連載
» 2011年03月16日 00時00分 公開

エンジニアが身に付けるべき、5つのビジネススキル仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(10)(1/2 ページ)

あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。

[竹内義晴,特定非営利活動法人しごとのみらい]

 前回は、「一目置かれるエンジニアになるための『セミナー活用法』」についてお話ししました。周りから認められるようになれば、ますますエンジニアの仕事が楽しくなってくると思います。エンジニアとしてさらに活躍するためには、さまざまなビジネススキルを身に付け、広い視点を持つ必要があります。

 前回の記事を書いていたとき、筆者がエンジニアだったころにビジネススキルがないために困ったこと、恥ずかしい思いをしたことを思い出しました。いまエンジニア時代を振り返ると、「このスキルをエンジニア時代に身に付けていたら、もっと役立っただろうな……」という思いもあり、現役のエンジニアの皆さんにお伝えしたくなりました。

 そこで、今回は、「エンジニアが身に付けるべき、5つのビジネススキル」についてお話ししたいと思います。

(1)まずはこれがなくちゃ始まらない! 「技術力」

 ビジネススキルの話題になると、「技術力だけでは評価されない。今後はビジネススキルを……」というような、技術力以外の何かを求める記事が多いですが、エンジニアである以上、何を差し置いても“技術力”が求められることを最初に挙げておきたいと思います。

 なぜなら、「顧客はエンジニアに、ITで問題を解決することを期待している」からです。

 「すみません、それは経験がないので分かりません」というよりも、「どうぞ、私にお任せください」と言えた方が断然格好いいじゃないですか。自信を持って仕事をする姿に、顧客は信頼を寄せるのです。

 技術力を磨く方法は人それぞれですが、「広く浅く」よりも、得意な分野を1つ極めておく方がいいと思います。なぜなら、ITの技術は基本的な部分で共通点も多く、1つの分野を極めておくと、その応用で新たな技術も身に付けやすくなるからです。

 先日、ある知人からPHPを使ったホームページ更新の相談を受けました。話を伺うと、スマートフォン人気に合わせて、ホームページをスマートフォンに対応させたいといいます。

 筆者には、PHPによる開発経験もスマートフォン用ページを作った経験もありません。「すみません、PHPもスマートフォンも経験がないので分かりません」と断ることもできますが、いくらいまはエンジニアを専業にしていないとしても、それでは格好悪すぎます。

 そこで、エンジニア時代に大好きだったJavaで身に付けたスキルを基に、PHPとスマートフォンの対応がどのぐらい難しいのかを調べました。その結果、これまで身に付けた技術と共通点が非常に多いことが分かり、「これならいけそう」と判断できました。

 顧客に「お任せください」とお伝えしたところ、大変喜んでいただけました。早く開発してみたいとワクワクしています。

(2)エンジニアだからこそ必要な「コミュニケーション力」

 「エンジニアはモノづくりが仕事だから、コミュニケーション力など必要ない」

 これは、エンジニアをしていたころの筆者の意見です。けれども、いまはこう思っています。

 「エンジニアはモノづくりが仕事だからこそ、コミュニケーション力が必要である」

 先ほど、「顧客はエンジニアに、ITで問題を解決することを期待している」と書きました。けれど、顧客が抱えている本当の問題を察知できなければ、いくら優れたITツールを提供しても問題は解決できません。仕様が異なるシステムを作ってしまうと、手戻りが多く発生するばかりか、望んでいるものとは違うものを提供された顧客がエンジニアへの評価を落としてしまうかもしれないのです。

 顧客が本当に何を望んでいるのか……それを知る力が、コミュニケーション力です。

 例えば、顧客から「新しいWebサイトを作りたい」という提案依頼が来たとします。このような場合、「新しいWebサイトを作りたいのですね。最近のトレンドは○○で……」などのように、すぐにWebサイトを作る方法について提案してしまいがちです。

 顧客は本当に新しいWebサイトを作りたいのでしょうか。なんとなく知っている「インターネットを使えば、情報発信できる」ぐらいの知識を基に考えた解決策かもしれません。もし、常連の顧客が多く、彼らに情報発信をしたいのなら、不特定多数を対象とするWebサイトよりも、メールマガジンのようなツールの方が適切かもしれません。

 顧客は、本当に欲しいと思っているものを言葉にできていないことが多いのです。一目置かれるエンジニアは、顧客が欲しいといっているものをすぐに提案しようとはしません。

 「新しいWebサイトを作りたいとのことですが、いま、何かお困りのことでもあるのですか?」

 顧客が言葉にしているそのものではなく、顧客が言葉にできていない悩みや問題を聞き出すのです。悩みや問題を聞き出せれば、最適な提案につながります。

 本稿の読者の中には、かつての筆者のように「顧客とのコミュニケーションは、コンサルタントや営業、システムエンジニアがすることで、プログラマの自分には関係のないことだ」と思われている人がいらっしゃるかもしれません。

 しかし、顧客との関係性だけではなく、プロジェクトメンバーや周囲との円滑なコミュニケーションができた方が、仕事のやりやすさは大きく違う、ということを否定する方は少ないでしょう。

 コミュニケーションと言っても、その分野は多岐にわたります。筆者が勉強したコミュニケーションスキルはNLP(神経言語プログラミング)というコミュニケーション心理学でした。NLPは、優秀なセラピストやコミュニケーターが使う考え方や言葉の使い方を分析してモデル化したもので、人材育成やマネジメント、リーダーシップ、営業、対人関係、コーチング、メンタルヘルス、セルフマネジメントといった多くの分野で応用されています。

 NLPは受講料が高価であり、その効果を疑問視する向きもありますが、個人的にはビジネスを進めるうえで大変役立ちました。現在も活用しているスキルの1つです。

 「エンジニアの皆さんに真に役立つ、コミュニケーション力を上げるコンテンツができないか……」。これが、エンジニアだった筆者が抱えているテーマの1つです。

(3)成果物に差が出る「お金とモノの動きを把握する力」

 続いてオススメしたいビジネススキルは、お金とモノの動きを把握できる力です。なぜなら、会社の大小にかかわらず、どんな企業にもお金とモノの動きは必ずあるからです。

 実際、IT化される業務には、会計管理や購買、在庫管理など、お金とモノの動きに関わるものがたくさんあります。 お金とモノの動きを知るためには、簿記がおススメです。簿記を勉強すると仕入れや売り上げ、仕訳や在庫、決算など、一通りの企業活動の基本知識が身に付きます。

 以前、ある企業の購買管理システムの開発に携わったことがあります。開発に参加する前は「お金に関する計算をするシステムかな」という程度の軽い気持ちで関わったのですが、業務の流れがよく分からず、顧客が当たり前のように使う言葉に戸惑い、トンチンカンな質問をして恥ずかしい思いをしながら、苦労して開発したことを思い出します。

 会社から独立する際、日商簿記3級を勉強しました。2級や1級は難しいそうですが、3級はそれほど難しくありませんし、いまも大いに役立っています。エンジニア時代に簿記の知識があったら、もっと業務に深く関わった開発ができたかもしれません。

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