Oracle、クラウドデータベースサービス「MySQL HeatWave Lakehouse」の一般提供を開始:オブジェクトストレージのパフォーマンスをデータベースのクエリ性能と同等に
Oracleがクラウドデータベースサービス「MySQL HeatWave Lakehouse」の一般提供を開始した。データベース内データへのクエリと同じくらい高速にオブジェクトストレージ内データに対するクエリを実行できる。
Oracleは2023年7月20日(米国時間)、クラウドデータベースサービス「MySQL HeatWave Lakehouse」の一般提供を開始した。
MySQL HeatWave Lakehouseとは
MySQL HeatWave Lakehouseは、クラウドデータベースサービス「MySQL HeatWave」を拡張する。データベース内データへのクエリと同じくらい高速にオブジェクトストレージ内データに対するクエリを実行できる。
MySQL Heatwaveは、トランザクション処理、リアルタイム分析、機械学習、データレイククエリ、機械学習ベースの自動化を、単一のMySQLデータベースサービス内で提供する。そのパフォーマンスは、クラスタのプロビジョニング、データのロード、クエリ処理において大規模並列処理を可能にするスケールアウトアーキテクチャによって実現されており、最大512ノードをサポートする。
MySQL HeatWave Lakehouseは、CSVや「Apache Parquet」、他のデータベースからのエクスポートファイルといったオブジェクトストアのさまざまファイル形式をサポートし、これらのファイルをMySQLデータベースのトランザクションデータと組み合わせることもできる。MySQLデータベースにデータをコピーすることなく、オブジェクトストア内のファイルに対して直接クエリを実行することもできる。トランザクション処理、データウェアハウスとデータレイク全体の分析、機械学習を1つのサービスで提供し、クラウドサービス間でのETLが不要になる。
MySQL HeatWave Lakehouseは、クエリ処理のスケーラビリティとパフォーマンス、データのロード速度、クラスタのプロビジョニング時間、オブジェクトストレージ内データのクエリ自動化において、新たな基準を打ち立てるという。
Oracleのチーフ・コーポレート・アーキテクト、エドワード・スクリーベン(Edward Screven)氏は、次のようには述べている。
「データの80%以上がファイルシステムに保存されており、この数値は増加している。ユーザーは、さまざまな外部データを社内のトランザクションデータと統合して分析したいと考えているが、処理が複雑過ぎたり、コストがかかり過ぎたりすることが問題となっていた。MySQL HeatWave Lakehouseは、より高速なクエリ性能とデータロードを、より低コストで提供する。ユーザーはオブジェクトストレージのデータとデータベースのデータを組み合わせて、価値あるリアルタイムのインサイトを容易に手に入れることができるようになる」
データベース内データへのクエリと同じくらい高速な理由
「10TB TPC-H*」ベンチマークで実証されたように、MySQL HeatWave Lakehouseを使用したオブジェクトストレージ内の一般的なファイル形式のデータに対するクエリは、MySQLデータベース内のデータへのクエリと同じくらい高速に実行できる。
これを可能にするのは、MySQL HeatWaveの組み込み機能「MySQL Autopilot」だ。MySQL Autopilotは、機械学習ベースの自動化を用い、クエリ実行からの学習によって将来のクエリ実行計画を改善する。
MySQL Autopilotの機能強化によって、オブジェクトファイルのメタデータ生成が自動化され、基盤となるオブジェクトストレージのパフォーマンスに動的に適応できるようになり、全ての「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)リージョンで提供できるようになった。
なおOCI上のMySQL HeatWaveは、AMD EPYCプロセッサ上で稼働している。またMySQL HeatWaveは、OCIの他、Amazon Web Services、「Oracle Database Service for Azure」「OCI Dedicated Region」を利用する企業のデータセンター内でも利用できる。
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