Windowsの“Enterpriseエディション限定機能”の最新情報まとめ:その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(18)(1/2 ページ)
Windowsの企業向け最上位エディションには、個人ユーザーが触れる機会がないであろう企業向けの“限定”機能がいろいろと入っています。いくつかの機能は新しいWindowsで限定解除されていたりします。ちょっとまとめてみました。
Windows 7 Enterpriseの限定機能
WindowsのEnterpriseエディションは、ボリュームライセンスを通じて提供される企業向けWindowsの最上位エディションです。以前はWindowsのボリュームライセンスに追加する「ソフトウェアアシュアランス」(SA)の特典としてEnterpriseエディションが提供されていましたが、2014年3月1日にライセンスが変更され、SAなしでEnterpriseエディションを導入できるようになりました(*1)。
(*1)2015年2月3日追記:お詫びと訂正
2014年3月1日より、EnterpriseエディションはSA特典としてではなく、「Windows Enterprise Upgradeライセンス」というボリュームライセンスでデバイスごと購入できるように変更されました。2014年12月1日からはユーザーごと(Per User)のライセンス購入も可能になっています。後継バージョンへのアップグレード権は、引き続きSAで提供されます。
なお、すでに取得済みのライセンスを除き、2014年3月1日からはEnterpriseエディションはSAが対象とする唯一のエディションとなります。詳しくは、以下のサイトで確認してください。
- Volume Licensing > Windows 8.1(マイクロソフト ボリューム ライセンス)
EnterpriseエディションはWindows Vistaから提供されていますが、Windows Vistaまでさかのぼると話がややこしくなるので、本稿ではWindows 7から始めます。Windows 7 Enterpriseは、Windows 7 ProfessionalやHomeエディションにはない、以下の企業向け機能を搭載しています。
- AppLocker
- BitLockerとBitLocker To Go
- BranchCache
- DirectAccess
- エンタープライズ検索範囲
- 多言語ユーザーインターフェース(MUI)
- 仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)の強化
- VHDブート
SA特典にはこの他、「Microsoft Desktop Optimization Pack(MDOP)for SA」のサブスクリプションを購入できるという権利もありますが、今回は省略します。
Windows 7 Enterpriseのこれらの機能は、一部を除いてWindows 7 Ultimateでも利用できます。一部とは、VDIの強化に関連する部分になります。VDIの強化は、機能的には「RemoteFX仮想GPU」や「RemoteFX USBデバイスリダイレクト」(いずれも接続先のEnterpriseエディションを実行するVDI仮想デスクトップが提供する機能)を指し、これらの機能はWindows 7 Ultimateにも実装されています。
VDIの強化にはこの他、「Windows Virtual Desktop Access」(VDA)という、仮想デスクトップを展開し、リモートアクセスするために必要な権利も含まれます。また、「Windows Thin PC」というWindows 7ベースのシンクライアントOSの無償提供もあります。
これらはSA特典として提供される権利であり、SAを持たないPCについてはWindows VDAサブスクリプションを購入することで利用可能になります。この辺りの話は非常にややこしいので、本連載の過去記事も参考にしてください。
Windows 8.1 Enterpriseの限定機能
Windows 8 EnterpriseやWindows 8.1 Enterpriseで限定機能がどうなったか、以下の「Windows 8.1エディション別機能比較」の一覧からリストアップしてみました。
Enterpriseエディション限定機能としては、以下のようになりました。「スタート画面の制御」はWindows 8.1 Enterpriseからの機能、それ以外はWindows 8 Enterpriseからの機能になります。
- AppLocker
- BranchCache
- DirectAccess
- LOBアプリのサイドローディング
- スタート画面の制御
- VDIの強化
- Windows To Go Creator
いくつか減ったり、増えたりしていますね。先に言うと、MUIの機能はWindows 8からエディションに限定されないOSの標準機能になりました。それでは、MUI以外の変更点を詳しく見ていきましょう。
VHDブートは限定解除
「VHDブート」(ネイティブブート仮想ハードディスク)は、物理PCにWindows Virtual PCやHyper-Vと互換性のあるVHD形式の仮想ハードディスクをマウントし、VHD内のOSイメージを使用して物理PCを起動する機能です。
VHDブート環境は既存のOS環境を壊すことなく、マルチブート環境を簡単に作成できる上、クリーンアップも簡単なので、評価やテスト環境の構築にとても便利です。VHDブートはWindows 7およびWindows Server 2008 R2から利用可能になりました。
Windows 7では、VHDブートはEnterpriseおよびUltimateエディションに限定されていましたが、Windows 8からはエディションに限定されず利用可能になりました(ただし、Windows RTは除く)(画面1)。
Windows 8からはVHDに加えて、Hyper-Vの新形式であるVHDXにも対応しています。「Windows 8.1エディション別機能比較」には、Windows 8/8.1 ProおよびEnterpriseだけの機能のように書いてありますが、実際にはコンシューマー向けのWindows 8/8.1(無印)でも利用可能です(画面2)。
まとめると、現在、VHD/VHDXブートは以下のバージョンおよびエディションで利用することができます(画面3)。
- Windows Server Technical Preview
- Windows 10 Technical Preview for Enterprise
- Windows 10 Technical Preview
- Windows Server 2012 R2(全てのエディション)
- Windows Server 2012(全てのエディション)
- Windows Server 2008 R2(全てのエディション)
- Windows 8.1(RTを除く全てのエディション)
- Windows 8(RTを除く全てのエディション)
- Windows 7 Enterprise/Ultimate(VHDのみ)
- Windows Thin PC(VHDのみ)
BitLockerも限定解除
Windows 7 EnterpriseおよびUltimate限定の「BitLockerドライブ暗号化」と「BitLocker To Go」は、Windows 8からはProおよびEnterpriseで利用可能になりました。Windows 8(無印)およびWindows RTでは利用できません。
しかしながら、BitLockerに対応していないはずのエディションを実行する最近のPCやデバイスで、「BitLocker回復キー」を要求されたという話を聞きました。
これはWindows 8.1の新機能であり、Windows RTを含む全てのエディションに搭載された「デバイス暗号化」の機能によるものです。デバイス暗号化は、Windows 8.1 RTデバイス、および「InstantGo」(Connected Standby)に対応したWindows 8.1 PCで利用できるセキュリティ機能です。
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