コメントに外国語ががが!――唐揚げにつられて入社したエンジニアを襲った悲劇:開発残酷物語(9)(2/3 ページ)
トラブルの原因は何だったのか、どうすれば良かったのか。実在する開発会社がリアルに体験した開発失敗事例を基に、より良いプロジェクトの進め方を山本一郎氏が探る本連載。今回は「発注」にまつわる失敗談を紹介します――えっ、発注“する”方? 開発会社なのに???
発注の仕方も分からず外注してとんでもないことに
そんなCLOCK・ITが、2018年10月にβ版としてリリースしたのが、ベビーシッターのマッチングサービス「ママココ」だ。
「2017年10月に企画を開始し、『UBERのベビーシッター版を作ろう』ということになったのですが、どこから手を付けて、どうすれば良いのか、全く分かりませんでした。それまでノートの裏に広告を載せるビジネスしかしていませんでしたから(苦笑)」(東氏)
「取りあえず事業になりそうなアイデアを形にしてみよう、ということでしょうか」(山本氏)
まだ自社エンジニアもそろっていない時期の話だ。そこで知人のエンジニアに協力を仰ぎ、「ベビーシッターさんの場所が地図で分かるようにしたい」などの、ざっくりとしたイメージを伝えた。マッチングについては、類似のサービスを見せて「こんな感じにしたい」と、漠然とした要望を伝えたという。
「当時はシステム開発の発注の仕方をよく分かっていませんでした。きちんとした契約を結んだわけでもありません。今考えると冷や汗が出ます」(東氏)
「当時は、それでイケるものだと思っていましたからね」(飯沼氏)
「あぁ……! 何だかスゴイものが出来上がってきそうで怖いですね(ワクワク)」(山本氏)
山本氏の想像通り、実際に出来上がったものは、見た目や表面的な機能は整っていたものの、実際にユーザー登録から順を追って検証してみると、バグが多く、幾つもの問題が露呈したという。
しかし、外注したエンジニアと正式な契約を結んでいなかったので、瑕疵(かし)担保責任を問えない。あらかじめ仕様を申し合わせていたわけでもないため、その成果物を受け入れるしかなかった。そこで、上甲氏を中心としたエンジニアたちにより、社内での改修業務が始まる。
「使えたのはガワ(UI)と仕組みの部分だけで、後は全て作り直しでしたね」(上甲氏)
「かなり大変な作業だったでしょう?」(山本氏)
「コメントが中国語でした(苦笑)」(上甲氏)
「コーディング部分はクラウドソーシングなどで海外に出していたのだと思います」(飯沼氏)
「あー、よく聞く話です。変なコードが埋め込まれていることもあると聞きますが……」(山本氏)
「ありましたね。謎のGoogle Analytics用タグが埋め込まれていました」(上甲氏)
プログラムは、上甲氏や他のエンジニアたちの手で、大幅に改修すれば何とかなることが分かった。しかし、サービスインには、まだ大きなハードルがあった。
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