IoTを活用した古河電工の見守りサービス「CATI」が少人数/短期間で実現できた理由がコレ! 肝となるデータ分析環境はOracle BI Cloud:IoTは「データを集めて可視化/分析する」までをワンセットで考える(3/3 ページ)
国内企業においてIoTへの取り組みが加速している。古河電気工業は先頃、対話型ロボットとパブリッククラウドを活用したケーブルテレビ事業者向けシステム「CATI」のデモンストレーションを披露した。ロボットからクラウドに送られる各種データの分析基盤には「Oracle BI Cloud Service」を利用している。[ビッグデータ][Big Data]
ERPもIoTも“データから価値を見いだす”取り組み 培ったデータ活用のノウハウをより広く提供する
CATIデモシステムの短期構築を支援したイデア・コンサルティングの前身は、富士ソフト(旧富士ソフトABC)と三菱総研DCS(旧ダイヤモンドコンピューターサービス)の合弁で設立され、ERPソリューションを中心に手掛けるダイヤモンド富士ソフトである。同社の中で特にオラクルのパッケージソリューションを専門とする部門が分社化して設立されたのが、現在のイデア・コンサルティングなのだ。
同社では、パッケージ製品を中心としたERPシステムや、そのデータを活用するBIシステムの構築と運用に特化して事業を展開してきたが、企業においてクラウドの活用が本格化し、オラクルがOracle Cloud Platformの本格展開を開始した2015年より、クラウドへの注力を一気に加速。日本オラクルとの緊密なパートナーシップの下、Oracle ERP Cloud ServiceやOracle BI Cloud Serviceを核にクラウド分野での協業も拡大している。
このようにERPやBIに強みを持つ同社だが、現在はIoT分野にも注力している。その理由として、掛江氏はIoTとデータ分析が密接な関係にあること、そして富士ソフトグループとしてのシナジー効果を挙げる。
「IoTへの取り組みでビジネス上の価値を生み出すためには、取得したデータの蓄積に加えて『分析』のフェーズが極めて重要となります。当社では、これまで多くのBI案件を手掛けてきた実績を基にデータ分析のコンサルティングサービスを提供しており、そのノウハウはIoTの分野でもさまざまなビジネスに活用できます。また、当社のグループ企業である富士ソフトは、ロボットや組み込み系のシステム開発で豊富な実績を持ちます。それも加えた総合力により、お客さまのIoTビジネスを全面的にご支援できる点が当グループならではの大きな強みだと言えます」(掛江氏)
さらに掛江氏は、ERPやBIなど従来の業務システムと、IoTという先進分野で求められるシステムの間に生じるギャップは、クラウドを効果的に活用することで一気に埋められると話す。
「ERP上のデータもセンサー類から取得するデータも、企業が分析を通じて顧客価値を生み出すためのデータであるという点で共通しています。これらを組み合わせて分析することで、それぞれのデータを最大限に活用し、生み出す価値をさらに大きくできるのです。ERPとIoT、さらにそのデータから価値を見いだす分析(BI)の全てをカバーしている点はOracle Cloud Platformの無二の特徴であり、これを使うことで当社の強みも最大化されると考えています」(掛江氏)
同社では、このように広範な領域をカバーしたクラウドサービスとオンプレミス製品を取りそろえるオラクルとのさらなる協業関係の強化に期待を寄せている。
「いよいよ国内でも、IaaSからSaaS、PaaSへと企業システムにおけるクラウドの活用範囲を広げる動きが加速しています。特にSaaS、PaaSの分野において、当社はこれまでに蓄積したノウハウを生かし、お客さまのニーズに最適なシステムを作っていきたいと考えています。日本オラクルとは、今回のデモシステムの構築も含め、普段より積極的な情報交換を行うなど、さまざまな面で相互に協力してきました。IoT分野についても、海外における活用情報の共有なども通じ、今後もお客さまに対して先進的な価値を共に提供していけると期待しています」(矢原氏)
以上、古河電工におけるOracle BI Cloud Serviceなどの活用事例と、それを支援するイデア・コンサルティングの取り組みを紹介した。
IoTを活用したサービスの実現では、短期開発やインターネットとの親和性の高さから、パブリッククラウドの活用が最適解であることは徐々に認知されつつある。それに加えて認識いただきたいのが、デバイスから収集したデータを可視化/分析してビジネス価値に変えるBI環境をいかに実現するかが、特にIoTプロジェクトの初期段階の成否を握る最大の肝であるということだ。
「パイロットプロジェクトとしてIoTのデバイスからデータを収集する仕組みを作ってみたものの、集めたデータを可視化/分析する環境の構築を後回しにした結果、経営層やビジネスキーマンにIoTの効用が十分に理解されず、取り組みが停滞してしまった」という話も聞かれる。これは、その取り組みによってどのようにデータが利用され、どういったビジネス価値が生み出されるのかを明らかにするBI環境の不足が招いた事態だといえる。
多くの企業にとって初の試みとなるIoTの取り組みでは、早期にBI環境を整え、その効果を関係者や顧客に示すことが不可欠となる。イデア・コンサルティングが手掛ける古河電工の事例は、それをOracle BI Cloud Serviceを活用して短期間で実現した好例だと言えよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Oracle DBユーザーに最適なセルフサービスBI環境とは?
「ビジネス部門主導で手軽に使える高機能なBIツールが欲しい」──Oracle Cloudには、そんなニーズに最適なサービスとして「Oracle Business Intelligence Cloud Service」が用意されている。ハイブリッドアーキテクチャで提供されるため、将来、オンプレミスに移行することも可能だ。[パブリッククラウド][ビッグデータ][Oracle Cloud][Big Data] - データ分析と視覚化をデスクトップで手軽に!「Oracle Data Visualization Desktop」が現場のデータ活用を加速する
「現場の業務ユーザーが使いやすいBIツールを導入し、社内のデータ活用を推進したい」──そんな悩みを持つ企業に適するツールが「Oracle Data Visualization Desktop」だ。Excelファイルやデータベース内のデータを手軽に可視化/分析できる同ツールにより、企業は全社レベルのデータ活用をさらに加速することができる。[ビッグデータ][Big Data] - 「IoT&ビッグデータ環境を2週間で導入してビジネス立ち上げ」もOracle Cloud Platformなら本当にできる!
ビジネスに新たな価値をもたらすテクノロジーとしてIoTやビッグデータに対する関心が高まっているが、この仕組みを新たに構築するのは容易ではない。オラクルは、エッジデバイスの管理からストリーミングデータ処理、業務連携までを一気通貫で行える仕組みをパブリッククラウド上に用意している。[パブリッククラウド][ビッグデータ][Oracle Cloud][Big Data] - 100万台超の複合機をグローバルに結ぶ! キヤノンの基幹サービスを支えるIoT基盤の全容
「世界中の顧客オフィスで稼働する100万台超の複合機をネットワーク経由で結び、管理効率やサービス品質を高める」──この世界的にも先進的なIoT活用を実践しているのがキヤノンだ。Oracle Exadataをはじめとするオラクルの先進ソリューションを駆使した同社サービス基盤の全容が明かされた。[ビッグデータ][プライベートクラウド/データベース統合][運用管理効率化][Engineered System][Data Integration] - 多様なデータから“価値”を引き出す先鋭ビッグデータソリューションの全容
ビッグデータから真に役立つビジネス価値を引き出すためには、企業の基幹データや大量の非定型データといった多様なデータを容易に組み合わせて分析できる環境が必要だ。そして好機を逃さぬよう、分析結果はスピーディに得られなくてはならない──こうしたコンセプトの下、企業のビッグデータ活用をトータルに支援すべく設計されているのが、オラクルのビッグデータソリューションである。[ビッグデータ][Engineered System]
関連リンク
提供:日本オラクル株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年2月16日