「このままではマズイ、無理だ」ボクは仕事を休みました:仕事が「つまんない」ままでいいの?(99)(2/2 ページ)
仕事やプライベートのストレスで、心や体に負担がかかるときがあります。ちょっとツラいときの、心と体の処方箋。
何のために仕事をしているのか
少し話は変わりますが、先日、プロのスノーボーダーの活動をしながら一般の企業でも働いているAさんと話をする機会がありました。冬の間はゲレンデの近くで、フルリモートで働いているそうです。
時間と場所の制約がない働き方ができるようになったのは、コロナ禍によってテレワークが普及したことがきっかけ。働く場所に関係なく、仕事の成果はきっちりと出す。でも自分の時間は大切にする。平日は、仕事終わりにナイターで滑っているそうです。
Aさんは以前生きるか死ぬかの病になったことがあり、それから仕事に対する考え方が変わったそうです。
「生きる上で、自分の中心はどこなのか? って話ですよね。ボクは仕事するために生きているんじゃない。幸せになりたいから仕事をしているんです」。
仕事のために人生があるのではなく、幸せな人生のために仕事がある。今回の体験もあってか、ボクも「ホントにそうだな」と思いました。
自分にとって大切なことを認識する
自分を大切にするためには、何を意識すればいいのでしょうか。人の判断や行動には、自分の中にある何かしらの価値観が大きく影響します。もし「仕事はそう簡単に休むべきではない」といった価値観が強ければ、ボクは今回、無理して仕事をしていたかもしれません。
ボクたちは日ごろ、幾千の思考と判断を繰り返しています。多くの場合、その思考と判断は何となくやり過ごしていて、「自分にとって大切なことは何か?」といった価値観を明確に言語化し、認識できている人はあまり多くありません。自分で認識できていない場合、無意識に世間一般の価値観に合わせてしまいがちです。
この記事を読んだことをきっかけに、仕事をする上で「自分にとって大切なことは何か?」を考え、日ごろから認識しておくといいかもしれませんね。
仕事に対する自身の価値観を認識するための、幾つかの問いを用意しました。通勤時間やお昼休み、寝る前など、時間がある時に考えてみてください。
- 仕事が、あなたの人生に与える影響は、10のうちどれぐらいですか?
- 仕事をする上で、「○○すべき」「○○しなければならない」と強く思っていることは何ですか?
- 最も理想的な心の状態が10だとして、現在のあなたの「心のレベルゲージ」は幾つぐらいですか?
- 課題や悩みがあるとき、本音を話せる人がいますか? それは誰ですか?
- いろいろあるけれど、「これは譲れない」というラインはどの当たりですか?
- あなたは、何のために仕事をしているのですか?
- あなたにとって、最も大切にしたいのは何ですか?
心と体を健康に過ごすために
冒頭の話に戻ります。一緒に仕事をしているメンバーにメッセージを送った後、「何もしない」と決めて2日間休みました。本当に何もしませんでした。それで元気になったか……といわれたら、万全になったわけではありません。特に対人関係のストレスは、もう少し何らかの対処が必要そうです。
でも、少なからず「心と体がツラい」と言えたこと、メンバーから受け入れてもらえたこと、それだけでだいぶ楽にはなりました。
皆さんもどうか、心と体を健康にお過ごしください。
筆者プロフィール
しごとのみらい理事長 竹内義晴
「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。
著書「Z世代・さとり世代の上司になったら読む本 引っ張ってもついてこない時代の「個性」に寄り添うマネジメント(翔泳社)」「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 仕事はツラいが、何とかしたい
生活のため、お金を稼ぐために働いていただけで、「仕事が楽しい」とは思ったことなどありませんでした。 - 「わたしの取扱説明書」で、弱みを見える化してみたら……
「弱みを見せてはいけない」「弱みは克服するものだ」――このような考えも一理あります。でも、弱みを克服するよりも強みを生かした方が、才能が生かせて楽に生きられるのかもしれません。 - 管理職はつらいよ
管理職のあなた、「つらいなぁ」と思ったことはありませんか? どうすれば、いまの環境を、メンバーとの関わりをより良くできるのか?――その答えは、ひょっとしたら、ノウハウ的なこと以外のところにあるのかもしれません。