検索
連載

「契約不適合責任」を盛り込んだ契約書作りのポイント、教えます(サンプル付き)瑕疵担保責任じゃダメですか?(4/4 ページ)

「ユーザーはどこまでも無限に作業を命じてくるのではないか」「受け入れ試験を真面目にやらないのではないか」――改正民法の「契約不適合責任」にまつわるベンダーの不安にお答えしましょう。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

2 契約不適合の責任年限をどう定めるのか(納品後何年間までか)

 責任年限は、基本的なルールの例を以下のように定めました。もちろん組織やシステムの特性によって異なるとは思いますが、切り口はおおむねこうしたものが必要ではないかと考えます。

システムの特徴 設定する年限(例)
年次処理がある 1年2カ月に設定
データがたまって初めて分かる不具合がある データがたまる期間以上に設定
長期に渡って使用されない機能がある その使用時期を包含できる期間に設定
使用される時期が特定できないシステム(処理)がある 1年に設定し、以降は保守契約で対応
特段考慮すべき特性がない (従来の瑕疵担保と合わせた場合)1年に設定

3 ベンダーが上乗せする見積もりは妥当か

 見積もりの精査は、「1」「2」の結果なども考慮して詳細に検討する必要があります。

 少し注意しなければいけないのは、実際の作業はやってみなければ分からないことが多いので、安全をみてなるべく多めに工数を積みたいけれど、それをやり始めるとキリがない、という点です。

 そこで、作業内容が不確定の部分は、何らかの「前提」を置いて上限を付けます。「不確定部分については、別途見積もりとする」「××時間の範囲で実施する」などの前提を付けると、見積もりを抑えられるかもしれません。

 ここに挙げたのは、あくまで一例です。しかし、少なくとも、契約不適合責任に関しては、双方の不信感をしっかりと理解し、かなり突っ込んだ話し合いをしないと、本当の意味での合意は難しいと思います。また、そうして決められたものでも、本当にそれが妥当な契約であったかどうかは、やってみないと分からないところもあります。そこで、「この契約は、1年後にもう一度見直す」などの約束を付けるのも良いかもしれません。

 民法改正をきっかけに、本当に腹を割って話すことができれば、契約内容が自ずと見えてくるだけではなく、ベンダーとユーザーが真のパートナーになれるのではないか。そんな期待感も私は持っています。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る