「コーチングはウザい」と思われちゃった僕のしくじり体験:仕事が「つまんない」ままでいいの?(68)(3/4 ページ)
「コーチングをかじった人ってすぐに質問攻めにするよね」「威圧的だよな」「キラキラした理想ばかり語ってウザい」――困っている人を支援したいと思って勉強したのに、もし、周りから煙たがられていたら……そうならないために気を付けたいコーチングとの関わり方とは?
ケガしない学び方、コーチング実践の仕方
これらの失敗を重ねながら15年ほど過ごしてきた私から、これからコーチングを学ぶ皆さんへ、アドバイスです。
気付かせようとしない(一緒に考えるスタンスで)
コーチングでは、よく「気付きを与える」「気付きを促す」といった言葉を使います。私も勉強を始めた当初は、それを目標にしていました。
でもいまは、「気付かせよう」「促そう」とは、あまりしていません。というより、「気付きを与える」「気付きを促す」という表現は操作的で、上から目線にすら感じます。
現在の私の感覚では、コーチングはこちらが意図的に気付きを「与える」ものでも、「促す」ものでもない。話している中で、相手が「気付いていく」「整理されていく」といった方が近い。立ち位置も「上から」というよりは、「一緒にいる」「一緒に考える」といった感じです。
無理に気付きを「与えよう」「促そう」としないだけでも、相手と目線が合い、質問攻めすることもなくなると思います。
「引っ張る」よりも「寄り添う」感じです。
セオリーに固執しない(柔軟に対応する)
コーチングは「アドバイスしてはいけない」と言われていますが、私はアドバイスしてもいいと思います。
なぜなら、大切なのは「コーチングのセオリーに従うこと」ではなく、「相手の困りごとの解決や成長を支援すること」だからです。もし、相手の困りごとの解決にアドバイスの方が効果的だと感じたら、私はためらわずにアドバイスします(話を十分に聞いた上で……ですが)。
もちろん、「その場合は、○○の方がいい」「□□すべきだ」といった、私の意見を押し付けるような言い方はしません。それをするか、しないかは本人が決めることだと伝えた上で、「○○という方法もあるし、□□という方法もあります」「私の場合は△△でした」といったように、選択肢を示したり、経験談を話したりすることはよくあります。
このように、「アドバイスしてはいけない」ではなく「アドバイスしてもいい」にすれば、無理やり質問型のコミュニケーションを続けて遠回しな会話になることは防げるでしょう。
むやみに専門用語を使わない(分かりやすく伝える)
コーチングを勉強していた当時の私は「コーチング」という言葉を多用していました。
しかし、それほど関心のない人にとっては、聞き慣れない言葉は距離感を抱くものです。中には、「○○さん、また何かやろうとしているな」みたいな抵抗感を抱く人も少なくありません。
それならば、「コーチング」という聞き慣れない言葉を出さないで実践した方が、安全に取り組めるのではないかと思います。
職場でコーチングを取り入れたい場合なら、「コーチングをやりましょう」といきなり言うよりも、「みんなの仕事の問題解決を支援したいから、週に30分、ミーティングの時間を入れていい?」のように伝えた方が周囲の抵抗は少ないでしょう。
よく考えてみると、コーチングは広義ではコミュニケーションの一つの手法にすぎません。それならば、あえて「コーチング」という言葉を使わなくてもいいシーンがたくさんあるのではないでしょうか?
未来を語り過ぎない(いまを語る)
コーチングを勉強中の方の中には、「人生を充実させたい」「より良く生きたい」と思っている人も多いと思います。理想を描いて人生を歩む……それは、とても素晴らしいことです。「夢」「理想」「ゴール」「人生」……そういった言葉を使って、未来を語りたくなることもありますよね。未来を語っているときは気分がいい。ワクワクします。
一方で、全ての人がそうであるとは限りません。中には、日々の仕事に精いっぱいの人や、課題だらけで未来を描けない人、本当は優しくしたいのに優しくできない人もいます。というより、ひょっとしたら、そういう人たちの方が多いかもしれません。
「夢や未来を語るのは良くないことだ」と言いたいわけではありません。でも、もしあなたが「より良く仕事をする支援をしたい」と願っているなら、未来を描きたくても、描けない人もたくさんいることも、気に掛けておくことも大切だと思います。
コーチングを望んでいない人にコーチングをすると嫌われます。「未来を語る」だけではなく、「いまを語る」ことも大切です。
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