「潜在バグはある」という意識でトラブル解決に臨む:仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(17)(2/2 ページ)
あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。
トラブル=より望ましいシステムに変わる機会
私は以前、24時間365日稼働する生産管理システム開発に携わっていました。システムが止まれば生産も止まってしまうため、責任は重大でした。
このシステムを運用していた時、メンバーの1人が作ったプログラムにバグがあることが分かりました。すぐに修正しなければ、トランザクションデータがおかしくなってしまうというトラブルを招くものでした。
このトラブルをなかったことにはできませんが、トラブルの意味なら変えることはできます。
「バグがいま見つけられて良かったよ。これで将来、同じトラブルは起こらなくなるということだからね」
リーダーだった私は、「今バグが見つかったおかげで、より望ましいシステムになる」とバグを出したメンバーに伝えました。すると、それまで暗く落ち込んでいた表情が前向きになりました。
意味を変えれば、次は解決に向かって手を動かすだけです。メンバーに解決策を導くようにリードし、結果としてトラブルを最小限にとどめられました。このトラブルには、「良いものを作る」ことと「メンバーの成長」という2つの良い効果がありました。
もちろん、トラブルの程度によってはこんな悠長なことは言っていられないでしょう。一方、柔軟なアイデアでトラブルが解決できるような雰囲気や環境を作ることは、迅速なトラブル解決のために必要不可欠だと思うのです。
システム開発をしている上で、トラブルが起きないようにバグをつぶし、仕様書をレビューするなどして、品質を向上させる意識はもちろん必須です。しかし、トラブルを“完ぺきになくす”ことはできません。
「システムトラブルは起こるかもしれない」ということを前提に、柔軟に行動できるような環境づくりをしていきたいものです。
著者紹介
竹内義晴
特定非営利活動法人しごとのみらい理事長。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分がつらかった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場がつくれるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。ITmedia オルタナティブ・ブログの「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織づくりやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。
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