嫌な出来事を「ラッキー」に変える「意味づけ遊び」仕事を楽しめ! エンジニアの不死身力(5)(1/2 ページ)

あなたはエンジニアの仕事を楽しんでいますか? この連載では、仕事を「つらいもの」から「楽しいもの」に変えるためのヒントを考えていきます。

» 2010年12月01日 00時00分 公開
[竹内義晴テイクウェーブ]

 「竹内さん、世の中の人を大きく分けると、自分のことをラッキーだと思っている人と、不幸だと思っている人がいますよね。でも、自分のことをラッキーだと思っている人が体験している出来事は、不幸だと思っている人が体験している出来事と、それほど変わらないんじゃないかと思うんです」

 これは先日、ある女性から聞いた話です。なぜそのように思うのかを尋ねたら、彼女はこう答えました。

 「先日ミーティングで、ある仕事のミスをプロジェクトリーダーから指摘されたんです。ミーティングが終わった後、一緒に話を聞いたメンバーと話をしたら、ある人は『いま指摘されてよかったよね。そのおかげで、顧客に迷惑を掛けずに済むもんね』といいました。でも別の人は、『また文句いわれちゃったよ、嫌だね?』という反応でした。

 同じ環境で働き、同じ指摘をされているのに、人によって感じ方が違うなんて面白いな、と思ったんです。この体験を通じて、『ラッキー』と思うか、『不幸』と思うかは、わたしたち次第ということに気付きました。せっかくなら、『ラッキー』って思える方が、毎日が楽しそうですよね」

 彼女の言葉を聞いて、「なるほどなあ」と思いました。

 わたしたちが仕事の中で日々、体験するさまざまな出来事。その内容にかかわらず、「ラッキー」と思えたら毎日が楽しそうですね。仮に、最初は嫌な気分になったとしても、思考の切り替え方を知っていれば、気分の切り替えにも使えそうです。

 今回は、出来事を「ラッキー」だととらえる「『ラッキー体質』の作り方」についてお話しします。

「出来事」と「意味づけ」は別のもの

 先ほど、プロジェクトリーダーからミスを指摘された女性の話を紹介しました。同じ指摘をされているのに、あるメンバーは「よかった」と思い、あるメンバーは「嫌だ」と思った、という話でしたね。

 「同じ出来事でも、ある人にとっては『ラッキー』、ある人にとっては『不幸』」

 ここからいえることは何でしょうか。それは、目の前に起こる出来事自体には「ラッキー」も「不幸」もなく、事実は常にフラットである、ということです。

 筆者は先日、交通事故に遭いました。優先道路を走る筆者の車に、一時停止を無視した車がノーブレーキで衝突してきたのです。大切にしていて、これからも長く乗ろうと思っていたお気に入りのマイカーは、ずいぶん傷ついてしまいました。

 ですが幸い、体に異常はありませんでした。事故を知った多くの方は、「体が大丈夫でよかったですね。不幸中の幸いでしたね」という声を掛けてくれました。

 一般的に交通事故は「不幸」な出来事ですし、交通事故に遭って喜ぶ人はいないでしょう。実際、事故に遭った直後は、筆者も悲しい気持ちになりました。

 しかし、交通事故でさえも、起きている出来事は「車がぶつかった」という事実のみです。「ラッキー」か「不幸」か、意味づけをしているのは、わたしたち自身なのです。

さまざまな角度から意味を考える「意味づけ遊び」

 嫌な出来事があったとき、わたしたちは「あの出来事がなければよかったのに……」と思います。筆者もこれまで何度も失敗をし、その都度そう思いましたが、出来事をなくすことは残念ながらできません。かといって、「忘れよう」「考えないようにしよう」としても限界があります。

 でも、先ほどお話ししたように、「起きた出来事(事実)」と「意味」が別のものなら、出来事の意味づけを変えることで、感じ方が変わってくるはずです。

 心理学用語に「リフレーミング」という言葉があります。これは、「1つの出来事を、さまざまな角度から眺めてみる」という考え方です。

 例えば、交通事故にほかの意味をつけてみると、どうなるでしょうか。

 「事故に遭ったおかげで、新しい車を買うきっかけができた」

と考えることもできますし、

 「毎日、変化がないように見える生活だけど、本当はいつ事故に遭ってもおかしくないのかもしれない。ひょっとしたら、普段の生活は奇跡の連続なのかもしれない」

と考えることもできます。

図1 リフレーミングの例 図1 リフレーミングの例

 筆者が出来事にさまざまな意味づけを行うときは、頭の中で図1のようなものをイメージします。出来事を中央に置き、そこにどんな意味づけができるのか、さまざまな角度から考えるようにしています。

 1つの出来事にさまざまな意味づけを行う力は、多くの選択肢を与えてくれ、多くの側面や視点があることを教えてくれます。

 「その出来事が、ほかのどんなところに役立ちそうか」

 「その出来事のおかげで、どんなポジティブな価値が生まれるか」

 さまざまな意味づけを行うために、出来事は常にフラットで、それに意味づけをしているのは自分である、という前提を持つようにするとよいでしょう。

 ミーティングでミスを指摘された例も同様です。「また文句をいわれちゃったよ、嫌だな」と思うのは仕方ないことですが、このようなときこそ、「ミスをしたおかげで、どんなことに役立ちそうか」と考えてみましょう。ずっと嫌な気持ちを引きずるか、どこかで気分を切り替えるかは、自分次第というわけです。

 頭を柔らかくして、遊び感覚で、いろいろな角度から出来事を眺めてみるのがポイントです。「○○のおかげで」に続く文章を考えてみてください。

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