島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(14)(4/4 ページ)
「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました。
3号機はぐいぐい行くよ!
羽角 エンジニアコミュニティーが盛んなのはこの街の特徴の1つです。エンジニアコミュニティーって基本的には民間の活動ですが、そこに公務員としてどう関わっているんですか?
佐藤さん 代表的なものだと、月に1回、土曜日に開催される「Matsue.rb」というコミュニティーがあり、私も参加しています。参加しても仕事扱いにはならないけれど、仕事について相談したい人や意見を聞きたい人に会えるので、結果的に仕事がはかどります。
福田さん 地方のIT企業も、企業同士のグループや仕事で付き合いのある関係を基本とした枠内でエンジニア同士の交流が行われることが多くて、それが壁になっちゃう側面もあるんです。でもコミュニティーがあれば、その枠を超えて交流が広げられる。ITならではのオープンソースの思想を地域社会に取り込んだんだよね。
佐藤さん U&Iターンを増やすためにはコミュニティーって重要ですよね。企業の枠を超えて交流が横に広がるから、地域に馴染んでいきやすい。
福田さん 自分たちでいうのも何だけれど、市役所にITコミュニティーのコンシェルジュがいるってすごいことかも。U&Iターンしたエンジニアから「こういう話するなら誰だろ?」って聞かれると佐藤くんが答えられる。
佐藤さん この半年でそれを身に付けました。ぐいぐい行きましたから(笑)。人と人が仲良くしているのを見るだけでうれしいんですよ。
杉原さん 基本的にみんなおせっかいが好き。公務員の本性がコミュニティーに合ってるんですね。
福田さん ドラクエでいう「気性の荒い僧侶」なんですよ。「がんがん行こうぜっ!」ていうわりに、回復魔法くらいしかスキルはないんですが(笑)。
U&Iターンの現実
羽角 UターンもIターンも、みんながみんな満足して成功するわけじゃないって話を聞くことがありますが、島根や松江はどうですか? せっかくなんで、赤裸々なお話を伺いたいです。
福田さん 辞めた人は2人くらいだったかな。「転職して入った松江の企業が、思っていたよりもレベルが高かった」という理由で辞めていった人がいましたね。
杉原さん 「全員が高いレベルの仕事や環境を望んでる」と私たちは思っていたんだけれど、逆もあるんだなという気付きになりました。
福田さん この3年間で島根県全体で50人くらいのエンジニアがU&Iターンして来て、3人くらいがうまくいかなかった。全員うまくいくのがベストなんだろうけれど、このくらいで済んでいるのは、U&Iターンする前に丁寧に企業とマッチングするサポート体制があるし、移住した後のフォローも私たちができるだけきめ細かくするようにしているからじゃないかなと思います。
杉原さん U&Iターンの成功や失敗は、長い目で見た方がいいかもと思います。親の介護でUターンした人など、これからすごく重たい問題として表面化するかもしれないし。
福田さん 移住後のフォローはこれからも手厚くやっていきたいです。移住後に状況が変わったり、転職した会社が合わなかったりしたら、他の会社を紹介することもできますし。
杉原さん 早めに「実は……」といった相談をしてもらうには、普段からの関係作りが大切だと思います。
佐藤さん そこでもやっぱりコミュニティーですね。どんどん相談してほしいです。ほっとけないですから。
杉原さん 直接関わってU&Iターンしてくれた人たちには個人的な思い入れもあるし。困っている人を助けるのが喜びなんですよ。
福田さん やっぱり僧侶なんですね。
佐藤さん 私、実家はお寺ですし。
羽角 お後がよろしいようで。
@IT式 U&Iターンスタイル
全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えます。Uターン、Iターン、Jターンに興味のある方は、ぜひ参考にしてください。
ご当地ITライター募集
現在、または元ITエンジニアかIT企業社員、かつ現在住んでいる地域へUターン/Iターン/Jターンし、記事執筆に興味のある方は、下記まで連絡ください。
- @IT自分戦略研究所 代表メール「jibun@atmarkit.co.jp」(@を半角にしてください)
- @IT自分戦略研究所 Facebookページ
- @IT自分戦略研究所 公式Twitter
筆者プロフィール
モンスター・ラボ エンジニア 羽角均(はすみひとし)
2014年7月、モンスター・ラボ島根開発拠点開設と同時に島根へIターン移住。Webシステムやスマホアプリの開発を担当。
島根の海と酒と蕎麦をこよなく愛し、社内ではコーヒー部長も務めている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 島根編:通勤は自転車、ランチは出雲そば――松江っ子エンジニアのIターンライフ
家電量販店がない! 三菱東京UFJ銀行のATMがない! でもね……U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第2回は、通勤や住宅事情などの「松江市に住み、働くということ」のリアルをお届けします - 島根編:どこでも働けるということ――Iターンエンジニアが実践する屋外開発と開発合宿
ITエンジニアはPCと電源があれば、どこでも働けるよね?――U&Iターンの理想と現実「島根編」の第1回は、お城で、お寺で、民宿で、ネットワークとクラウドツールを駆使して働くIターンエンジニアのリモートワーク事情を紹介します - 新潟編:最大200万円の住宅取得補助も――妙高市役所の木浦笙子さんに聞く、U&Iターンへの行政支援
新潟に移住したら、行政はサポートしてくれるの?――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。新潟編第2回は「移住を支援する行政担当者」にインタビューしました - 沖縄編:ヤギはめったに食べないよ!――沖縄の歴史、言葉、通勤着
沖縄といえば、「ちんすこう」「シーサー」「スピード」「ビギン」「米軍基地」。でも、それだけじゃないんです。U&Iターンの理想と現実「沖縄編」のスタートです! - 長野編:都会に疲れたら田舎においで!――長野で働くエンジニアの給与、残業時間、求人数
長野といえば「野沢菜」「善光寺」そして……「働く場所!」。U&Iターンの理想と現実「長野編」の始まり始まり - 岡山編:立ち乗客3人で「すげー満員じゃあ」――岡山の交通、住宅、生活事情
岡山編第2回は、交通事情や住宅情報など、移住検討者が気になる情報をセキララにレポートする - 高知編:はちきん娘がプライベートを大公開――高知の家賃、生活費
高知編 第2弾は、家賃や食費など生活面で掛かる費用について、はちきん娘(土佐弁で男勝りでハツラツとした女性)がセキララにお伝えする。高知をはじめたとした地方への移住を検討するエンジニアの参考になれば幸いだ - エンジニアは、もっと自由に働ける――U&Iターンのススメ
地方への移住を検討するITエンジニアに、全国のご当地ITライターがリアルな情報を届けるポータルサイト、それが「@IT式 U&Iターンスタイル」だ