やりなおすにも違いがある、Windows 11 3つの初期化方法と相違点:Tech TIPS
Windows 11を搭載したPCを他人に譲渡する場合や、マルウェアに感染して駆除が難しいような場合など、Windows 11を初期化したいこともあるだろう。このような場合、Windows 11の「このPCをリセット」機能などで簡単に初期状態に戻すことができる。その手順を紹介する。
対象:Windows 11
Windows 11を初期状態に戻す3つの方法
何らかの理由でWindows 11に不具合が発生した場合など、Windows 11を初期状態に戻すことで不具合を解消できることがある。また、PCを他人に譲渡するような場合、初期化しておかないと個人情報が漏えいする危険性がある。そこで、Windows 11を初期化する手順を紹介しよう。
Windows 11の動作が不安定になってしまい、原因が分からないといった場合、最終手段として「Windows 11を初期化」するという方法がある。
また、機種変更や退職などで使わなくなったPCを、別の人に割り当てたり、廃棄したりすることもあるだろう。この際、単にデータを削除しただけだと、前に使っていた人の個人データ(アカウント情報など)が残ってしまい、情報漏えいにつながる恐れがある。このような場合、多少面倒でもWindows 11を初期化するとよい。
マルウェアなどに感染してしまって駆除が難しいような場合も、Windows 11を初期化することで解決可能だ。
そこで本Tech TIPSでは、Windows 11を初期化する方法を紹介する。
Windows 11を初期化する3種類の方法
Windows 11を初期化するには、以下の3種類の方法がある。
- [設定]アプリの[システム]−[回復]画面にある「このPCをリセット」を実行する
- [Windows回復環境]画面の[トラブルシューティング]−[このPCを初期状態に戻す]を実行する
- インストールメディアから起動してWindows 11を再インストールする
そこで、本Tech TIPSでは、Windows 11を初期化するこれら3つの方法を紹介しよう。なお、Windows 10を初期化する方法は、Tech TIPS「Windows 10を思った通りに正しく初期化する方法」を参照してほしい。
初期化の方法によってはデータが保持される
「このPCをリセット」と「このPCを初期状態に戻す」では、「個人用ファイルを保持する」初期化と、「全てのファイルを削除する」初期化の2種類が選択できる。
「個人用ファイルを保持する」を選択すると、アカウントなどのWindows 11の設定の一部が保持され、[ドキュメント]フォルダ内などのファイルも維持される。Windows 11の調子が悪いといった場合は、「個人用ファイルを保持する」を選択しておくと、後の再設定が楽になる。
「全てのファイルを削除する」を選択すると、Windows 11の設定やアプリ、ファイル類の全てが削除され、再インストールしたのと同じ状態になる。PCを再利用する場合や、廃棄/売却するような場合はこちらを選択するとよい。
初期化方法 | 個人データの保持 | Windows 11の設定の保持 | インストール済みアプリの保持 |
---|---|---|---|
このPCをリセット/このPCを初期状態に戻す(個人用ファイルを保持する) | ○ | △(一部保持) | × |
このPCをリセット/このPCを初期状態に戻す(すべて削除する) | × | × | × |
インストールメディアから起動して再インストール | × | × | × |
Windows 11で利用可能な初期化方法 |
「このPCをリセット」で初期化する
Windows 11が起動できる状態ならば、「このPCをリセット」機能を使うのが簡単だ。「このPCをリセット」機能は、[設定]アプリの[システム]−[回復]画面から実行できる。[回復]画面を開いたら、「回復オプション」欄の[このPCをリセットする]ボタンをクリックすればよい。
[このPCをリセットする]ウィザードが起動するので、画面の指示に従って進めれば、Windows 11の初期化が行える。初期化には、「個人用ファイルを保持する(アプリと設定は削除される)」と、「すべて削除する(個人用ファイルを含め全て削除される)」の2種類から選択できる。初期化の用途に合わせて選択すればよい。
「個人用ファイルを保持する」を選択する場合
[ドキュメント]フォルダなどにあるファイルを残す場合、[オプションを選んでください]画面で[個人用ファイルを保持する]を選択する。この場合、個人用のデータファイルやWindows 11のアカウント情報などを残すことができる。
ただし、ユーザーがインストールしたアプリケーションは削除されるので、再インストール時に必要なライセンスキーなどは後で入力できるようにメモしておく。また、初期化に失敗してデータが失われてしまう危険性もあるので、大事なデータは念のためUSBメモリなどにバックアップしておくとよい。
Windows 11が不安定になったような場合は、[個人用ファイルを保持する]を選択すると、再設定が楽になる。
次の画面で再インストール方法を[クラウドからダウンロード]と[ローカル再インストール]の2つから選択する。
[クラウドからダウンロード]を選択すると、クラウド上からWindows 11のインストールイメージをダウンロードしてインストールが行われる。イメージのダウンロードに際して、4GBを超えるデータ容量(通信量とストレージ容量)が消費されるので注意してほしい。
[ローカル再インストール]は、ストレージ内にあるデータを利用して再インストールが行われる。ローカルにあるシステムファイルなどを使うため、通信量とストレージ容量ともに最低限で済む。
どちらを選択した場合も、ウィザードを進めて[リセット]ボタンをクリックすると、Windows 11の初期化が行われる。
初期化が実行されると、個人用のファイルを除き、アプリケーションなどが消去される。アカウント情報や一部のWindows 11の設定は残っているので、再インストール完了後には、サインイン画面が表示される。サインイン後、Windows 11の初期設定が開始される。
[個人用ファイルを保持する]を選択すると、個人情報が残ったままになってしまうので、PCを他人に譲渡したいような場合は避けた方がよい。
Windows 11の再インストール後、必要に応じてアプリケーションの再インストールが必要になる。なお、Windows 11のデスクトップには、削除したアプリケーションの一覧がHTMLファイルで保存されるので、再インストールやセットアップの参考にするとよい。
「個人用ファイルを保持する」で初期化する場合(1)
[このPCをリセットする]ウィザードの最初の画面で[個人用ファイルを保持する]を選択すると、再インストール方法の選択画面が表示される。通常は[ローカル再インストール]を選択しておけばよい。[クラウドからダウンロード]を選択すると、4GBを超えるデータのダウンロードが実行されるので時間がかかるからだ。
「個人用ファイルを保持する」で初期化する場合(3)
[リセット]ボタンをクリックすると、初期化が開始される。以後は設定を変更できない。また中断するとシステムが起動しなくなるので、設定に間違いがないか十分に確認すること。
「個人用ファイルを保持する」で初期化する場合(4)
初期化が終了すると、サインイン画面が表示される。[個人用ファイルを保持する]を選択した場合、Windows 11のアカウント設定などが残るため、初期設定の作業を大幅に軽減できる。
「個人用ファイルを保持する」で初期化する場合(5)
アプリケーションは削除されるため、再インストールが必要になる。削除したアプリケーションは、デスクトップ上の「削除されたアプリ.html」を開くことで確認できる。
「すべて削除する」を選択する場合
アプリケーションや設定に加えて個人用ファイルも全て削除したい場合は、[オプションを選んでください]画面で[すべて削除する]を選択する。PCを他人に譲る場合などは、「すべて削除する」を選択するのがよい。
「すべて削除する」の場合、データのクリーニングを実行して、個人用データなどの復元を難しくすることも可能だ。[追加の設定]画面で[設定の変更]リンクをクリック、[設定の選択]画面が表示されたら、「データのクリーニングを実行しますか?」のスイッチを「はい」にする。
これで、単にファイルを削除するだけでなく、ディスクの空き領域全体にダミーのデータを書き込むため、ディスク上に残っている削除済みファイルの痕跡を消し、データの復元を困難にする。ただし、クリーニングには時間がかかる他、SSDではその仕組み上、寿命を短くしてしまう可能性がある点には注意してほしい。
ウィザードを進めて、[リセット]ボタンをクリックすると、Windows 11の初期化が行われる。初期化が実行されると、個人用のファイルやアプリケーション、Windows 11の設定などが全て消去される。Windows 11をクリーンインストールした場合と同等の状態になるため、起動後はアカウントの設定などから行う必要がある。
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