たとえハンディがあったとしても、私の仕事が私を作る:Go AbekawaのGo Global!〜Mileidy Giraldo編(後)(2/3 ページ)
三重苦を背負ってキャリアを歩んできたというジラルド博士。見た目や母国語が違い、偏見に満ちた目で見られがちだった彼女が「その認識は間違っている」と証明するために行ってきたこととは――。
私のキャリアが未来の女性のキャリアを変えると信じている
阿部川 ジラルドさんは医師でもあり、エンジニアでもあり、Lenovoの社員でもあり、2人のお子さんのお母さまでもいらっしゃる。ところで、お子さんを授かることで、大きく変わったことはありますか。
ジラルド博士 激変しました! まず、子どもたちに世界を見る視点を提供する責任への思いが大きくなりました。9歳の娘にはいつも「本当は、女の方が男より強いのよ」と言っています。社会ではその反対が一般的ですが、実際に女性は強いので、2つの思考のバランスを取ってあげたいのです。だって男を生んだのは女でしょう、と。娘が世界を見る見方を変えてあげたいと思っています。娘を宿し、彼女の母親になれたのは本当にうれしいことです。
編集部 若手女性へアドバイスをいただきたいのですが、キャリアを築くに当たって、結婚や出産のベストなタイミングはあるのでしょうか。育児やケガや介護などと仕事を両立しないといけない場合、どうやってキャリアを維持していったらいいのでしょうか。
ジラルド博士 最初の質問には、正しい答えはないと思います。自分の準備ができているかどうかなので、その決断は個人的なものだと思います。もちろん女性にとって大変な決断です。
あえて申し上げましょう。大多数の家庭で、家事は男女半々ではありません。子育て、料理、掃除、洗濯――多くの家事は女性が担っています。ただそのおかげで、女性は男性に比べて、マルチタスクな仕事のやり方が得意になるのです。私は別に、男性はマルチタスクができない、といっているのではありません。女性は子どものころからずっと、マルチタスクでやる訓練をしてきたということです。
私は、母としても、ビジネスパーソンとしても、フルタイムで一所懸命やってきました。朝3時に起きてグローバルの会議をしたり、今日のようなインタビューがあったり(取材は現地時間朝8時)。しかし私はこのように仕事をするのが大好きなのです。
ワーキングウーマンの素晴らしいところは、マルチタクスに仕事がこなせ、人の気持ちにより共感できることです。だから、人と人の間に立って、コミュニケーションをより円滑にできるのです。人に共感し、理解し、優先順位や、要求なども加味しながら、他の人にも分かる形でコミュニケーションが取れる。女性はチームの団結をより強める接着剤の役割ができるのです。
私が現在の立場にあるのは、チームのそれぞれの人の立場や意見を尊重して、見いだして、それを互いのために「通訳」しているからです。そうするとその人たちも、私の意見を尊重して、聞いてくれるようになるのです。状況を見て、人の意見を聞いて、それをしっかり伝えれば、後は男性にやってもらえばいいのです(笑)。
男性には、男性だからできる、男性の得意なことがたくさんあります。私たち女性は、より違う視点からさまざまな違いに気付けるのです。そして、マルチタスクや共感性など、男性よりも優れた能力があるからこそ、男性と一緒に良い仕事ができるのだと思います。仕事は1人でできるものはありません。違う文化を持っていたり、国籍が違ったりする人とチームで仕事をするのが当たり前です。そのような環境では、皆を結び付ける女性の役割が大変重要になると思います。
私の女性としてのキャリアが一つのモデルとなって、私の娘の世代、あるいはそれに続く世代へとつながれば、そして「私にもできる」と思ってもらえれば、私のようなキャリアの女性が増え、そのキャリアが普通のことになり、そして世界は変わると思います。
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