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たとえハンディがあったとしても、私の仕事が私を作るGo AbekawaのGo Global!〜Mileidy Giraldo編(後)(3/3 ページ)

三重苦を背負ってキャリアを歩んできたというジラルド博士。見た目や母国語が違い、偏見に満ちた目で見られがちだった彼女が「その認識は間違っている」と証明するために行ってきたこととは――。

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私の仕事が私を作る

阿部川 ジラルドさんのコロンビアでの17年間は、想像を絶する過酷なものだったのではないかと思います。それでもあなたはここにいる。何か秘訣(ひけつ)があったのですか。

ジラルド博士 私がここにいるのは、さまざまなことが偶然にも重なり合ったおかげです。私はどこにいっても、三重苦の少数派に属します。

 第1に、私は親族の中で大学に進学した最初の世代です。第2に、私は有色人種のヒスパニック(ラテン系米国人)です。第3に、女性です。どれ一つとっても白人の男性とは全く違う境遇です。

 私は、人と見た目も違うし、話し方も違います。何をするにしても、偏見に満ちた目で見られます。ですから私は、友人や同僚たちよりも必ず上をいく必要がありました。学生時代から、「常に1番の成績をとって、奨学生となって学費を免除してもらって生きていく」と決心していました。

 大学の研究者グループでも、「母国語が英語ではないので、きっと十分なプレゼンテーションができないのではないか」と周りの人が思っていた時期がありました。私がやるべきは、「その認識は間違っている」と証明することです。私の方が他の人よりもより仕事ができるし、誰よりもうまく仕事ができると見せることです。そうすれば必ず、「次は、あなたに仕事を頼もう」となります。私はこのやり方をずっと続けてきました。

 私が少数派であるにもかかわらずテクノロジーの分野で働けるのは、心から喜ぶべきことです。だって社会が私を認めてくれたということですから。私のする仕事が、私を作ってくれるのだと思います。やるべきことは、仕事の結果に能力を語らせることです。

阿部川 ジラルドさんの仕事は、国や地域、人種などを超えた、全人類に向けた仕事です。世界中、人間は人間ですから、何も違いはありませんよね。最後に、若いエンジニアたちにメッセージをいただけますか。

ジラルド博士 「あなたの全てのパーツ(部品)を見つけ出してください」と言いたいです。私がそうだったように、です。

 大学の学校案内パンフレットに書かれている、世の中の既存の業種や職種にこだわらないでください。自分が1番好きなこと、1番得意なことを見極めてください。たいていは、自分が上手にできることが、自分が好きなことです。もちろん大学での勉強はあなたのキャリアの出発点にはなりますが、それはあなたの部品の一部分でしかありません。私もそうでした。私が現在たどり着いたキャリアは、今でもまだ一般的に発明されていないと思います。

 大学での教育はスタートです。しかしその後の学びが、あなたをプロフェッショナルにするのです。ですから、自分のさまざまなパーツを大切にし、スタート地点とたどり着きたいゴールを決めて、そこに向けての方法をトレースしてください。常に自分の中に学ぶべきものを持ち続けてください。未来を予測する最良の方法は、自分で未来を創り出すことです。

 そして、ぜひ学び方を学んでください。それができれば、どのようなこともできます。20年前に比べれば、オンラインコースはあるし、専門的に学ぶ方法はたくさんあります。学びは私たちの手の中にあるのです。

インタビューを終えて〜Go’s thinking aloud〜

 彼女は常に、燦々(さんさん)と明るい笑顔で、大きなジェスチャーを交えて語ってくれた。最先端の医療技術についても、差別されたことが多かったつらい体験についても、日夜勉学に明け暮れた日々についても――。

 ただひたすら学び続けたことが、使命感に、やがて自信に、そして今では誇りに変わっている。「頭のいい人が博士になるのではない。出発点とゴールを見定めて、学び続けられる人が博士になる」と言い切る。まさに天は自ら助くるものを助け、まれに、頭脳も美貌も与えてくれることがある。

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