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ビジネスとITの“つながり”をさらに深く――日本マイクロソフト・平野社長特集「Connect 2018」

2017年は「お客さまのデジタルトランスフォーメーションの推進」を掲げ、ビジネスを展開してきた日本マイクロソフト。2018年はどう臨み、何をつなげていくのか。同社の代表取締役社長 平野拓也氏に話を伺った。

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デジタル技術でビジネスモデルを売る時代に

――2017年を振り返ってみて、どんな1年でしたか?

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日本マイクロソフト 代表取締役社長 平野拓也氏

平野社長 ひと言でいうと「変化」の年でした。2017年、日本マイクロソフトは「お客さまのデジタルトランスフォーメーションの推進」を最重要テーマとしてビジネスを展開してきました。その中で、お客さまとの関係が大きく変化してきていることを実感しました。その変化とは何かというと、これまで私どもはお客さまに“プロダクト”を提供してきましたが、ここ数年は“お客さまの課題に対応したソリューション”をお届けする形に変わってきたということになります。

 そして今、お客さまからはソリューションだけにとどまらず、デジタル技術を活用した新しいビジネスモデルやサービスモデルを一緒に創出したいという要望が多く寄せられるようになってきました。私どもがお客さまにご提供するものが、プロダクトからソリューション、そしてビジネスモデルへと変わってきたのです。

 この変化によって、私どもがお話しさせていただくお客さまも、組織でいうとこれまでのIT部門から各事業部門の方々へと変わってきました。それに伴い、そうしたお客さまのニーズに応えるために、私どもが提供する技術やサービスの内容も大きく変わってきました。それを象徴するのが「クラウドサービスの拡大」です。

 2017年、日本マイクロソフトの売り上げもクラウド中心の構成に大きく変化し、ライセンス販売からクラウド利用が半数を超えるようになりました。また、お客さまのビジネス変革を迅速に成功へと導くためにグローバルスケールの考え方を重視して、クラウドビジネスを本格展開するための組織体制に大きく変更した、まさにターニングポイントとなる年になりました。

デジタルトランスフォーメーションがさらに加速

――2018年は、どのような1年になると見ていますか?

平野社長 はっきりしているのは「デジタルトランスフォーメーションがさらに加速する」ということです。それに対して日本マイクロソフトは、これまで注力してきた「働き方改革」のさらなる推進と、業種・業態別の取り組みを強化していきたいと考えています。

 働き方改革については、引き続き日本政府の方針と連動し、これまで注力してきたテレワークの推進などに代表される、場所や時間の制約を取り払う「いつでもどこでも業務を遂行できる環境」の整備に加え、2018年は「個人や組織が持つポテンシャルを最大限に発揮できる環境づくり」を目指します。

 また、仕事とプライベートを場面に応じて選択するという「ワークライフチョイス」の考え方の浸透や、クラウドを基盤にAI(人工知能)やMR(Mixed Reality:複合現実)などを有効活用した働き方改革を推進していきます。これにより、さらなる業務効率や生産性の向上など、仕事の「質」を高め、イノベーションの創出や企業の成長に貢献していきたいと考えています。

 業種・業態別の取り組み強化については、お客さまでも各事業部門の方々からビジネスモデルの相談を受ける機会が増えてきたことが背景にあります。そうしたニーズに日本マイクロソフトとして応えていくために、クラウドをはじめ、IoT(Internet of Things)、AI、MRなどの最新技術を活用し、それぞれの業種・業態に最適なソリューションをお客さまやパートナー各社と連携して開発して、それぞれのビジネス変革を支援していきます。

 加えて、2018年の見通しとして個人的に気になる点を挙げておくと、日本は「金融のデジタル化」をもっと加速させる必要があると思っています。とりわけ、キャッシュレス決済への対応について、グローバルの動きから立ち遅れているのを憂慮しています。というのも、今後拡大するデジタル技術を活用したビジネスでは、キャッシュレス決済が前提になるからです。これについては、私どもが該当するサービスを提供しているわけではありませんので、金融機関の対応や金融とITを融合したFinTech(フィンテック)の動きに期待しています。

つながることを大前提とした企業ミッション

――2018年、日本マイクロソフトは何をつなげていきたいですか?

平野社長 私どもが提供するプロダクトやサービスは、現在、日本でも多くの企業に利用していただいています。そうしたお客さまそれぞれが推進するデジタルトランスフォーメーションをさらに支援するとともに、デジタル技術を活用した新しいビジネスに向けてお客さま同士をマッチングしたり、それを新たなビジネス連合体へ発展させたりするような「お客さまをつなげていく」ことをぜひやってみたいですね。それが実現すれば、日本のデジタルトランスフォーメーションに大きく貢献できると思います。

 私どもにとって「つなぐ」あるいは「つながる」ということを考えたとき、「地球上の全ての個人と全ての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というMicrosoftの企業ミッションが当てはまると思います。なぜかといえば、(より多くのことを達成できるようにするという)この企業ミッションの実現は、「地球上の全ての個人と全ての組織」がつながることが大前提となっているからです。ですから、“何をつなげていきたいか”と問われれば、この企業ミッションの通りというのが答えになりますね。

 ただ、私自身の見方を述べておくと、これまでの全てのお話を踏まえた上で、ここにきて「ビジネスとITが本当につながるようになってきた」というのが実感です。もちろん、その背景にはビジネスを取り巻く環境の変化やテクノロジーの進歩などもありますが、ビジネスに求められている要件に対して、ITでカバーできるところは的確かつ迅速に対応するといったつながりを、ここにきて実感できるようになってきたからです。

 2018年は、このつながりをさらに深めていかなければなりません。とはいえ、日本企業の経営者の多くはまだ、そうした認識をお持ちではなく、ビジネスとITを別個に見ているのが現状だと思います。そこをどうつなげでいくかも、私どもの重要な仕事だと考えています。

特集:「Connect 2018」

 「IoT」に代表されるように、今やITであらゆる物事が「つながる」ようになりました。全ての物事がつながる今、企業はITに対するスタンスやビジネスに対する考え方を大きく変える必要があります。他の企業とどう協力するかという戦略も、成長に必要不可欠だといえるでしょう。

 本特集では、ベンダーやユーザー企業、ITやOTなど、さまざまな垣根を超え、全ての物事がつながる「未来」の姿を企業のトップに聞いていきます。

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