「Oracle Database Cloud Service」は今、何ができるのか 2016年、何ができるようになるのか:開発/検証用途の無償版も登場予定(1/3 ページ)
「Oracle Database Cloud Service」は、Oracle Databaseを利用する企業に最適なクラウドサービスだ。2016年は開発/検証用途で使える無償版や、オラクルが全ての運用管理作業を行うマネージドサービスも登場し、さらに身近で使いやすくなる。[パブリッククラウド][Oracle Cloud]
データ暗号化機能を標準装備──あらゆる用途に向けてサービスを提供
ビジネス活動を通じて日々、生み出される大量のデータを蓄積するデータベースは、企業システムにおいて中核的な役割を果たす存在だ。オラクルは、これをパブリッククラウドで利用できるサービスとして「Oracle Database Cloud Service」の提供を開始し、企業への導入が急ピッチで進んでいる。オンプレミスのOracle Databaseと完全な互換性を持つ同サービスでは今、何ができるのか、今後何ができるようになのか? 米オラクルでOracle Database Cloud Serviceのプロダクトマネージャを務めるブライアン・スペンドリーニ氏が語る。
※本記事は、2015年12月に開催されたOracle Cloud Days Tokyoにおけるスペンドリーニ氏の講演の内容を基に構成しています
本サイトの記事でも何度か紹介してきたように、現在、オラクルがPaaS(Platform as a Service)として推進しているパブリッククラウドサービス「Oracle Cloud Platform」のコンセプトは、「オンプレミス製品と同一のアーキテクチャで提供し、ユーザー企業がこれまで培ってきた既存アプリケーションやスキルなどの資産をパブリッククラウド上でそのまま利用可能にする」ことと、それによってオンプレミスとパブリッククラウドが混在する「ハイブリッドクラウド環境を容易に実現できるようにする」ことにある。
この中で、パブリッククラウド側においてデータベース機能を提供するのが、オンプレミス版のOracle Databaseと同等の機能/管理スキームを備える「Oracle Database Cloud Service」だ。「Oracle Database Cloud Serviceは、開発/検証用途から部門単位、エンタープライズレベル、そしてミッションクリティカル領域にまで対応できるよう、現在もサービスの拡充を続けています」とスペンドリーニ氏は話す。
オンプレミスと同じ技術をベースにして構成されているOracle Database Cloud Serviceの特徴の1つは、強固なセキュリティ機能が標準で備わっている点だ。
例えば、Oracle Database Enterprise Editionのオプション機能に相当するデータ暗号化機能が全てのサービスに標準で提供される。これにより、パブリッククラウド側では暗号化によってデータの秘匿性を確保し、ユーザー側ではデータへのアクセスを詳細にコントロールできるようになる。復号のためのキーを権限に応じて管理する機能として「Oracle Key Vault」が、「誰が、どのデータにアクセスしたのか」を監査する機能として「Oracle Audit Vault」が利用可能だ。オラクル側で暗号化機能を提供し、ユーザー側でアクセス権をコントロールして監査する“役割分掌”が、Oracle Database Cloud Serviceにおける基本的なセキュリティモデルとなる。
PaaSだから手間いらず──誰でも短時間でデータベース環境を作れる
Oracle Database Cloud Serviceには、「Managed」「Automated」「Virtual Image」という3つの管理レベルが用意され、インフラに関しては「汎用サーバー」「Engineered Systems」の2つを選ぶことができる。これらを柔軟に組み合わせることで、運用管理やパフォーマンスの要件に応じてデータベース環境を導入することが可能となっている。
IaaS(Infrastructure as a Service)を含む他の一般的なクラウドサービスに対するOracle Database Cloud Serviceの大きな利点は、「構築の容易さ」と「迅速さ」だ。Oracle Database Cloud Serviceでは、グラフィカルな管理画面上でOracle Databaseのエディションや機能を選択し、「60分程度で、すぐに利用可能なデータベース環境を誰でも構築できます」とスペンドリーニ氏は強調する。
また、一般的なIaaSでデータベースを含む環境を構築する場合、クラウド側で自動的に行われるのは仮想マシンの準備とOSのインストールまでというケースが多い。その後のデータベースやミドルウェア、アプリケーションのインストール、設定などの作業はユーザー自身で行うことになる。これに対して、Oracle Database Cloud Serviceはデータベース環境までを含むPaaSとして提供されるため、データベース環境の構築までがクラウド側で自動的に行われる。煩雑なインストールや設定の作業が不要な点は、開発/検証用途などでデータベース環境を誰でもスピーディに作れるようにしたいと考える企業にとって大きな魅力だろう。
「サービスの利用開始後も、リソース拡張やセキュリティ設定の追加、データベースへのパッチ適用、バックアップ/高可用性(HA:High Availability)/災害復旧(DR:Disaster Recovery)環境の構築といった可用性対策、多言語対応、データベース環境のモニタリングといった作業がパブリッククラウド上の管理画面を通して簡単に行えます。また、これらの作業に際しても、オンプレミスで培ってきたノウハウを、そのまま生かすことができるのです」(スペンドリーニ氏)
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提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2016年5月24日