ハイブリッドワークに関する明確なルールがない企業は、従業員が退職する可能性が12%高い:3種類の明確な規範が重要
Gartnerは、ハイブリッドワークに関する明確な規範がない企業では、従業員が退職する可能性が12%高まるとの調査結果を発表した。
Gartnerは2023年4月17日(米国時間)、「ハイブリッドワークに関する明確な規範がない企業では、従業員が退職する可能性が12%高まる」との調査結果を発表した。
GartnerのHR(人事)プラクティスディレクターを務めるケイトリン・ダフィー氏は、次のように説明する。「今日のハイブリッドワークモデルには、オフィス環境に存在する規範を吸収する非公式のチャネルがない。企業がより正式なハイブリッドワークモデルを構築する中で、人事リーダーがより意図的かつ明確に、新しい規範を確立して周知することで、仕事の摩擦を減らし、エンゲージメントを高めることができる」
Gartnerの調査では、最も成功しているハイブリッドモデルは、「柔軟性を確保する規範」「可視性を高める規範」「つながりを促進する規範」という3つの主要カテゴリーの明確な規範を含んでいることが分かった。
可視性の向上
仕事に関する志向がお互いに分かるようにすることで、従業員は、「仕事に集中する時間帯をいつにするか」「最適なコミュニケーション方法は何か」などについて、チームのポリシーを共同で作成する機会を得る。個々の従業員のスケジュールの可視化や、仕事に関する志向の共有は、ハイブリッドモデルにおける従業員のパフォーマンス、エンゲージメント、インクルージョン(包摂)を向上させる。だが、これらの方策を実施している企業は5割に満たない。
Gartnerが2022年10〜11月に3524人の企業従業員を対象に実施した調査によると、仕事に関する志向を共有しているハイブリッドチームに所属する従業員は、そうでないチームに所属する従業員と比べて、エンゲージメントが8%高く、包摂感が7%高く、パフォーマンスが5%高い。
「仕事に関する志向の共有は、1回だけ行う静的なものであってはならない。仕事に関する志向は時間の経過や、チームの人員構成の変化によって変わるからだ」と、ダフィー氏は注釈している。
柔軟性の確保
テレワーク日や会議のない日の割合を高くすることが、従業員の生産性やパフォーマンスの向上に貢献する、ハイブリッドワークの規範となることが分かってきている。Gartnerの調査は、企業の55%がテレワーク日の割合を高めているが、会議がない日を設けている企業が22%にとどまることを示している。
テレワーク日には、従業員は仕事と生活においてより自律的に、自分に最適な形で活動や約束のスケジュールを設定できる。Gartnerの分析によると、優れたハイブリッドワークモデルでは、平均して週3日以上のテレワーク日を設けている。
また、会議のない日には、従業員は仕事の順序を調整したり、仮想的な方法で仕事をする負荷を減らしたり、会議疲れを軽減したりできる。会議のない日を設けるのは、テレワーク日を増やすよりも簡単だが、そうすることで従業員は、ワークフローの中で深い集中や、内省、イノベーション、創造性の発揮、休息、個人的ニーズのための時間を確保しやすくなるため、パフォーマンスやエンゲージメントが向上する。
つながりの促進
組織文化の維持に関する懸念から、一部の企業は、オフィスワークの比重の高いハイブリッドモデルや、完全なオフィス復帰を実施している。だが、Gartnerの調査は、企業はオフィス復帰を義務付けるよりも、従業員がマネジャーと定期的に面談したり、オフィスワークを共にしたりすることを促進することで、従業員の仕事の成果を改善できることを示している。だが、こうした施策を実施している企業は40%にとどまる。
先進的な企業は、重要な節目に行う影響の大きい対面会議(目標設定や戦略立案のための定期的な対面会議、重要プロジェクトのキックオフミーティングなど)に加えて、さまざまな対面会議を年間カレンダーに組み込んでいるという。
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