新潟編:「田舎のしきたり」ってぶっちゃけどうよ……ボクのUターン体験記:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(16)(3/4 ページ)
「いざ! 移住」となっても「仕事はどうする?」「地域になじめる?」など、さまざまな不安が発生します……ITエンジニアのU&Iターンの理想と現実をお届けするこの連載。今回は、新潟編。田舎にUターンしてエンジニアになった筆者の実体験をセキララにつづります。
地域の人とは、関わりたくない!
仕事と遊びに不自由がなくなり、普段の生活に不満を抱くことは少なくなりました。
一方、時間がたつにつれて、「義晴君が妙高に帰ってきたらしい」というウワサが広がり、公民館活動や消防団など、いろいろな団体から「お誘い」を受けるようになりました。
当時の私にとって、それはとても煩わしいことでした。
神奈川時代の人間関係は、会社の仲間や、車やバイク、アウトドアなど、趣味で集まったサークルの仲間が中心でした。「同じ会社」「同じ趣味」の仲間ですから、すぐに打ち解けられます。特に趣味の仲間は「やりたいことをやっている」ので単純に楽しかった。
けれども、地域の付き合いは「やりたいことをやっている」わけではありません。どちらかといえば、「やらなければいけないことをしぶしぶやる」です。当時の私はまだ独身で子どももいなかったので、地域活動なんて興味がなかったし、地域の人との人間関係は「面倒くさくて煩わしい」ものだったのです。
周りを囲まれしぶしぶ……
始まりは、Uターンした年の秋に行われた地域の秋祭でした。近所に住む親戚から、「できる範囲で構わないから」と手伝いを頼まれ、しぶしぶ、本当にしぶしぶ受けることにしたのです。
15歳で地元を離れた私は、会場に行っても誰が誰なのかさっぱり分からないし、どう接したらいいのか距離感もつかめません。けれども、皆が「義晴君」「よっちゃん」と親しげに声を掛けてきます。言葉は悪いのですが「あんた誰だよ!」と思いました。
やるべきことをやって、「2度と来ないぞ!」と帰ろうしたところ、「消防団に入らない? できる範囲で構わないから」と、周りを囲まれてしまったのです(笑)。
「嫌だ」といえる状況ではないし、そんな勇気もありません。「仕事が忙しいから、出られるときだけ」と仕事を言い訳にするのがせいぜいで、しぶしぶ引き受けてしまいました。
「あんた誰?」が「いい仲間」に変わった理由
それから、早いもので17年。今では消防団の仲間は「いい仲間、いい飲み友達」です。「地域に付き合いがあるのもいいじゃないか」と思うようにまでなりました。1ページ目の写真をご覧ください。いい笑顔でしょう?(笑)
私の地元には、運動会、キャンプ、祭り、スポーツ大会、どんど焼き、地域の掃除、消防団活動など、いろいろな行事があります。当時は煩わしかったこれらの行事も、今はどちらかというと積極的に参加するようになりました。
なぜこのように変わったのかを考えると、たぶん私の意識が「よそ者」から「地域の人」に変わっていったからなのでしょう。
第2回「最大200万円の住宅取得補助も――妙高市役所の木浦笙子さんに聞く、U&Iターンへの行政支援」で移住担当者が、移住者に地域イベントへの参加を勧めているように、地域のイベントは人と人とのつながりを深めてくれます。イベントではよくお酒を飲みます。ご存じのように、お酒は人と人とをつなぐ潤滑油です。お酒が苦手な人も、何度もイベントで顔を合わせるうちに、近隣の人と顔見知りになっていきます。
地域の人と会い、いろいろな話をすると、今まで知らなかったことや地元の課題も見えてきて、「まぁ、大変なこともあるけれど、ここはやっておかないとな」と、自然に思えるようになったのです。
田舎はよく「しきたりが多い」と言います。私がUターンしたころは、地域の行事で「これは昔からこういうものだ」といった声をよく聞きました。問題点を指摘すると怒られて、イラッとしたことも正直あります(なんてことを地元の人が読んだら、怒るかもしれないけれども……)。
私がそうだったように、「田舎のしきたりなんて面倒くさい」「濃い人間関係は嫌だ」と思う人にとって、これらは田舎へのU&Iターンを躊躇(ちゅうちょ)させるものかもしれません。確かに首都圏に比べたら、地域のしきたり(清掃や行事、イベントなどのやるべきこと)は多いかもしれません。
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