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「5Gといえばミリ波」は本当か? ミリ波アンテナがSub6アンテナより2桁高価な理由羽ばたけ!ネットワークエンジニア(44)

ローカル5Gよりもキャリア5Gの方が、企業にとってのメリットは多いというのが筆者の持論だ。さまざまな理由があり、実践でもキャリア5Gのメリットを感じている。今回は5Gで利用できる2種類の周波数帯「Sub6」と「ミリ波」について、アンテナのコストに注目したい。

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連載:羽ばたけ!ネットワークエンジニア

 2021年5月掲載の本連載では、5Gで利用可能な2種類の電波である「Sub6」と「ミリ波」について、特徴と使い分けを解説した。今回は別の論点として、モノの値段に着目したい。ミリ波のアンテナはSub6のアンテナより2桁もコストが高いのだ。

 筆者は以前からローカル5Gより、キャリア5Gの方が企業にとってメリットが多いと主張している。主張するだけでなく2021年7月の連載で事例を紹介した通り、キャリア5Gの導入を実践している。

 キャリア5Gはローカル5Gよりはるかに導入コストが低い。サービスを導入するだけなので免許も専門知識も不要。5Gの技術が進歩するとローカル5Gの製品は陳腐化するが、キャリア5Gはキャリアがサービスを進化させるので陳腐化の恐れもない。

 企業がキャリア5Gを導入するには工場やオフィスに5Gのアンテナを設置する必要がある。5Gの電波はSub6であっても4Gより高周波数なので工場やオフィスの内部まで浸透しないからだ。建物内部にアンテナを設置することをインドアソリューションと呼ぶ。

アンテナの種類と電波の飛び方

 図1はSub6と4Gで使う「オムニアンテナ」の電波の飛び方を表している。オムニアンテナとは無指向性のアンテナで電波は同心円状に広がる。筆者が使っているオムニアンテナは円筒形で直径17センチ、高さ12センチ、重さ約800グラムだ。オフィスでは円筒形の下部だけが天井から顔を出すように設置する。工場ではH鋼でできている梁(はり)などに設置する。


図1 インドア用Sub 6オムニアンテナの電波到達範囲

 オムニアンテナの電波は最大200メートルまで到達する。だが設計では半径50メートル程度をカバーするようにしている。オムニアンテナは内部にアンテナ素子が入っているだけの単純な構造で値段は1つ数万円だ。

 ミリ波アンテナの電波の飛び方を図2に示す。最近ではミリ波アンテナが街中に設置されているのを見かけるようになった。外見は直方体で、外部からは見えないが正面には多数のアンテナ素子が格子状に並べられている。ミリ波は空間減衰(距離が長くなると電波が弱くなること)が激しいため、1つのアンテナ素子で電波を送出しても同心円状に広がってすぐ減衰してしまう。

 複数のアンテナ素子から送出すると電波が重なって強調されたり、打ち消されたりする。この性質を使ってアンテナ素子に給電する信号を制御し、発射する電波を特定の方向に集中させるのがビームフォーミングと呼ばれる技術だ。これにより、干渉を避けながら離れた位置にある端末に電波が届く。


図2 ミリ波アンテナの電波到達範囲

 筆者はミリ波の利用を検討したが、使っていない。工場で利用するAGV(Automated Guided Vehicle)の運用はSub6の速度で十分だからだ。検討しただけで使わなかったミリ波アンテナは高さ約60センチ、幅約30センチ、奥行き約10センチで、重さは10キロを超える。値段は100万円単位で、Sub6のアンテナより2桁高い。

NSAキャリア5Gのインドア構成

 2021年9月現在の日本のキャリア5Gは4Gのコア設備と5Gのアンテナを組み合わせて使うNSA(Non Stand Alone)だ。工場内などで使うインドア構成は図3のようになる。

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