検索
連載

iPadとタッチ操作でデザインカンプが作れるプロトタイピングツールCompを使ってみたスマホカメラとタッチで変わる制作現場(3)(2/2 ページ)

Adobe Creative CloudとスマートデバイスでWebデザインのワークスタイルはどう変わるのかを検証する連載。今回は、プロトタイピングアプリ「Comp」を使って簡単なWebデザインカンプを作成し、Photoshopで仕上げるというワークフローを紹介しよう。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

Compで使えるタッチジェスチャは16種類

 CompはiPad上でタッチで操作するアプリなので、指でなぞる16種類の「ジェスチャ」を使いこなす必要がある。シェイプが8種類、画像のプレースホルダー(仮の置き場所)が4種類、テキストが3種類で、残り1つが削除のジェスチャだ。

 大きさやパラメーターはジェスチャモードを解除してレイアウトモードにしたときに調整できるようになっているので、細かいことは気にせずにガシガシ描いていくのがコツだ。

 シェイプは、四角やラインくらいしか使わない気がするが、8種類も用意されている。四角の角に円を入れることで、「角丸」にするなどが可能だ。


シェイプのジェスチャ8種類

 画像のプレースホルダーは4種類ある。角丸イメージなど一筆書きのテストのように見えて難しそうだが、指を離してもCompは少しの時間待機してくれるので、落ち着いて書けば大丈夫だ。


画像のプレースホルダー4種類

 テキストのジェスチャはドットを入れる操作が加わる。ドット入力は円を書くのではなく、チョンとタップするだけでよい。


テキストのジェスチャ3種類

 グニャグニャとなぞると触れた部分が消されていく。この操作は「N」の文字のように最低限2回“角”を作る必要があった。


削除のジェスチャ

 16種類もあるので簡単に覚えられないかもしれないが、「取りあえずよく使うものだけ覚えて後で調整する」という方法で構わないと思う。というのも、後述するようにCompからPhotoshopへデータを送ることができるようになっているからだ。

 その前に、作ったデータをもう少しComp上で調整してみることにしよう。

Compでテキスト編集、写真貼り付け

 Compではテキストの内容を変更したり、写真を貼り付けたりできるようになっている。さすがに仮テキストとプレースホルダーではイメージがしにくいこともあるので、さらにヒアリングを続けて完成のイメージを持てるようにしてみよう。

クライアント

タイトルはそうやな、「ナニワの……」。あ、「ナニワ」は「花のナニワ」の方やで。カメラ屋さんちゃうで。「浪花うどん」にしとこ! サブタイトルは「うどんができるまで、小麦との出会い、出汁の研究」で取りあえず行っとこ。写真は、うどんっぽいので頼むわ!

 テキストは日本語を入れると文字化けのような現象が起きる。これは利用しているフォントが日本語に対応していないためだが、Compは「Typekit」に対応しているため、アドビが提供している日本語フォントを読み込めば解決する。


日本語に対応していないフォントの場合「?」の文字が現われる

 テキストを選択して「T」のアイコンをタップすることでフォントを変更できる。欲しいフォントがない場合は「Add」ボタンをタップしてTypekitを開いてフォントを探すのだ。

 ここでは小塚ゴシックを読み込んだ。フォントのウエイトは必要に応じてすぐに読み込めるようになっている。

 写真については、適当なものが手持ちでない場合、「Adobe Stock」からプレビューをダウンロードしておこう。CompではAdobe Stockでダウンロードしたプレビューも読み込めるようになっている。読み込みには写真アイコンをタップして「MyLibrary」を選択し、読み込みたい写真を選択するだけだ。

 仮の画像をどんどん差し替えていった結果が下記だ。

 左端はあえて差し替えずに書き出しを行ったが、プレースホルダーであることが分るようになっていた(適当なグレー画像に置き換わることはなかった)。

Photoshopに転送して仕上げ

 Compである程度レイアウトを作ったら、Photoshopで仕上げを行おう。ここではCompで作ったカンプをクライアントに見せ、OKをもらった段階でPhotoshopに転送をする。

 メインで使っているコンピューターがCreative Cloudにログインしている状態ならば、すぐさまファイルがPhotoshopに表示されるようになっているようだ。

 開かれたファイルをその場で修正してもいいし、いったんPSDファイルに保存してデザイナーと共有する方法も考えられるだろう。

 Compはよくできたアプリなので、これだけでほとんど作り込んでしまうことも可能だ。Compに用意されているサンプルの中には、「このまま実務で使えるのではないか」と思ってしまうクオリティのものも存在する。

 しかし、Compはあくまでもデザインカンプを作るアプリなので、仕上げとして何らかのアプリケーションを利用すべきだと思う。実際にコーディングを行う場合は、Photoshopを経由してExtractを使用することになるだろう。

Compで変わるワークフロー

 Compはヒアリング段階で、ある程度クライアントの要求をビジュアライズできるので、認識の相違によるトラブルが起きにくいと考えられる。また、すぐにPSDファイルにすることができるので、環境さえ整っていれば、すぐさま本番のデザイン作業を開始することもできる。外出から戻ったら第一校ができているかもしれない。

 また、こういった用途の他にも、ふと浮かんだアイデアなどをその場で形にできるメリットもあるだろう。移動中などにある程度のレイアウトを組んでしまうという使い方ももちろん可能だ。この場合、わざわざノートPCを開く必要もないので、タブレットが使える場所であれば満員電車でも仕事ができるだろう(ただし、デザイン内に案件の内容が分かるような言葉を入れてしまって情報漏えいすることは避けたい)。

 また実務ではなくても、普段からさまざまなレイアウトを試作してストックしておくのにもCompは十分利用できるだろう。

 ちょっとこれまでとは違う提案方法を探している方や、手っ取り早くさまざまなレイアウトを作ってみたい方は使ってみてはいかがだろうか。

次回は、Photoshop CC 2015の新機能でレスポンシブWebデザイン

 次回は、今回Compで作成したデザインカンプを基に、Photoshop CC 2015の新機能を使ってレスポンシブWebデザインに対応したサイトにするために調整する方法を紹介する。

筆者紹介

岡本 紳吾(おかもと しんご)

1975年大阪生まれ。2000年ごろよりAdobe Flash(当時はmacromedia)を使ったコンテンツ制作を始め、Flash歴だけは異様に長い。自他共に認めるFlash大好きっ子。2008年より活動の拠点を東京に移し、2011年に独立。最近はAdobe Edge系を活用し、HTML5コンテンツも手掛ける。Webプロデュースと制作と山岳メディア運営の会社、hatte Inc.代表取締役。

Twitter:@hage

Facebook:shingo.okamoto


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る