島根編:就業も支援! コミュニティーも支援! 呑み会も支援! ――八面六臂の“おせっかい”ぶりを発揮する、松江のスーパー公務員トリオ座談会:ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(14)(1/4 ページ)
「本気」と書いて「マジ」と読む――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第3回は、U&Iターンエンジニアたちに大人気のスーパー公務員たちをお招きして座談会を開催しました。
「@IT式 U&Iターンスタイル」は、全国各地のU&Iターンエンジニアたちが、地方での生活の実情や所感などをセキララに伝えていく。ご当地ライターたちのリアルな情報は、U&Iターンに興味のある方々の役に立つだろう。
こんにちは! 千葉県生まれのIターンエンジニア、「モンスター・ラボ」島根開発拠点のハスミンです。「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実:島根編」第1回は、私たちが実践している屋外開発事例を、第2回は、仕事以外のIターンライフ@島根県松江市を紹介しました。
U&Iターンに興味のあるエンジニアの皆さんは「本当にU&Iターンできるの?」なんて思っていませんか? そんなときは、誰かが相談にのってくれれば心強いですよね。
安心してください。われらが島根県には強い味方がいます。
なぜ島根県はITエンジニアの移住に熱心なのか、どのような組織と情熱でU&Iターンをサポートしているのか、公務員たちはどのようにエンジニアのコミュニティーに関わっているのか――「ITエンジニア U&Iターンの理想と現実:島根編」、第3回は、移住者の不安や悩みの相談に乗ってくれる島根の公務員をお招きして、座談会を開きました。
座談会出席者(左から順に):
2号機:福田一斎(ふくだかずよし)さん 松江市 産業観光部 定住企業立地推進課 定住支援係 副主任
初号機:杉原健司(すぎはらけんじ)さん 島根県商工労働部 産業振興課 情報産業振興室 企画員
3号機:佐藤文昭(さとうふみあき)さん 松江市 産業観光部 まつえ産業支援センター 産業支援係 副主任
聞き手:羽角均(はすみひとし・ハスミン) モンスター・ラボ島根開発拠点 エンジニア
@松江オープンソースラボ(役職は2016年7月1日現在)
課題先進地・しまね
羽角(ハスミン) こんにちは。今日はよろしくお願いいたします。早速ですが、今どのようなことに問題意識を感じていますか?
杉原さん 圧倒的な人口減少です。島根はついに人口が70万人を割ったんです。統計で人口減少数を見たとき、「このままだと200年後には島根がなくなってしまうじゃないか」と思いました。
日本全体で人口が減っているので、増やすというよりも、いかに減少を緩やかにするかが課題です。若い人が少しでも残ってくれるように。そのために、ワクワクするような街を作っていきたいです。
福田さん 少し情緒的な言い方になるけれど、私は自分の息子に堂々と引き渡せる地域を作りたい。大事な人が長く暮らしていける仕組みを作りたいです。
佐藤さん 松江市役所も島根県庁も「縮んでいく松江・島根」という後ろ向きな状態に接していく部署が多いのですが、今の部署でエンジニアのU&IターンやIT企業の誘致に関わって、「こんなに島根に人が来てくれている」って初めて知りました。
杉原さん 過疎化が進んでいる島根は、逆から見ると「課題の先進地」です。人口減少を始めとした地域課題に対処する新しいサービスを島根から生み出し、世界に再販できるビジネスモデルを作りたいんです。それが私たちがIT産業の支援に力を入れている理由です。
福田さん 以前は内心で「そんなことできるわけないだろう」と思ってたけど(笑)、最近は10年もたたないうちにそういう時代が来るような気がしています。
新しいことを始められる人、新しいものを生み出せるエンジニアたちに島根に残ってもらう、あるいは都会からU&Iターンしてもらい、松江や島根の環境を変えていきたい。単純に人数を増やすのではなく、変化を起こすためのキーになる「ひと」「もの」に集中したいです。
杉原さん 変化にはチャレンジが必要です。新規ビジネスの成功率って1000回バット振って3、4回当たるくらいだから、前向きに1000回挑戦できる環境を島根に作りたい。そのためには、チャレンジした人を褒める文化、空気、雰囲気を作りたいです。
福田さん 松江ではRubyがこうした動きの核になり始めています。あの飽きっぽい松江市役所が……あ、上司に怒られそう。
佐藤さん (笑)
福田さん 10年も続けている施策なんですよ、「Ruby City MATSUE プロジェクト」って。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 島根編:通勤は自転車、ランチは出雲そば――松江っ子エンジニアのIターンライフ
家電量販店がない! 三菱東京UFJ銀行のATMがない! でもね……U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。島根編第2回は、通勤や住宅事情などの「松江市に住み、働くということ」のリアルをお届けします - 島根編:どこでも働けるということ――Iターンエンジニアが実践する屋外開発と開発合宿
ITエンジニアはPCと電源があれば、どこでも働けるよね?――U&Iターンの理想と現実「島根編」の第1回は、お城で、お寺で、民宿で、ネットワークとクラウドツールを駆使して働くIターンエンジニアのリモートワーク事情を紹介します - 新潟編:最大200万円の住宅取得補助も――妙高市役所の木浦笙子さんに聞く、U&Iターンへの行政支援
新潟に移住したら、行政はサポートしてくれるの?――U&Iターンの理想と現実をお届けする本連載。新潟編第2回は「移住を支援する行政担当者」にインタビューしました - 沖縄編:ヤギはめったに食べないよ!――沖縄の歴史、言葉、通勤着
沖縄といえば、「ちんすこう」「シーサー」「スピード」「ビギン」「米軍基地」。でも、それだけじゃないんです。U&Iターンの理想と現実「沖縄編」のスタートです! - 長野編:都会に疲れたら田舎においで!――長野で働くエンジニアの給与、残業時間、求人数
長野といえば「野沢菜」「善光寺」そして……「働く場所!」。U&Iターンの理想と現実「長野編」の始まり始まり - 岡山編:立ち乗客3人で「すげー満員じゃあ」――岡山の交通、住宅、生活事情
岡山編第2回は、交通事情や住宅情報など、移住検討者が気になる情報をセキララにレポートする - 高知編:はちきん娘がプライベートを大公開――高知の家賃、生活費
高知編 第2弾は、家賃や食費など生活面で掛かる費用について、はちきん娘(土佐弁で男勝りでハツラツとした女性)がセキララにお伝えする。高知をはじめたとした地方への移住を検討するエンジニアの参考になれば幸いだ - エンジニアは、もっと自由に働ける――U&Iターンのススメ
地方への移住を検討するITエンジニアに、全国のご当地ITライターがリアルな情報を届けるポータルサイト、それが「@IT式 U&Iターンスタイル」だ