HTMLに著作権なんてあるわけないでしょ:「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(54)(2/3 ページ)
契約期間が過ぎても、納品したプログラムやHTMLファイルを複製して使い続けるユーザー。ベンダーはこれを阻止できるのか?――IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する人気連載。今回は「制作物の著作権」を考察する。
著作権が認められるのは、どのような場合か
裁判所はまず、一般論として「プログラムの著作権が認められる条件」を以下のように説明した。
知財高等裁判所 平成29年3月14日判決から(つづき)
(著作物として認められるための)創作性は、表現に作者の個性が表れていることを指すものと解される。プログラムは、「電子計算機を機能させて一の結果を得ることができるようにこれに対する指令を組み合わせたものとして表現したもの」であり、コンピュータに対する指令の組み合わせであるから、正確かつ論理的なものでなければならないとともに、著作権法の保護が及ばないプログラム言語、規約および解法の制約を受ける。
そうすると、プログラムの作成者の個性は、コンピュータに対する指令をどのように表現するか、指令の表現をどのように組み合わせるか、どのような表現順序とするかなどといったところに表れることとなる。
従って、プログラムの著作物性が認められるためには、指令の表現自体、同表現の組み合わせ、同表現の順序からなるプログラムの全体に選択の幅が十分にあり、かつ、それがありふれた表現ではなく、作成者の個性が表れているものであることを要するということができる。
プログラムの表現に選択の余地がないか、あるいは選択の幅が著しく狭い場合には、作成者の個性の表れる余地がなくなり、著作物性は認められなくなる。
要約すると、「コンピュータのプログラムとは、個々のコマンドや定義自体既に規約などで定められているものだから、これを著作物として認めるためには、それをどのように組み合わせるか、どのような順序で書くか、作成者独自のありきたりではない工夫がなければならない」と述べている。
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