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学校は3つ、学科は4つ 人生の4分の1を大学にささげた男の話Go AbekawaのGo Global!〜Hugh Chiou(前)(3/3 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はフリーランスエンジニアのHugh Chiou(ヒュウ・チョウ)さんにお話を伺う。高校時代はアルバイトと部活に明け暮れ、大学時代は幾つもの大学と学科を渡り歩いたヒュウさんのモチベーションの源とは。

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そして社会人に

阿部川 現在はフリーランスで仕事をしていて、それまで5つぐらいの会社で経験を積んでいらっしゃいますね。エンジニアのキャリアのスタートが31歳からということは、大学卒業後すぐにエンジニアとしてスタートしたということですね。

ヒュウさん 一から始めました。プログラミングも31歳から始めて、全部自分で書きました。

阿部川 勉強するのが好きだったんですね。2014年から2015年まで1年強、GIS.FCU(逢甲大學地理資訊系統研究中心)で働いています。これが最初のエンジニア的な仕事だと思いますが、どんなことをしたのですか。

ヒュウさん 台湾の政府が進めるプロジェクトでした。日本で地震や津波が起きたら、スマートフォンに警報が届きますよね。それと同じような仕組みを作るプロジェクトです。気象庁などのいろいろな機関から情報を収集し、1カ所に集約してからみんなに配ります。オープンデータを活用する狙いもあったので、これらのデータを取得したければ誰でもできるようにする、という考えもありました。

阿部川 そこでヒュウさんはどのようなことを担当したのでしょうか?

ヒュウさん 僕が入ったときにはプロジェクトは終盤だったので、おおむねシステムはできていました。でもエラーが多くて解決すべき課題が山積みでした。システムができてから最初の台風が来たときは、台風情報を配信する前にシステムがクラッシュしてしまいましたしね。

 それでまずストラクチャーを改善しようという話になり、そこに僕が参画した形です。だから最初は主にインフラ整備に近い仕事をしていました。台風や地震の情報が来た後で毎回レポートを整理して「この期間どのぐらいのデータの接続があったか」などを調査していました。

 台北にいるエンジニアは僕1人で、プログラマーはほとんど台中にいました。僕は調査したレポートを台北でまとめ、台中にいるプログラマーの修復作業を待つといった感じでした。待っている時間が長かったので、レポート作成の他にバックグラウンド側の調査もしていました。そのうち「これなら自分でも直せそうだ」と思い、PM(プロジェクトマネジャー)に相談した上でプログラミングも担当することになりました。

阿部川 やらなきゃいけない機会が来ちゃったんですね。

ヒュウさん はい。貴重な機会だったと思います。

阿部川 絶対直さないといけないし、台風は次々に来ますからね。で、それは直せたのですね。

ヒュウさん はい、直せました。PMがサーバを1つ使っていいと言ってくれたので、検証環境として利用しました。いろいろ実験してみたければそのサーバで先に試してから本番に上げることができる。インターネットを使って仮想環境について学んでいたので、その知識も役立ちました。


編集中村
編集 中村

 これ、詳細は不明ですけれど、エンジニアになって間もない人にプログラミングを任せるのは大きな決断だったのではと思います。それとも危急な事態過ぎて猫の手も借りたいといった状況だったのでしょうか。何よりそれでしっかり直せちゃうところがヒュウさんのすごいところです。


阿部川 どうやって短い間に勉強したのですか。YouTubeなどでしょうか。

ヒュウさん 僕は動画よりも文字の方がいいので、主にGoogleで関連する記事などを検索して勉強しました。大体のことは検索すれば出てきますし、考えても分からないことは同僚に聞きます。これまでいろいろな仕事を経験してきましたが、一番重要なのは「どうすれば自分が欲しい答えや自分にふさわしいものを探すことができるか」だと思います。

阿部川 学ぶやり方を編み出したのでしょうね。検索キーワードをただ打ち込むだけでなく、テキストを読み込み、動画を参照し、同僚にも質問する。いろいろな方法を駆使されて素晴らしいと思います。

ヒュウさん たぶん“習慣”なのかな。僕は勉強するときはいつも「どうやったらもっと効率的にできるか」ということをずっと考えているんです。日本語学科のときもそう考えて勉強していて、普通であれば4〜5年かかる「JLPT N1」(日本語能力試験の最高難易度)の資格を2年目で取ることができました。

阿部川 やっぱり10年も大学にいたので、学ぶやり方を編み出せるようになったんですね。

ヒュウさん 勉強すべきは勉強の仕方ということです。

阿部川 GIS.FCUの他にiBUYPOWERやdingokなどの企業でお仕事されていますね。それぞれWebサイトのエンジニア、Webのデベロッパーとありますが、仕事の内容がずいぶん違うように思います。

ヒュウさん おっしゃる通りです。最初はインフラでしたし、iBUYPOWERではバックエンドとフロントエンドを担当しました。データベースもよく触りました。その次の仕事は全部フロントエンドでした。だんだんハードウェアからユーザーに近いところに近づいていますね。

阿部川 それは意識して選んだのですか?

ヒュウさん ちょっとだけ、そうかな。最初はインフラ担当でしたが、インフラって一度作ってしまうとあまり変更しないんです。だから変更できるバックエンド側の処理を担当してみようと思いました。じゃあどこからやろうと考えると、バックエンドで重要なのは「データの処理」です。そこでデータベースをいじるようになって。そうしているうちに「どのようにデータを処理すれば、利用者に使いやすいWebページにできるか」と考えるようになりました。いろいろなWebページを見ると「ここをちょっと調整したら使いやすくなるはず」と思うことが結構あったので、もっと使いやすいWebページを作りたくてフロントエンドを始めました。

阿部川 仕事をしている間に「ここをこうしたい」というのが変わってきて、ある意味自然にフロントエンドにたどり着いたのですね。


 高校時代はバイトと部活に明け暮れ、大学時代は幾つもの大学と学科を渡り歩いた。学費はもちろん自分で稼ぎ、エンジニアになるためにプログラミングも一から勉強した。そのバイタリティーにあふれた行動力は今の仕事にもつながっている。後編は台湾のフリーランス事情とキャリアについて。

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