%20+20);
            e.setTel("03-3456-000"+i);
            e.setAddress("東京都中央区ほげ"+i);
            table.insertEntity(e);
        }
 
                // バッチ処理の実行
                table.executeBatch();

 TableのinsertEntityメソッドでデータを挿入します。上記のstartBatch()とexecuteBatch()は必ずしも必要ではありませんが、複数のデータ処理を行う場合は付けておいた方がいいでしょう。

 Azure Tableでは、デフォルトでは1データアクセスごとにAzure Tableへデータを書き込みにいきますが、バッチを利用すれば複数のSQLをまとめて実行でき、高速に実行できます。環境にも左右されると思いますが、筆者の環境では約30倍の差が出ました。

コラム Azure Storage上のデータを確認する便利ツール

Azure Storage上のデータは、[Windows Azure Storage Explorer]により内容を確認できます。Windows Azure Storage ExplorerはEclipseメニューの[Windows Azure]→[Open Windows Azure Storage Explorer]で開くことができます。

図9 Winodws Azure Storage Explorer
図9 [Winodws Azure Storage Explorer]

検索

 テーブル内のデータを取得するには、次のようにQueryクラスを利用して行います。

List<TableStorageEntity> list = table.retrieveEntities(Query.select().lt("age", "30").top(3));

 JPAやHibernateのクライテリアのように、オブジェクトの組み合わせで検索条件を指定します。検索条件の詳細は、「QueryクラスのAPI」をお読みください。

 上記のAPIの中で、where句が使えそうですが、WindowsAzure4jのwhere句は、SQLのwhere句と異なり、Azure Tableのフィルタ処理のための検索条件を指定します。

 例えば、ageが30以上のエンティティの検索は、次のようになります。

List<TableStorageEntity> list = table.retrieveEntities(Query.select().lt("age", "30").top(3));

 where句の検索条件の詳細は、「Windows AzureデータストレージTableサービス」をご覧ください。

アップデート

 検索で取得したオブジェクトの内容を変更して、テーブルへ反映させるには、テーブルクラスのupdateEntityメソッドを使います。

    table.updateEntity(e);

削除

 エンティティをテーブルから削除するには、CloudTableクラスのdeleteEntityメソッドを使います。

        table.deleteEntity(e);

 アップデートと削除も、インサートと同じくバッチを利用して実行すると、実行が速くなります。

コラム WindowsAzure4jのログのデフォルト設定は、ちょっとうざい

WindowsAzure4jのデフォルトのログの設定では、デバッグモードで詳細なログを出力するようになっていて、ちょっとうざいです。次のように記述したlog4j.propertiesをおいて、ログを減らしておくといいでしょう。

log4j.rootLogger=info, stdout
log4j.addivity.org.apache = true
log4j.appender.stdout=org.apache.log4j.ConsoleAppender
log4j.appender.stdout.Target=System.out
log4j.appender.stdout.layout=org.apache.log4j.PatternLayout
log4j.appender.stdout.layout.ConversionPattern=%d{ABSOLUTE} %5p %c{1}:%L - %m%n
リスト2 log4j.properties

さらに、Tomcatからも使えるらしい

 本稿では、Windows Azure4jを利用して、Windows AzureのAzure TableをJavaから操作する方法を紹介しました。本稿で紹介したコードのサンプルは、こちらからダウンロード(azuretest.zip)できるので、確認してみてください。

 ほかにも、Hosted Serviceと「Windows Azure Tomcat Solution Accelerator」を利用すると、Windows AzureのHosted Service上でTomcatを動作できようになり、Webアプリケーションをクラウド上で公開できるようになります。興味がある人はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

編集部より:Windows Azureを含むクラウドコンピューティングに興味を持った読者は下記インデックスページをご確認ください。随時更新中で、クラウド・コンピューティングの最新情報も分かります。



「ユカイ、ツーカイ、カイハツ環境!」バックナンバー

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る