NECの新クラウド、2014年4月サービス開始:専用サーバで省電力化
NECは、新たなクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」の提供を2014年4月に開始すると発表した。システムの監視や利用状況、構成情報を統合的に管理できるセルフサービスのポータルサイトを用意した。
NECは2013年9月12日、新たなクラウドサービス「NEC Cloud IaaS」の提供を2014年4月に開始すると発表した。2014年1月に開設予定の「NEC神奈川データセンター」をサービスの提供拠点とする。同サービスに加え顧客が独自に構築したシステムを統合して、監視や利用状況、構成情報を管理できるセルフサービスのポータルサイトを用意した。
サービスのメニューは「スタンダード(STD)」と「ハイアベイラビリティ(HA)」の2種類。
STDは、Webサーバや大規模並列処理サーバ群、トランザクション処理の負荷が比較的低いアプリケーションサーバ、開発や評価など限られた期間での利用などを想定する。稼働率目標は99.95%で、CPU性能はXeonプロセッサの0.25〜2コア相当。稼働OSはLinux(CentOSまたはUbuntu)とWindows Server 2012。このほか、顧客が持ち込んだOSも稼働可能である。オープンソースのOpenStackを採用し、新たに開発した専用の高密度サーバ機によって低価格化を果たしたという。価格は、1個の仮想CPU、4Gバイトのメモリ、100Gバイトのディスク容量の最小構成で、6700円/月から。
これに対してHAは、高い信頼性が求められる基幹業務や高性能な検索サーバ、トランザクション処理の負荷が高いアプリケーションサーバなどの用途を想定する。稼働率目標は99.99%で、CPU性能はXeonプロセッサの0.5〜16コア相当。稼働OSはRed Hat Enterprise Linux 6.4とWindows Server 2012。このほか、顧客が持ち込んだOSも稼働可能である。価格は、2個の仮想CPU、2Gバイトのメモリ、100Gバイトのディスク容量の最小構成で、1万900円/月から。
STDとHAのいずれも課金メニューには、月額料金のほか、3年間の利用契約による割り引きと、時間単位の従量課金の、合計3種類がある。
STDとHAを組み合わせて利用することもできる。例えば、フロントエンドとなるWebサーバをSTDで、基幹業務のデータベースをHAで、それぞれ稼働させられる。さらに、SDN(Software-Defined Network)を活用できる。例えば、社内システム環境からIPアドレスを変更せずに移行でき、データセンター内でのネットワーク構成も柔軟に変更できる。
データセンターを新設
同サービスの提供開始に合わせて開設するNEC神奈川データセンターは、NECとしては8カ所目で、延べ床面積は2万m2、マシンフロアの面積は1万m2、最大で3000台のラックを収納できるという。自家発電装置を備え、満床時に72時間の無給油連続給電が可能。ラック当たりの定格電力は、平均8kVA、最大20kVAである。
サーバ機には、NEC独自の相変化冷却技術を適用し、省電力にも配慮した。サーバ機が排出する熱を直接屋外に輸送することで空調に必要な電力を30%削減した。これは、約5000世帯分の電力に相当するという。PUE(Power Usage Effectiveness)は1.26だとしている。PUEとは、データセンター全体の消費電力を、そのデータセンターにあるIT機器の消費電力で割った値。1.0に近いほど、空調など、IT機器以外の稼働に必要な電力が少なく、データセンター全体の電力効率が良いことを意味する。
なお、同データセンターでは、NEC Cloud IaaSを運用するほか、ラック単位、あるいはフロア単位での貸し出しにも応じる。さらに、障害通報や問い合わせなどのヘルプデスクサービス、運用操作の代行サービス、事務スペースの提供サービス、記憶媒体の保管サービス、データセンター間のネットワーク提供サービスなどのオプションも用意する。
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